利用案内

基本理念と運営方針

 本館は、昭和32年米軍による秋吉台空爆演習地問題が契機となって、秋吉台の自然保護と学術研究を行う機関設置の必要性から設立されました。そのため、本館は、秋吉台の自然を守り、秋吉台地域に広がる石灰岩台地の学術的重要性を国内外に広く周知し、研究活動を通じて文化的価値を高めていくこと、また学校教育・社会教育にさまざまな観点から関与し、広く普及教育の発展に寄与することを基本理念としています。

 このような基本理念に基づき、博物館活動の基本である資料の収集保存、調査研究、展示、普及教育を柱とした活動に加え、地域の学術研究機関や自然愛護団体などと連携した事業を行うなどさまざまな活動を展開しています。地域に根ざした自然史博物館として、年齢性別を問わず、より多くの利用者に活用され、親しまれるよう、地道かつ発展的な活動を行うよう努めています

沿革

昭和34年 2月 秋吉台科学博物館(Akiyoshi-dai Science Museum)起工式
4月 初代館長に恵藤一郎氏が任命される
10月 開館式を行う
12月 恵藤一郎氏急逝により教育長上利平一氏が館長事務取扱に任命される
昭和35年 9月 川崎 魁氏館長に就任する
昭和36年 5月 コウモリ穴地下実験室完成
5月 秋吉台科学博物館報告第1号発行
昭和37年 3月 秋芳洞琴ヶ淵の潜水調査を行う
9月 瀬戸弥生遺跡の発掘調査を行う
昭和40年 5月 講座室竣工
昭和42年 2月 資料室・研究室・工作室増築
4月 コウモリ穴管理室竣工
昭和43年 3月 ジオラマを設置し生物展示室が完成する
3月 帰り水の地質構造模型が作製・展示される
4月 川崎 魁氏の退職に伴い末永 孝氏が館長に就任する
昭和44年 4月 帰り水学術ボーリングを開始する
昭和50年 3月 草原の生態系ジオラマが完成する
4月 末永 孝氏の退職に伴い教育長川崎 魁氏が館長を兼務する
7月 英名を「Akiyoshidai Museum of Natural History」に変更する
昭和51年 10月 川崎 魁氏の退職に伴い教育長中島義夫氏が館長を兼務する
昭和52年 2月 玄関ホールの改築を行いオオツノシカを展示する
昭和53年 6月 太田正道氏が館長に就任する
7月 太田正道氏の退職に伴い教育長中島義夫氏が館長を兼務する
昭和54年 8月 創立20周年記念式典を行う
昭和55年 3月 「自然観察会」「秋芳の自然研究奨励」の開始
10月 中島義夫氏の退職に伴い教育長明石羽久氏が館長を兼務する
昭和56年 3月 ニッポンサイの骨格を展示
昭和58年 3月 講座室増改築
7月 庫本 正氏が館長に就任する
9月 書庫・便所の増改築
昭和59年 3月 ヨウシトラの骨格を展示する
昭和63年 3月 フズリナ類の進化系統樹パネルを作製・展示する
3月 秋吉台サンゴ礁パネルを作製・展示する
7月 小会議室の改築
平成元年 7月 創立30周年式典を行う
平成3年 7月 旧秋吉台管理事務所事務室が第二講座室となる
平成4年 3月 講座室階下を標本室に改修する
平成7年 2月 日本古生物学会から貢献賞を授与される
11月 開館35周年記念シンポジウム開催・35年のあゆみ発行する
平成9年 5月 九州大学から感謝状を授与される
平成10年 3月 プレートテクトニクスのパネルを作製・展示する
平成11年 3月 小澤儀明博士コーナーの展示が完成する
平成13年 4月 庫本 正氏退職に伴い杉村昭弘氏が館長に就任する
平成14年 7月 福岡管区気象台から感謝状を授与される
平成15年 4月 杉村昭弘氏退職に伴い中村 久氏が館長に就任する
5月 化石採集場が設置される
平成16年 4月 中村 久氏退職に伴い配川武彦氏が館長に就任する
平成17年 8月 桐ヶ台の穴の学術調査を山口大学と共同で行う
平成20年 2月 山口大学から感謝状を授与される
3月 旧美祢市・秋芳町・美東町の合併に伴い所属が秋芳町教育委員会社会教育課から祢市教育委員会文化財保護課に移行する
4月 配川武彦氏の退職に伴い文化財保護課長池田善文氏が館長を兼務する
9月 無名穴の学術調査を山口大学・福岡大学などと共同で行う(~平成23年)
平成21年 4月 池田善文氏の退職に伴い文化財保護課長高橋文雄氏が館長を兼務する
9月 日本地質学会から表彰状を授与される
9月 日本洞窟学会から感謝状を授与される
9月 創立50周年記念式典・記念行事を開催する
平成22年 8月 山口大学洞穴研究会から感謝状を授与される
平成25年 6月 気象庁より感謝状を授与される

