被爆二世集団訴訟 被告国側が反論を陳述
─第2回口頭弁論および追加提訴第1回口頭弁論─

入廷する原告と弁護団
 全国被爆二世団体連絡協議会(全国被爆二世協)は,今年2月17日広島地裁へ原告22人が,2月20日長崎地裁へ原告25人が,「原爆被爆二世の援護を求める集団訴訟(被爆二世集団訴訟)」を起こした。その後,広島では第1回口頭弁論が5月9日に行われ,その後6月15日に4人が追加提訴した。第2回口頭弁論と追加提訴第1回口頭弁論が8月22日に行われ,併合された。また,長崎では5月24日に1人が追加提訴し,第1回口頭弁論が6月5日に行われた。
 そして,9月26日長崎訴訟の第2回口頭弁論および追加提訴第1回口頭弁論が行われた。弁論ではまず追加提訴の審理が行われ,原告側が訴状(2月20日提訴と同じ)を陳述し,被告側が答弁書(請求の棄却を求める)を陳述した。その後,追加提訴した江頭玲子さんが,自身の健康不安や体調不調について語り,「父や母が受けた原爆の被害が,私たちの体まで蝕んでいるのであれば,国は,国の責任によって,私たち被爆二世に対しても,被爆者と同じように,法的な援護を行うべきではないでしょうか。この裁判で,私たち被爆二世の切実な思いが実を結ぶことを願っています」と意見陳述を行った。そして,2つの事件は併合された。
 次に,被告国側が提出した第1準備書面(原告側請求の棄却を求める被告の主張など)を陳述した。その中で被告国は,@被爆二世を被爆者援護法の適用対象としない立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける余地はない,A親が原爆の放射能に被曝したことによって被爆二世が発がんリスク増加など遺伝的影響を受けることは科学的に証明されておらず,被爆二世が親の放射線被曝による遺伝的影響を受けることを前提として被爆者援護法が憲法違反であるとする原告らの主張は,前提を欠き失当である,と主張した。次回は私たちが反論を行うことになる。
 この訴訟では,被爆二世を被爆者援護法の対象外とすることは,「生命,自由及び幸福追求権」を保障する憲法13条に,「平等権」を保障する憲法14条1項に違反するとともに,国会が被爆者援護法を改正し,被爆二世に適用範囲を拡大する被爆者援護法の改正を行ってこなかった立法不作為は国家賠償法1条1項において違法として,被爆二世が被った長期間にわたる多大な精神的損害の賠償として原告1人につき10万円を請求している。しかし,私たちは,損害賠償が目的ではなく,訴訟を通じて問題の所在を社会的に明らかにし,国の立法的措置をめざしている。困難なたたかいになるかもしれないが,最後まで頑張りますので,ご支援,ご協力をお願いします。
 長崎の第3回口頭弁論は2018年2月6日(火)14時20分〜

全国被爆二世団体連絡協議会 会長
被爆二世集団訴訟 原告団長 崎山昇

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