やさしいまち研究部会 
 
★中心市街地再生

「中心市街地活性と市営アパートの建替えに伴うまちづくり提案

■1 コンセプト

 平成一〇年に、住宅マスタープランに基づき、山口市の中心市街地の活性化と市営中河原アパートの建替えに伴う、まちづくりの提案を行った。元々は老朽化してきた市営アパートの建替えの提案だったのですが、調査研究をしていくうちに現在山口市における中心市街地の空洞化を解消するための、山口の中心街に魅力ある市民生活の場と、活気に満ちたハートフルなまちづくりを目指す提案となった。
 まずは、テーマを模索するうちに次の五つに目標を置くことにした。
・中心市街地の定住人口を増やす
・立地条件を活かした魅力あふれるエリアの創造
・憩いのエリアの確保
・将来の市民生活(福祉等)を考えた計画を立てる・駐車場、道路(歩道を含む)等の基礎整備
 まずは現地の調査も行いながら、市営アパートの現状
と一の坂川周辺のまちなみも含めて山口の中心街の置か
れている現状を把握し、今ある自然を生かしながら、住
み良いまちをつくり中心商店街の活性化と協調、都市空
洞化と提案すべく検討を重ねていった。

背景
◇市営中河原アパートの現状と問題点
 ・耐用年数の半分に達し、老朽化が著しい
 ・2DK 三五平方メートルと住居面積が小さく、使いにくい
 ・五階建てなのにエレベーターが無く、社会的弱者が使いにくい
 ・市場との複合建築物なのに、両方の良さが活かされていない
・駐車場が無く、又周囲のゾーンとの結びつきが弱い
・中心市街地における立地条件、環境条件がうまく生かされていない

◇中心を流れる一の坂川の現状と問題点
 ・市民生活となじみが薄い。魅力が少ない
 (自然の良さを生かしていない)


  
中河原アパート付近           一の坂川沿い

中河原アパートの建替え

 ・現状と問題点
         ・山口市における位置付け

中心市街地の活性化
    ・定住人口を増やす
      ・山口らしいまちづくり
         ・商業地域と住まいの共存
・基盤整備

一の坂川周辺駅前駐車場を含めた計画


四つのブロックに分けて計画提案

これからの課題

・道路(車道、歩道、植栽)整備
・駐車場整備

■2 基本方針と計画のゾーニング

中河原アパート、公設市場…A敷地
中河原アパート、川端市場…B敷地
周辺地区と駅前駐車場を含めた計画とする

中河原アパートを敷地の現状から
Aブロック、Bブロックに分け、
駅前駐車場をCブロック
一の坂川周辺をDブロック
と四ブロックに分ける

 

■3 市営中河原アパート建替えに伴う周辺整備

 A敷地(中河原Aアパート・公設市場)
 B敷地(中河原Bアパート・川端市場)
▼西京橋から千歳橋までの一の坂川沿いの地域に住宅と市場を含め移転
 ・商店街の活性化に寄与する
▼A敷地の利用計画
 テーマ
 ・当該敷地は、銭湯小路通りまでの一体の街区を形成し、その一辺となるフロンテージを街として、
  形成するよう計画する。
 ・中心市街地の定住に寄与する観点から、公的住宅、民間住宅いずれにしても二〇戸程度の住宅と
  多目的集会所を計画する。
▼B敷地の公共的利用
 テーマ
 ・当該敷地は、図書館、美術館、博物館、教育会館などが立地する文化ゾーンとアーケードを軸にした道場門前、米屋町、中市を中心にした商業ゾーンをつなぐ中間点に位置する。
 □多目的なイベント広場
・ 山口の祭り、行事に対応した利用を配慮する
・ 四季折々の山口の環境に合ったしつらえをする
 □公園としての利用
・ 隣接する一の坂川を生かし親水空間を創出する
・ 人の賑わえるスペースとする
・ 街中の休息できるスペースとする
 □情報ステーション
▼駅前駐車場に住居部分のみ移転
 □今後の課題
  駐車場台数は、入居者と従前駐車台数以上は確保し、利便性を生かし駐車場経営をする
  当該敷地にこだわらず周辺一帯による整備をし、駅前の顔となるべく施設整備をする
・ 市街地再開発事業
・ 優良建築物等整備事業

■4 中河原アパートの建替えに伴う市街地活性化への提案(一の坂川周辺整備計画)

このブロックは、西京橋から千歳橋までの一の坂川沿いに街区を形成しており、多用な可能性を持つブロックといえる。
まちなみには、そのまちの歴史や文化を表す顔があり、住み良いまちは良い表情を持っている。
中河原アパートの建替えを期に、山口の明日のまちづくりを考える。

1 山口らしさを生かしたまちづくり


  一の坂川沿いに発達した独特の敷地を活かし、商店街との連帯をふまえた有効な土地利用が図れる
 形態とする。
・ 「西の京山口」としての歴史、文化、自然の特性を大切にした "山口らしさ "の創造
・ 近隣商店街としての充実も、住み良いまちづくりへの第一歩
・ 観光客にも楽しめる商店街に
・ 美しいまちなみは公共の財産


2 中心市街地での定住を確保する

 商店街に近接した住宅としての長所を活かしつつ、住宅プランの合理性を保ちながら居住環境を
疎外しないような配慮を加える。
  ・夜間でも中心市街地の住人同士が、相互に買い物ができる環境を大切にする
  ・店舗や市場を一の坂川に面して造ることにより、アーケード街からのアクセスも可能


3 まちの多様性を確保する

 世代にとらわれない定住環境として対応し、一団地としてのコミュニティーを形成する。
  ・商業施設だけでなく住宅や公共施設もあるバランスのとれたまちづくりを目指す
  ・店舗の共同化等フレキシブルな対応を考える
  ・スケルトン定借も利用可能


4 都市の基盤整備

 駐車施設を商店街の裏道と併用し、川沿いからの動線を活かした裏道ネットワークを整備する
  ・魅力ある商店街、中心街での定住を確保するためには、それをささえる都市基盤の充実が不可欠
・ 河川は河道の整備と共に一の坂川らしい自然な景観の再生を図る
・ 駐車場は店舗、住宅への出入りを考え低層にする
・ 共同溝を設け、都市機能の効率化と街並みの整備を図る


●エリアマップ

●中河原周辺整備イメージ         ●桜まつりイメージ

●一の坂川沿い整備イメージ

●断面イメージ図