活動報告

2020要請書
                             2020年 7月15日

厚生労働大臣
加 藤 勝 信  様

                       全国被爆二世団体連絡協議会
                        会長 崎山昇 (公印略)

    被爆75周年、被爆二世・三世の援護対策実現に関する要請書

 日頃から、国民の生命と健康を守るためにご尽力されていますことに心から感謝申し上げますとともに、今年は特に新型コロナウイルス感染防止対策へのご尽力、心から敬意を表します。
 さて、今年は原爆投下から75周年を迎えます。被爆者は高齢化が進んでいますが、被爆二世も高齢化し、ガン年齢に達し、最高齢は74歳となります。これまで、被爆二世は、原爆放射線の遺伝的影響を否定できない原爆の被害者として、親と同じようにガンなどの病気で亡くなったり、ガンなどの病気に罹るのではないかという健康不安や、ガンなどの病気とたたかいながらの生活を強いられるなど健康被害に苦しんでいる被爆二世が多くいます。
 当会では、1988年12月の結成以来30年以上にわたって、国による被爆二世・三世に対する援護対策を求めてきましたが、私たちの要求は未だに実現していません。しかし、被爆70周年にあたる2015年8月6日、広島で当時の塩崎恭久厚生労働大臣が、翌年4月から、被爆二世健康診断に多発性骨髄腫の検査を追加することを検討している旨を明らかにし、塩崎厚生労働大臣のご尽力によってそれが実現し、被爆二世健康診断を健康増進法に伴うガン検診と一緒に受診すれば、被爆二世も被爆者と同様の健康診断が受けられるようになりました。
 私たち被爆二世の団体では、広島県、広島市、長崎県、長崎市にも申し入れを行い、毎年被爆二世・三世への援護対策について協議し、協議結果を参考にして、県や市は、被爆二世・三世対策について国(厚生労働省)へ要望しています。私たちは、今年が被爆75周年という節目の年であることを踏まえ、県や市に対して、当会が国(厚生労働省)に対して要求していることや、県や市が国(厚生労働省)に対して要望していることが何か実現できるように努力してほしい旨、要請してまいりました。
 当会では、毎年、厚生労働大臣あて「要請書」(別紙)のとおり、要求をさせていただいておりますが、「新たな科学的知見がない」ことを理由に全く要求が実現できていません。全国には30万人とも50万人ともいえわれる被爆二世が存在し、その中には健康不安や健康被害に苦しんでいる被爆二世がいます。そこで、貴職に対しまして、今年が被爆75周年という節目の年であることを踏まえていただき、私たちが県や市に要望している以下の項目のうち、何か実現できるように、これまでの厚生労働大臣同様、力を尽くしていただきますように改めて要請させていただきます。

1 生活と健康についての実態調査
 被爆二世・三世がどのような生活実態、健康実態にあって、行政に対してどのような施策を求めているのか把握し、今後の施策に活かすための被爆二世・三世に対する生活と健康についての実態調査の実施を求めています。

2 健康診断の充実(ガン検診の追加)
前述しましたが、被爆70周年を機に、当時の厚生労働大臣のご尽力によって、被爆二世健康診断に一般健診として多発性骨髄腫の検査が加わり、健康増進法に伴うガン検診と併せて受診すれば、被爆二世も被爆者同様の健診が受けられるようになりましたが、被爆二世健康診断に被爆者健診同様のガン検診を追加し、被爆二世健診を受診すれば、被爆者同様の健診が受けられるようにすることを求めています。自治体によっては独自にガン検診を行っている自治体があります。

3 医療の措置(再検査及び治療にかかる費用負担)
 被爆者健診同様の被爆二世健診を受診し、ガンなどの病気に罹患していることが分かった場合、再検査やその治療にかかる費用は高額となり、被爆二世の大きな経済的負担になりますので、医療の措置を求めています。自治体によっては被爆二世に対して医療費の助成を行っている自治体があります。

4 「被爆二世健康手帳(仮称)」の発行
 被爆二世が自らの健康診断結果を記録し健康管理に役立てるための手帳の発行を求めています。自治体によっては何らかの「手帳」を発行している自治体もあります。

5 健康診断の被爆三世への受診拡大
被爆二世健康診断が始まったのが1979年度からです。当時被爆二世は最高齢が33歳でしたが、被爆二世の健康不安を解消するためにと、被爆二世健康診断が始まりました。これまで、被爆二世は子どもである被爆三世の健康に対する不安から、被爆三世への健康診断の受診拡大を要望してきました。被爆三世も既に33歳という年齢は超えています。健康に対する不安を持ち、受診を希望する被爆三世も「被爆二世健康診断」が受診できるようにすることを求めていますし、国に要望してほしいと求めています。

6 それらに加えて、在外被爆二世が居住国で日本の被爆二世と同様の健康診断が受診できるように国に要望してほしいと求めています。当会としても、これまで厚生労働大臣に対して要望してきました。同じ被爆二世でありながら、居住国によって受けられる施策が異なるというのは理不尽なことです。被爆者がどこにいても被爆者であるように、被爆二世もどこにいても被爆二世です。被爆75周年を機に実現できるように改めて検討を要請いたします。

                            2020年7月15日
厚生労働大臣 加 藤 勝 信 様

               要 請 書

                           全国被爆二世団体連絡協議会
                            会  長   崎 山  昇
                             公印略

 1945年8月6日,9日広島・長崎に投下された原爆は20万人以上の人々を殺傷したばかりか,生き残った被爆者にも放射線による後遺症という苦しみを背負わすことになりました。しかも,原爆の恐怖は被爆者のみにとどまらず,それらの被爆者を父や母・祖父母として生まれた「被爆者の子ども・孫」,すなわち「被爆二世・三世」の問題としても引き継がれていきました。
 原爆被爆二世は,全国に30万人とも50万人とも存在するといわれています。被爆者と同じような苦しみ,悩みはそのまま未来世代へと引き継がれてきています。
 これまで,政府・厚生労働省は被爆二世・三世の健康実態調査を拒み,その対策をおろそかにしてきました。被爆二世に対する国の施策もわずかに年に1度の「被爆二世健康診断」がなされているにすぎません。
 わたしたちは,原爆被爆二世の援護を進めるために,以下のことを求めます。

                              記

1 「被爆者援護法」を国家補償と被爆二世への適用を明記した「被爆者援護法」に改正すること。
  @ 被爆二世健康診断に,ガン検診を加え,充実させること。
  A 健診の結果に応じた医療措置をおこなうこと。
  B 被爆二世の実態調査を行い,被爆二世へ「被爆二世健康手帳」を発行すること。

2「被爆二世健康診断」を,すべての自治体で希望者全員が受診できるよう予算措置を講ずるとともに,自治体を指導すること。

3 放射線影響研究所の「被爆二世臨床調査」について国として責任ある対応を行い,被爆二世の援護対策にいかすこと。 

4 在外被爆二世に対する「被爆二世検診」については,居住国の医療機 関で受診できるような措置を講じること。

5 在外被爆者に被爆者援護法を適用し,被爆者の平等な援護をおこなう こと。

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