痛み

もはやその警報すら持ち合わせていない

それが必要ないのは----------
















暁霧-3-





















「大佐!伏せ…」

凶弾は真っすぐにロイに向かう。しかしそれが目標に達することはなかった。

跳ね返された銃弾は持ち主の足を貫く。







「世の中やっていいこととやっちゃいけないことがあるって知ってる?」








もう二度と見ることができないと思ったあの光。

ロイは一度だけ強く目を瞑った。そしてやはり目を開くと入ってくる強い光にそれが虚像ではないと確信した。










「こいつらを傷つけることはやっちゃいけないこと。俺を殺すのはやりたきゃいくらでもやればいい」

…?」

先程まで横たわっていた場所には赤い水溜まりしかない。

その軍服はやはり自らの血で染まっていた。ただ先ほどまであった傷がない。

ゆっくりと歩みを進めるの足元からは濡れた音が断続的に聞こえてきた。

足跡として残されるのは赤い軍靴の跡。髪から滴り落ちる赤が光を受けてガラスのように光り輝いていた。

視点が定まらない瞳はどこか別の場所、別の世界を見ているようだった。

「ひ…、こ、殺したはず…」

その声に歩みを止める。口元だけが笑った。





「あぁ、痛かったよ。かなり、ね」







真紅の瞳と視線が合った瞬間、男はその場に倒れこんでしまった。

ついでに後頭部を強打して気を失ってしまった。

「ありゃ、困ったな」

表情からは想像できない声に駆け寄るタイミングを逃してしまった。

はしゃがみこんでつついてみるが泡を吹いて白目をむいている。

視線を感じたがふり返ると複雑な表情をした彼らがいた。

「あ」

立ち上がったはいいが目の前がちらついたと思ったら次は視界が暗くなった。

その場に座り込んだのもとに軍靴が音を立ててこちらに近づいてきた。

「しまった…、貧血だな…」

「本当になの?」

不安そうな声に胸が痛い。

「うん。驚かせてごめんね」

自分の頬にかかった冷たいものが涙であることに気付くのには少々時間がかかった。

「本当に死んでしまったかと…」

「死んだよ。確かに俺はさっき死んでた」

あるはずの傷はきれいに消えている。はかすかに空気がかわったのを感じた。

「言ったろ、俺はまだ死なせてもらえないんだ」

瞳は明らかにこの世界を映してはいなかった。

やはり血が足りない。次第に目の前から景色が消えていく。

「この世界に縛り付けられているから…」

再び閉じられた瞳。自らと世界を隔てるように固く閉じられた。

「おい!急いで救護車を!」

「了解!」







この世界に縛り付けられているから。








ロイの頭の中ではその言葉だけが繰り返される。

「まだ、一人で苦しんでいるのか?」

彼がいつも何も言わない理由もわかっている。

それでも何も知らないまま、ただ一人、歩くたびにボロボロになる彼の姿を見ているわけにはいかない。

届かない声は広い部屋に響き渡る部下たちの足音にかき消された。





















あとがきという名のいいわけ

一話にして復活。

…させないとロイが危険だw

さくっと復活させるパターンと葬式寸前復活のパターンがあったのですが腐りそうなのでさくっと復活。

あぁ、これもネタにできる…。_φ(..)

ネタはあっても書き起こすまでおっそろしく時間がかかって申し訳ない次第です。

これだけでは短いので次もUPしました。ぜひそちらもよろしくお願いします。


拍手本当にありがとうございます。

本当に嬉しいです(*^-^)