施設

着工

昭和34(1959)年2月15日,完工:昭和34(1959)年9月15日,開館:昭和34(1959)年10月1日,敷地面積:2,408.40m2,建築延面積:866.66m2

博物館本館

展示室1階には秋吉台地域の生物,新生代の脊椎動物化石を展示しています.展示室2階には,地球の歴史,秋吉台の地質と化石,洞窟,気象,考古遺物の展示をおこなっています

第一講座室

100名超収容可能な講座室です.視聴覚設備を備え,講義やビデオ上映が可能です

第二講座室

秋吉台バス停2階にある,50名程度収容可能な講座室です

コウモリ穴地下実験室

天然の鍾乳洞を利用した研究施設で,日本初となるものです.博物館創立直後の昭和35年に着工、昭和37年に完成し、以後研究室として多くの研究者に利用されています

博物館前庭

秋吉台地域からは考古遺跡がたびたび発掘されています.その遺跡の一部を博物館前庭に移設し,屋外の展示物として公開しています

化石採集場

博物館で研修をされる小中学校や社会教育団体を対象に,化石採集体験事業をおこなっています.化石を含む原石は,国定公園外の石灰石鉱山より分けていただいております

自然研究路

博物館から秋吉台の遊歩道沿いに21の質問板を設置しています.秋吉台の草原を歩きながら自然への理解を深めることができます

活動

博物館は調査・研究を行い、資料を収集・整理・保管し、それを基に教育普及を行う社会教育機関とされています。しかし、秋吉台科学博物館の場合は、一般の博物館が行う活動に加えて、設立の目的である研究者の調査研究活動の拠点として学会への貢献、秋吉台・秋芳洞の保全という活動が付け加えられています。そして当館の行う調査・研究の対象は、秋吉台・秋芳洞を主体としたものです

研究と学会への貢献

秋吉台科学博物館設立の目的の一つは、秋吉台・秋芳洞の学術研究をさらに進め、学会への貢献をすることです。これまでに当館の職員、また外部の研究者と共同で行った研究により多くの成果が得られています

地質分野では、秋吉台がサンゴ礁でできたこと、そのサンゴ礁を造った古生物の分類学的・古生態学的研究、また帰り水地域における詳しい地質構造の研究とボーリングによる逆転構造の再検討などが特筆されます

地理・洞窟分野では、秋吉台における詳細な洞窟分布や各洞窟の発達史、カルスト地形の水収支の研究などで大きな成果があります

生物分野では、コウモリの個体標識による個体群動態や洞窟性動物の生態、また好石灰岩植物や台上の植生などで注目される研究成果があがっています

これらの研究成果は、毎年一回発行される「秋吉台科学博物館報告(Bulletin of the Akiyoshi-dai Museum of Natural History)」によって広く公表されてきました。また、それにとどまらず国内外の学術雑誌に論文を投稿し、研究成果を広く還元しています。更に、各学芸員は毎年数回の学会発表を行っており、その発表の場は国内にとどまることなく、世界へ広く秋吉台についての研究成果を発信しています

当館を拠点として、秋吉台・秋芳洞の研究を行い、優れた業績をあげた研究者も少なくありません。特に地質学、古生物学、地理学、洞窟学、動物学、植物学の分野で、秋吉台を長期にわたり継続研究をしている研究者も数多くおられます

教育活動

展示

博物館の展示に対する考え方は、職員の研究活動によって秋吉台・秋芳洞を研究した結果を分かり易く解説・説明したものとしています

地質・古生物に関しては、まずジオラマによって地球の誕生から人類の出現に至るまでを解説し、そして秋吉台の地質と化石について実物標本およびパネルで解説しています。秋吉台から豊富に産出するフズリナや、サンゴ、コケムシ、腕足類、アンモナイト、巻貝、三葉虫、コノドント、石灰藻、ストロマトライトなどの化石は、実物標本を展示し、それぞれについて解説しています。そして、それらの化石が現在南太平洋にみられるような美しいサンゴ礁を造っていたことをパネルによって解説しています

地質の展示では、小澤儀明博士とそれ以後行われた秋吉台の地質構造に関する各研究者の解釈を解説しています。そして、職員が長年かけて研究し、ボーリング調査を行った帰り水地域の地質を、模型を使って解説しています。更に、秋吉台が逆転構造をしていることを最初に発見した小澤儀明博士を紹介した小澤コーナーがあります

