活動報告

原爆放射線の人体への影響という重要問題に真摯に向き合って頂きたい
 今年6月29日14時30分から長崎における被爆二世集団訴訟の控訴審第1回口頭弁論が福岡高裁で行われました。今後の進行について、国側は「弁論終結」を求めましたが、裁判所は証人尋問の必要性も含めて検討したいと「続行」するとして、次回期日を決定しました。原告側は、8月31日までに、「国側の準備書面に対する反論の準備書面」「振津証人の尋問の必要性に関する書面」を提出することになりました。その後、丸尾育朗さんの意見陳述書を控訴人崎山昇が代読し、在間秀和弁護士が意見陳述を行いました。
   第2回口頭弁論は、10月17日(火)14時30分からとなりました。

  ○丸尾育朗さんの意見陳述(抜粋):私は、被爆二世として、健康問題、特にガンや白血病で苦しむ多くの被爆二世の実態を見て、その死と向き合ってきました。私自身もガンを発症し、今その渦中にあります。/私たち被爆二世は、戦後生まれで、戦争を直接体験してはいません。にもかかわらず、原爆投下による核被害者、「被爆者」の子供として、自らの命と引き換えに過去の戦争責任をとり続けています。そのことだけは、司法の立場にあるものとして理解していただきたいと強く念じています。/私たちが、文字通り「命がけ」の闘いとして高裁に提訴していることを、肝に銘じてほしいと思います。/私の本人尋問では、被爆二世の仲間が相次いで亡くなっていったことや、私自身のガン罹患により、被爆二世への放射線の影響を否定できないこと、数多くの論文により、放射能により遺伝的影響がある事が実証されていることを訴えました。
  /また、裁判所に対しては、司法の独立という観点からも、裁判長に正しく判断してもらうよう訴えましたが、全く聞き入れてもらえませんでした。/国側の被爆二世への遺伝的影響についての反論はあまりにも「無知」と言えるもので、私たちの主張に全く反論できていません。/裁判所が何の見識もなく国の意見に従うことが無いよう重ねてお願いもうしあげます。

  ○在間弁護士の意見陳述(抜粋):原判決から受ける印象は、原審の裁判官は、まず本件の結論、つまり被控訴人の立法不作為を認めず原告らの請求を棄却する、という結論を設定し、その結論に都合の良い論を展開する、というものです。どのように読んでも、控訴人らの主張に真摯に向き合い、資料を正面から検討したものとは思えないのです。/問題は、核兵器による放射線被害をどのように見るのか、という重大問題です。その人体への影響は未だに十分解明されていません。核を積極的に位置付けようとする人たちは、どうしてもヒトへの影響を過小に見ようとします。しかしその方向に対し何らのチェックもなされないとすれば、その先には核による人類の滅亡が待っています。/私たちが本件で裁判所に求めるのは、この原爆放射線の人体に対する影響という重要問題に真摯に向き合って頂きたい、ということです。


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