1992年年賀状

あけましておめでとうございます。 我輩は犬である。有田家に来て早1年、旦那に引きずり回されていた我輩も、 自己主張できるようになった。もう、走りでは旦那に負けない。 それにしても去年の台風は怖かった。 我輩の小屋も吹き飛ばされた。旦那は強風の中ロープをつけて、 屋根に登り温水器を固定。 女将さんに怒鳴られ影の薄い旦那だが、 この時ばかりは大きく見えた。停電が1週間続いた。 人間なんて脆いものだ。日頃の贅沢を反省しろ。 我輩も1週間ドッグフードばかり食わされた。 今年は防府山の会に入るとか、女将さんはボーリングのJBCに入会するとか。 女の子は看護学校を目指すとか。 旦那はスキーに行きたいらしく、空を見上げて溜息をついている。 今年も旦那は芸北のスキー場に通うつもりらしい。人間は忙しい。 少しは、のんびりすれば 良いのに。 我輩の散歩はお預けだ。今年は日向ぼっこの毎日になりそうだ。 皆様のご健康と御多幸をお祈りいたします。 1992年  元旦              犬のファティーより

1992年暑中見舞い

暑中お見舞い申し上げます たんぼの埋め立てが進み、我輩の小屋から、かえるの声が、 だんだん遠のいて行きます。近頃、女の子を見なくなったと思ったら、 山口大学医療技術短期大学部に進学し、 一人暮らしを始めたらしい。 大根足の同締めでいじめられたが、居ないと寂しい。 大声の女将さんが大きな首輪をしている。 我輩も無駄吠えをすると、大きな首輪をされる。 女将さんと一緒なら仕方が無いと、諦めていたら、鞭打ちだそうな。 我輩も車に 乗れるようになり、旦那と山に行った。 岩場を旦那の後から駆け登ったが、途中から 後ろ向きに駆け下りた。悔しい事に我輩が落ちたと思って旦那が笑っている。 我輩が走りで勝つようになってから、我輩に出来ない事があると、 大喜びするのである。暑くなり大きな水溜りで泳ぐのが我輩の最高の 楽しみなのだが、旦那は面白くないらしい。 ちなみに旦那は犬かきでしか泳げない。 今日も暑い。木陰で昼寝でもするか。ア〜ア・・・・・・ 犬のファティーより ファティーは、毎日をのんびり、ゆったりとくらしていますが、私たちは、 あれやこれやと、人生退屈する暇もありませんが、まずは、平和です。 暑さ厳しい折から、くれぐれもご自愛にのほどお祈り申し上げます。 1992年  盛夏               犬のファティーより