山口型住まいづくり部会 
 

 歴史と自然の豊かさを背景に地域ごとに様々な特徴を持つ山口は、共通の地域性が探しづらいと思われがちです。しかし身の回りの情景や遠くの景色そしてふれあいなど各地域の個性や宝物を大切にしようという想いや工夫が山口全体の風景を創っていく…。そんな考えを元に「山口型の住まいに必要なポイントを綴ったパンフレット」を作成しました。今後は一の坂川町並み環境整備の為のデザインガイドマニュアルづくりなど具体的な地域や形への提案を模索していきたいと考えています。歴史的建築物の新用途活用による甦生など部会の枠にとらわれず山口型住まいの新しい提案に取り組みたいものです。

小山 哲彦

 

■1 山口らしい住まいって…ってなんだろう?

 山口市は、中心部が山に囲まれた盆地であり、その周辺部は川、さらには海にいたるという自然の豊かさに加え、歴史的文化遺産も豊富な魅力的なまちである。
 さて、そんな特徴をもつ山口で住まいそしてまちづくりを考えるときに大切なことはなんだろうか。
 自然を楽しみ、共に暮らし、時には対応していく工夫を凝らすこと。さらに様々な歴史に育まれてきた風景がもつ心なごむ味わいを、どのような形で生かすか、未来に語りかけていくのかに想いをめぐらす事もこれからの住まいづくりに欠かせないものである。
 あなたのまわりにあるそれぞれのやまぐちを住まいに生かす手法をすこし探してみよう。
 住み手にはもちろん、周囲の地域、自然、広くは地球にとっても健康で快適な住宅を周辺環境とのふれあいや調和とともに見つめ直すことは山口らしい住まいづくりに結びついていくだろう。

■2 アンケートからよみとれる今、皆さんが問題としてとらえていること

 山口県は住宅着工戸数に占める工業化住宅の割合が全国で最も高い都道府県であることをご存知だろうか。
 このことから一見、在来木造住宅に対する山口の人々の関心は低そうに思われるが、本当にそうなのだろうか?市民は「住まい」についてどのような意識を持っているのだろうか?
 こんな疑問から、アンケート調査を実施した。「住まい」のことから「家族」のこと、さらには「地域」のことまで幅広い情報を持っている主婦のみなさんを中心にして、直接お話しをうかがいながら質問に答えていただいた。
 合計一〇四人から得られた回答を以下のグラフに整理してみた。

アンケートにみる「項目全体考察」
 回答いただいた方は、
  七五%が一軒家にお住まいで
  その内九五%が持ち家であり、
山口は比較的土地が手にいれやすい状況であることを裏付けるものであった。
  さらに家族構成は、核家族五五%
  二世帯一五%
  夫婦のみ一〇%
と、小家族化の傾向が見られた。それぞれ具体的な回答が多く得られたが、その中で主なものだけグラフにして紹介する。自然環境豊かな山口に住み続けていくためのキーワードがいくつかみられるようだ。







■3 気候からよみとれる山口

◆県内にみた山口の気候

 山口県は瀬戸内海側、日本海側、そして内陸で気候の特徴が異なっている。他地域と比較すると山口の中心市街地は次のような特徴がある。
●山口(中心市街地)は年平均気温一四・六℃で盆地型の気候の 
特徴である、夏暑く、冬寒い地域である。
●山口(中心市街地)の冬期の日照率(一二月〜二月)は萩、下
関と比較して高い。
●防府、萩と比較して山口(中心市街地)では風が弱い。
●防府、萩と比較して山口(中心市街地)では季節・時間帯によ
る特徴的な風向がない

 


■4 山口の四季


■5 自然素材活用のすすめ

 もともと見事にリサイクルをしていた植物国家日本。再度、建築材として考えてみよう。
(ア)再利用できる材料の使用はリサイクルの基本。
(イ)木・草・石・土等の自然素材はエコロジーの原点。
夏暑い冬寒い
気密性のたかまった現在の住宅で、
その両方に対応していくアイデアを
考える。
家の廻りにある自然を楽しむ
自然を家の中にどう取り込めるか、
積極的に自然と親しむ方法とは何か
を考える。

■6 おすすめしたい方向や方法

■7 山口の宝物

 まちの中にある宝物。どんなものがあるか、まず認識し、大事に守り、次の世代に伝えていきたい

■8 伝統文化・祭・行事

■9 家のどんなところがふれあいの場となるのだろうか

■10 山口型住まいづくり「提案」

 山口の気候・風土・歴史・市民の意識等を調査し、地域に根ざした住まいづくりの提案を行った。今後、市民の皆様がこの様な視点にたって住みよい住まい、そして山口らしいまちづくりに役立つ住まいを建てられることを願っている。

◆絆びるの家
大切なものを[つなげる]→[絆をむすぶ]→[山口弁では、きびる]
 家ってなんだろう。人それぞれの住まい方、ものの考え方が違うはずなのに住宅の多くはカタログショッピング的に選ばれがち。結果、日本中に同じ家があふれてしまう。人間の指紋同様、家族の指紋ともいえる住まいにはいろいろな形があって当然だし、もっと生活の根本として見つめ直してはどうだろう。
 家族の絆、地域の絆が希薄になってきた今こそ、「家族空間」としての共有の場を中心に、お年寄り、子供室などの個室はお互いに気配の感じられるものでありたい。扉を開け広げれば「家族空間」という一体感に家族の会話も増え一緒に住んでいるんだという意識も芽生えてくる。
 更に、外部との接点でもある玄関など、半戸外空間と室内への連続は、昔の土間のように、四季のうつろいを日常生活の中に取り込み、新しい井戸端会議の場になったりもする。そんな家族にも、地域にも密接に関われる家を提案したい。