活動報告

2019全国被爆二世交流会inHIROSHIMA
 2019年2月16日(土)〜17日(日)に広島市のホテルチューリッヒ東方2001において「2019全国被爆二世交流会 in HIROSHIMA」を開催しました。例年であれば交流会は長崎市で開催するところですが,今年は全国被爆二世協が結成されてから30周年という節目の年にあたることと「第五の被爆者2」の出版報告ということで,広島市で開催しました。
 1日間は,崎山会長のあいさつから始まり,原水禁や被団協から連帯のあいさつをいただきました。その後「第五の被爆者2」の出版報告をしました。
 続いて,記念講演Tとして弁護士の在間秀和さんより「日本政府は『核』にどう向き合っているか−被爆二世裁判からみえるもの」という演題で講演をしていただきました。在間さんは被爆二世の援護を求める集団訴訟の弁護団長で,今回の裁判の経過や意義について話していただきました。また,日本政府の核政策や戦後の国の援護に対する姿勢について厳しく指摘されました。
 記念講演Uでは,医師の振津かつみさんより「ヒバクシャとしての被爆二世・三世」という演題で講演していただきました。振津さんは長年にわたり医師として被爆二世運動やフクシマの運動,そして,世界の核被害者の運動に深く関わってこられました。その視点で,これからは被爆二世が核廃絶の運動の中心で頑張ることが大切だ,と話されました。
特別報告としては,崎山会長よ「被爆二世の人権確立と核廃絶を目指して」−国連における取り組み−という題で報告しました。2018年4月〜5月にかけてのジュネーブの国連欧州本部で行われたNPT再検討会議準備会での全国被爆二世協の取り組みや2020年NPT再検討会議参加についての行動提起もありました。
 その後,島根県被爆二世の会や山口被爆二世の会から活動の報告が成されました。
 夜は,懇親会で会員それぞれの思いなど語られました。
 2日間は,小宮副会長のあいさつに始まり,各組織からの報告や被爆二世としての思いなどが語られました。鹿児島県原爆被爆二世の会・広島二世協の仲間・大阪被爆二世の会・長崎二世協の仲間など多くの方の発言があり,時間が不足してしまうほど盛り上がりました。
 その後,平野事務局長より全国被爆二世協としての「今後の取り組み」を提起しました。
 会の終わりに,寺中副会長のあいさつで2日間の日程を終了しました。大変有意義な交流会であったと思います。


特別決議
米国の中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄と、ロシアのINF全廃条約の履行停止に強く抗議する。この核軍拡競争を阻止し、核の無い世界を実現するために、今すぐ日本政府が核兵器禁止条約を批准することを私たち被爆二世は強く求める!

 全国被爆二世団体連絡協議会は発足して30周年を迎えた。私たち被爆二世は、親が受けた原爆被害の苦しみを間近に見て育ち、自らも健康不安や健康被害を抱える放射能の遺伝的影響を否定できない第5の被爆者である。多くの被爆者が死去していく中で、核の無い世界を実現するために核兵器による人権侵害を訴える社会的責任を私たち被爆二世(三世)は強く自覚する。
 現在、私たちは二つの大きな闘いを進めている。一つは、被爆地(広島・長崎)で取り組まれている被爆二世集団訴訟である。これは、国の立法不作為を問い、被爆二世の援護施策を国に求めるものである。全国の被爆二世が注目している裁判であり、世界中の核の被害者の次の世代の問題でもある。もう一つは、国連人権理事会に対して被爆二世の人権保障を訴えていく取り組みである。被爆二世(三世)が被爆者と同じように核の被害に悩み苦しんでいる事実は、核の人権侵害の最たるものの一つである。この事実を世界に伝えることによって、私たちは核兵器を廃絶する力とする。
 しかしながら、米国は広島・長崎への原爆投下を反省することなく、私たち被爆者・被爆二世(三世)の核兵器廃絶の強い願いを無視して、2月1日、ロシアとのINF全廃条約の一方的な破棄を表明した。2日には、ロシアもINF全廃条約の履行義務を停止した。これは際限なき核軍拡への道であり、私たち被爆二世は絶対に許すことはできない。私たちは米国とロシアにINF全廃条約の履行だけではなく、核兵器をゼロにするための努力を強く求める。新たな核兵器開発は許されない。
 今月下旬には、2回目の米朝首脳会談が予定されている。朝鮮戦争の終結と南北の自主的平和統一は、東アジアに平和をもたらす大きな力となる。
 こうした世界情勢の中で、本来核兵器廃絶の先頭に立たなければならない日本政府が、核兵器禁止条約を批准することなく、核兵器保有国と核兵器を持たない国の間を取り持つとして曖昧な態度を取ってきたことが、核兵器保有国とりわけ米国の「核態勢の見直し(NPR)」による新たな核軍拡をもたらしている。
 日本政府に対して、自ら率先して核兵器禁止条約を批准し、米国を始めとする世界中の核兵器保有国に核兵器による人権侵害を訴え、核兵器禁止条約を批准するように強く求めることを要請する。
 私たちは、発足30年にあたり改めて“核と人類は共存できない”ことを確認し、以上決議する。

2019年2月16日
     全国被爆二世団体連絡協議会             
     2019全国被爆二世交流会 in HIROSHIMA 参加者一同
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