歴史的な一歩 被爆二世集団訴訟 広島・長崎で47人が提訴
 全国被爆二世団体連絡協議会(全国被爆二世協)は、歴史的な一歩を踏み出しました。2月17日広島地裁に22人が、2月20日長崎地裁に25人が、「原爆被爆二世の援護を求める集団訴訟(被爆二世集団訴訟)」を提訴しました。原爆放射線の次世代への影響を問い、国による援護対策を求める初めての訴訟です。
 私たち被爆二世は、親が受けた原爆放射線の遺伝的影響を否定できない状況に置かれた核の被害者です。これまでに多くの被爆二世が親である被爆者と同じような病気、がんや白血病などで亡くなってきました。そして今も、そのような病気で苦しんでいる被爆二世がいます。全国被爆二世協は1988年に発足し、30年近くにわたって、このように苦しんでいる被爆二世に対する国の援護対策を、政府(厚生労働省)や国会に対して求め続けてきました。しかし、被爆72年を迎えようとしている今日に至っても実現していません。私たちは、やむなく司法の場での解決をめざすことを決意しました。
 私たちは、これまで被爆者の次の世代である被爆二世・三世を第五の被爆者=5号被爆者として位置づけ、被爆者援護法を適用することを求めてきました。しかし、国会は被爆二世に対する援護を法律で定めていません。私たちは、このような立法不作為を違法として、精神的苦痛に対する慰謝料を請求する訴訟を起こしました。しかし、私たち原告が慰謝料を勝ち取ることが訴訟の目的ではありません。全国被爆二世協が、すべての被爆二世を代表して訴訟を起こし、この訴訟を通して問題の所在を社会的に明らかにし、この訴訟をすべての被爆二世を援護の対象とする国による立法的措置の契機とすることを目的としています。
 そして、この訴訟は、原爆被爆二世の問題にとどまらず、世界の核被害者の次の世代の問題解決につながると思います。私は核兵器の非人道性の最たるものの一つが放射線の次世代への影響だと思っています。そのことが世界の共通認識となれば、核(原発を含む)廃絶につながるものと確信しています。
 困難な闘いになるかもしれませんが、すべての核被害者の次の世代の問題解決と核廃絶をめざす闘いは私たち被爆二世の使命であることを自覚し最後まで闘い抜いていきたいと思います。皆さんのご理解とご支援をお願いします。

全国被爆二世団体連絡協議会会長、被爆二世集団訴訟原告団長 崎山昇

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