第四紀哺乳類化石は、秋吉台の洞窟や採石場からたくさん発見されています。それらは、ヤベオオツノジカ、ニッポンサイ、ヨウシトラの復元模型とムカシマンモス、ナウマンゾウ、シカマトガリネズミ、アキヨシホオヒゲコウモリなどの実物標本を展示し、パネルによって解説をしています

カルスト地形と鍾乳洞に関しては、秋吉台のパノラマと秋芳洞の模型を中心に、多くの写真とパネルによって解説し、鍾乳洞を含めたカルスト地形の諸要素を詳しく説明しています

人類、考古については、多くの実物標本を中心に、秋吉台および洞窟と人類の結びつきを中心にパネルによって解説しています

生物の展示では、秋吉台で最も特色ある洞窟性動物の生態をジオラマで展示し、特に洞口に生息する好石灰岩植物、洞内の植物、コウモリ、洞口および洞内の陸貝を詳しく紹介しています。また、台上の草原における生態展示では、哺乳類の棲み分けを中心に展示しています。更に、湧泉に棲む魚類、カルスト台地の両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の分類展示やカルスト台地の植生展示も行っています

自然観察会・講演会など

秋吉台の自然を正しく理解していただくため、美祢市歴史民俗資料館や秋吉台エコ・ミュージアム、秋吉台の自然に親しむ会と共催で年10回程度の自然観察会を行っています。全国の大学や博物館、研究機関からの依頼により、秋吉台についての講演会や巡険、体験学習活動を指導しています

また、全国の小・中・高校の先生による教育研究会理科部会が当館で研修会を開催することもしばしばあります。その時には、当館の職員が実物標本を用いて講演したり、現地にでかけて体験学習の指導を行っています

更に、毎年多く訪れる小・中・高等学校の児童・生徒、また自然愛好家の団体に対しては、職員の体験にもとづいた秋吉台の自然についての講演を行い、映画、スライドなどさまざまな映像によって、自然を楽しく理解していただくようにしています。近年では希望者に化石採集の体験学習も行っています

解説書と映像

秋吉台の自然の成り立ちと秋吉台の学術的重要性を広く知っていただくため、多くの解説書と映画を作成しています

解説書は「秋吉台3億年」、「カルスト台地と鍾乳洞」、「秋吉台の自然観察」、「秋芳洞の自然観察」など、それぞれの分野の一般向けのものを作成しています

映画は、秋吉台の成り立ちや、洞窟性動物の生態を詳しく解説した物を作成し多くの人々に見ていただいています

資料の収集と保管

博物館で収集する資料には、実物標本のほか、洞窟データや気象データなど各種の記録類、また、各種文献があります。当館の収集している実物標本は、秋吉台とその周辺の化石、岩石、鉱物、動物、植物、考古資料などで、これらには一般に展示する教育用の標本と研究用の標本があります

多くの教育用標本は、展示室の標本との展示替えができるように標本室に保管しています

研究用の標本の中には、国際動物命名規約にしたがって記載された多くの新属・新種を含む標本があり、これらはタイプルームに保管しています。こうすることで、いつでも研究者の要望にこたえられるようになっています

地質・古生物・動物・植物・洞窟に関する調査データも数多く、整理・保管しています

気象観測資料、地下水の分析資料も整理しており、これらの資料は研究者や自然愛好者はもとより地元の産業の発展にも役立てられています

当館には多くの博物館、大学、研究所の研究報告書が送られて来ています。それらは図書室に整理され、いつでも外部の研究者や自然愛好家をはじめ、多くの方々にも閲覧できるようになっています

秋吉台・秋芳洞の保全

学術的価値の高い秋吉台および秋芳洞をはじめとする文化財は、観光や学習に活用されながらも、保全されていかなければなりません。この保全と活用、一見矛盾するように見える諸問題も、自然保護思想の確立によって解決されてきました

この自然保護思想の確立は、秋吉台の地質、古生物、動物、植物、気象、地理、洞窟、地下水、考古、産業など、幅広い範囲におよぶ基礎資料の蓄積と、総合的な視野に立って、初めて可能となりました。これにより、目先にとらわれることなく、しっかりした視点で自然を見据えることができるようになりました。これらの基礎資料も、積極的に公開し、誰でも自由に利用できるようにしています

特別天然記念物である秋吉台・秋芳洞のすばらしさや大切さを、より多くの方々に知っていただきたいと思っております