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新規就農

就農ポイントその一、

農業だけでは楽な生活は難しい。

経 済

就農を否定しているわけではありません。

役所の人は農業だけで食べていくのは難しいと堂々と言ってのけますが、

中山間地域では他に仕事はありませんから専業農家になってしまいます。

全く生計が立たないというわけではありませんが、

贅沢な暮らしをするためには農業以外の収入か、

手持ちの資金が必要になってくるということです。

しかし農業をしながら他の仕事はなかなか出来ませんから、

農業以外の収入としては、インターネットで稼ぐとか不動産を売買するとか、

アパートの家賃収入であるとか、あまり労力を必要としないものが理想的だと思います。

一番理想的なのは退職金をたくさんもらって金銭的に余裕のある人が

過疎地に転入して農業にかかわっていくという方法。

しかし生活の基盤が確立されている人が、

なれない農業を本気でするかどうかが問題になってきます。

地元では労働力も確保できません。

都市部に暮らしている人が仕事の時だけ農園に来て、

片手間に農作業をするくらいではまともな経営は出来ません。

農園は荒れるばかりで近くの農園にも迷惑をかけることになりかねません。



就農ポイントその二、

あらかじめ農業を経験しておくほうが良い。

援 農

もともと長期にわたりサラリーマン生活を送っていたこの新規就農者が、

なぜ農業に関わることになったのでしょうか。

職業は看板製作やコンピューターのソフト、フォトショップやイラストレーター

などを使うデザインの仕事に携わっていました。

それがある理由で勤めていた会社を定年前に辞めることになり、

自分で起業し、看板、塗装、POP、などの仕事をしていましたが

景気の低迷の中でなかなか利益が上がりません。

そこで地域情報誌の広告に出ていた、

農業支援の仕事をやってみようということになり、

その説明会に参加したのです。

国立大学の大学院に通っていた一人の女性が、

援農のために教授とともに設立したと聞いていますが、

この組織の基本的な動きは、

農家で人手が必要な時、必要な人数で応援に行くというものです。

本業として生活が成り立つだけの収入にはなりませんが、

何もしないよりは生活の足しになります。

最初は大学生だけの組織だったそうですが、

学生は本業が勉強ですから平日にはなかなか動くことが出来ません。

それが理由で農家から平日も手伝ってもらえないかという相談があり、

学生中心の援農隊が一般の社会人を募集したというわけです。

私が加入したのは農業従事者の高齢化により作業に対する負担が大きいことや、

後継者がいないために人手が足りないこと、

また離農により農地が荒れてしまっていること、

それに日本の食糧自給率が低いことも一つの理由でした。


就農ポイントその三、

利益の上がる農産品か、土地や果樹の体質は良いか。

農 地

この地域の果樹園はほとんどが組合の組織に加入していて、

栽培を指導するシステムがあることや共同出荷もしている事は、

以前から仕事をさせてもらっていたので知っていましたから、

そういうことも参考にした上で今後の行動を決めることにしたわけです。

園地の構造や土地、樹木の性格、また機械を使用できることも、

後で考えると結果的には非常に恵まれることになったのです。

それに、隣の園地では地主さんが25アールくらいの園を管理しておられたので、

一年間の作業全般について指導をしてもらうことも出来たのです。

同じ果樹を栽培する場合でも農園の場所や地質などによってその労働条件や、

その結果が大きく違ってくることになるので、

簡単に決めてしまわないでその条件をよく調べてみたほうが良いでしょう。


就農ポイントその四、

仕事が自分に合っているかどうか、年間の作業手順を知る。

労 働

栽培する農産物の種類によって、作業内容が全くといっていいほど違いますから、

自分にやれるのかどうかを体験しましょう。

サラリーマン時代は朝8時から夕方5時まで仕事をすれば、

あとは何も考えないで家に帰って一杯飲んで終わりです。

しかし農業の場合は一年を通じて常に作業現場のことを考えていなくてはなりません。

こうしていつも現場に対応するという習慣がありませんから難しい場合もあります。


就農ポイントその五、

地域の生活環境を調べる。

住 居

近隣にどんな人が住んでいるのかも解らないしこの地域の習慣も解りません。

夜は静かなのですが静か過ぎて外は真っ暗だし、

一歩踏み出せば本当に真っ暗で道路わきの溝がどこにあるかもわからないのです。

一緒に飲もうと誘われたのは良いのですが、

懐中電灯も自転車もないので携帯電話の灯りでやっとのことでたどり着きました。

農業地域ではこういう場所が多いでしょうから、

それなりの下調べや下準備が必要でしょう。

でも最近ではみんな車の運転をしますから少し離れた都市部、

といっても人口数万人から十万少しの都市くらいしかありませんが、

それでも食品など物価はかなり安いしセンスの良い店もあります。

有名な温泉地もありますからストレス解消にはなります。

また、過疎地では町内に数箇所しか店舗がない場合が多く、

買い物も不便を感じることが多い。


就農ポイントその六、

収穫した農産品が安定して売れるのか。

販 売

まずその条件として販売できるだけの組織があるのかどうか、

また近隣に中堅以上の比較的人口の多い都市圏があるのかどうか。

協同組合があってみんなが作った農産品を集め、

共同で出荷するシステムがあれば最も望ましいのですが、

そういうシステムがなければ直売所を設けるか集めて市場に卸すなどの必要があります。


就農ポイントその七、

日々の生活資金をどうする。

資 金

取り敢えずの生活資金は必ず必要です。

私の場合初年度はほとんど利益なし。

そこから生活費を捻出することなど不可能で、

自己資金を切り崩したり副収入でまかなうしかないありさま。

多くの場合がこういう状況なので、

新規就農は二年から三年くらい、

利益なしで食べていけるだけの資金が必要といわれていますが

その金額は家族構成によっても違ってきますから、

それぞれの家庭で年間の生活費を計算する必要があります。


就農ポイントその八

新規就農者の経済効果は助成金を上回る。

助 成

農業経営が黒字になるまで数年以上かかりますから、

借金をしないためには生活資金として、

1500万円から2000万円の資金が必要になります。

その他に前出の農業機械購入資金、

SS、トップカー、トラック、その他の農業機械等合わせて約500万円。

農業用のビニールハウスなどが必要であれば更に加算しておかなければなりません。

結局3000万円くらいあれば借金無しでも農業が出来るということになりますが、

これほどのお金持ちが新規就農する必要があるのでしょうか。

やはり役所やJAの戦略として、農業人口を増やして資金を貸し付け、

収入を増やしていくという施策なのであろうと推測が出来るわけです。