活動報告

被爆76周年原水禁世界大会長崎大会 ひろば
「被爆二世運動の意義と展望」
 原爆投下によって生み出された被爆二世は、原爆放射線の遺伝的影響を否定できない核の被害者として生きてきました。そして、全国被爆二世団体連絡協議会(全国被爆二世協)の活動は、国内では被爆二世集団訴訟をたたかい、国連人権理事会で自らの人権保障を訴えたことを契機に、被爆者が高齢化していく中、国際社会では、自らの体験を踏まえ、将来世代を含む核被害者の人権確立と核廃絶を訴えるに至っています。被爆76周年を迎える今年、被爆二世運動の意義について考え、今後の展望を切り開く一歩にしたいと、全国被爆二世協と長崎県被爆二世の会の共催で、8月8日(日)18時〜19時30分、長崎県勤労福祉会館4階第2・3中会議室において“ひろば”を開催しました。
 はじめに、被爆二世集団訴訟の弁護団長・在間秀和弁護士が「被爆二世集団訴訟の意義と展望」と題して報告を行いました。在間弁護士は、被爆二世裁判のこれまで(2017年2月提訴、被爆者援護法に至る経過、被爆者とは?、何が争いになってきたか?、国の反論・反証と黒い雨訴訟判決)について、その後、裁判のこれから(今年12月〜来年初頭両地裁で証人尋問、来年3月頃?最終準備書面提出、そして判決へ)、国の対応の特徴について報告しました。最後に、裁判の論点は何か?について、T「放射線による被害の遺伝的影響」は「ある」ことが科学的に根拠付けられなければならないのか、「ない」ことが根拠付けられる必要があるのか、「『ある』ことが否定できない」で足りるのか、U3号被爆の趣旨について、黒い雨訴訟広島高裁判決の趣旨を、被爆二世問題に当てはめることができるのか、V以上の点がクリアできるとして、国(国会)の立法不作為が認められるのか、W国の立法不作為が認められるとして、国の損害賠償を含めた法的責任は肯定されるか、と話し、会場からの質問に「悲観的状況ではない」と答えました。
 続いて、全国被爆二世協の崎山昇会長が、「将来世代を含む核被害者の人権確立と核廃絶をめざして−被爆二世運動の意義と展望−」と題して報告を行いました。崎山会長は、全国被爆二世の取り組みについて紹介し、被爆二世集団訴訟がすべての被爆二世を援護の対象とする立法的措置の契機になれば、すべての核被害者の人権確立につながること、@国内的には被爆二世集団訴訟、立法的措置に向けた国会対策、A国際社会においては国連協議資格の取得、次回UPRに対する取り組み、2022NPT再検討会議への代表団派遣、核兵器禁止条約締約国会議へ向けて「被害者」に被爆二世や将来世代を含めることなど今後の取り組みについて報告しました。そして、世界の核被害者との連帯や、次世代への継承、フクシマでも被爆者援護法に準じた法整備が必要であること、にも言及しました。
 最後に、崎山会長から、被爆二世集団訴訟がいよいよ終盤へと向かうことを踏まえ、参加者の皆さんに引き続きのご支援とご協力をお願いしました。
(文責:全国被爆二世団体連絡協議会 会長 崎山昇)

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