被爆二世集団訴訟

論戦はいよいよ佳境へ
─被爆二世集団訴訟 長崎 第4回口頭弁論─
全国被爆二世団体連絡協議会会長         
被爆二世集団訴訟原告団長   崎山 昇 
 去る6月19日「原爆被爆二世の援護を求める集団訴訟」の長崎における第4回口頭弁論が長崎地方裁判所で行われました。
 被告国側は,私たち原告側が1月12日付で提出した,被爆二世に対する立法義務を基礎づける十分な科学的根拠があることを主張した「原告ら準備書面1」に対する反論である「第2準備書面」を6月12日に提出しました。口頭弁論で,被告国側がその準備書面を陳述し,次回期日を10月16日14時からとすることを決めました。私たち原告側は9月中に反論の準備書面を提出することになります。論戦はいよいよ佳境に入ります。
 被告国側は,「第2準備書面」で次のとおり主張しています。1.親の放射線被曝により被爆二世に健康影響が生じることの立証責任は,原告らにある(@原爆放射線により被爆二世に健康被害が生じることについては,国賠法上の損害賠償請求権の存在を主張する原告らに立証責任がある。A被爆者援護法は複合的性格を有しており,国家補償的側面のみを強調するのは誤りである)。2.親の放射線被曝によって被爆二世の健康に影響が生ずることを示す科学的知見は存在せず,原告らが指摘する研究報告等をもって,これを認めることはできない(@放射線被曝による遺伝的影響に関する最新の見解においても,親の放射線被曝による遺伝的影響として明白に確認されたものはないとされている。A原告らの指摘するマウス等の実験や研究結果をもって,放射線被曝により人間に遺伝的影響が生じることを証明する科学的知見とはいえない。B原告らの指摘する調査研究結果等によっても,親の放射線被曝により被爆二世の健康に影響を生じたことが科学的知見に基づき証明されたとは認められない−ガードナーの疫学調査結果やディキンソンらの研究結果,鎌田七男らの研究は,親の放射線被曝により被爆二世の健康に影響が生じることを科学的に証明するものではない。放影研の調査に対する批判があるとしても,そのことをもって,同調査の信用性が否定されるものではない)。
 この訴訟は,原爆放射線の遺伝的影響を問う初めての裁判であり,歴史的な裁判です。全国被爆二団体連絡協議会の会員がすべての被爆二世を代表して訴訟を起こし,裁判を通して問題の所在を社会的に明らかにし,国によるすべての被爆二世に対する立法的措置の契機とすることを目的としています。このたたかいは被爆二世の問題だけではなく,フクシマの被害者や世界の核被害者の次の世代の問題解決や原発を含む核廃絶につながります。核被害者の次の世代の問題解決と核廃絶は私たち被爆二世の使命であることを自覚し,最後まで頑張っていきたいと思います。大変困難なたたかいになるかもしれませんが,皆さんのご支援とご協力をお願いいたします。
雨の中入廷する原告団

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