被爆二世集団訴訟

「みなし被爆者」との比較において憲法14条(平等原則)違反の事実がある
− 10月6日、長崎地裁で第2回弁論準備 −
全国被爆二世団体連絡協議会会長         
被爆二世集団訴訟原告団長   崎山 昇 
 被爆二世集団訴訟の長崎地裁における第2回弁論準備が、10月6日(火)13時30分から行われました。12時45分から地裁前で事前集会を行い、14時20分から勤労福祉会館で報告集会を行いました。
 弁論準備では、はじめに、原告側が「原告ら準備書面8」を陳述しました。この書面では、2つのことを主張しています。第一に、7月20日の弁論準備で裁判所から釈明を求められていた、「憲法14条違反の主張として、援護法附則17条についての主張(同法7条の適用について「被爆者とみなす」との規定についての主張)がなされているが、原告の主張として、そこで比較されているのは、援護法上の「被爆者」との趣旨か、あるいは上記附則17条による「みなし被爆者」の趣旨か?」について、「援護法附則17条による「みなし被爆者」との比較において憲法14条違反の事実がある」と主張しています。
 第二に、これまでの「被爆二世の被告に対する援護の要求の経緯と被告の対応」について明らかにし「被爆二世による被告との折衝の経過は、正に、被告が被爆二世の援護についての立法をなすべき立法事実である。この点においても被告の立法不作為は明らかと言わなければならない。」と主張し、そして国の施策が不十分な中行われている「地方自治体における被爆二世対策」について紹介し、「自治体によって施策が異なるという状況があってはならない。本来は被告国が統一して施策を示すべきである。」と主張し、さらに、国によるこれまでの二世健診の「改善」策を示し、「そのことは「取り繕い」と言わざるを得ず、単に「被爆二世健康診断事業」の枠内での改善措置に過ぎないものと言わざるを得ない。被告の立法不作為を補完するものとは到底言い得ない。」と主張しています。
 その後、裁判長が被告側に原告側の「「みなし被爆者」との比較において憲法14条違反の事実がある」との主張に対する反論を求め、今後の進め方について協議が行われ、次のような結果になりました。原告側が12月25日までに、@「「みなし被爆者」との比較において憲法14条違反の事実がある」との主張の補充書面、A放射線の遺伝的影響についての書面、A「黒い雨訴訟判決」についての書面(確定ではない)を提出し、それを踏まえて、被告側が、「原告ら準備書面4」以降(「原告ら準備書面6、7」には反論しない)の書面に対する反論(検討中)も含めて反論することになりました。また、裁判長から、今後の見通しについて、主張のやりとりはあと6か月程度と想定し、来年中の終結を考えていることが示され、原告・被告双方に次回までに今後の見通しの検討が求められました。
 全国被爆二世団体連絡協議会は、私たちの会員が被爆二世を代表して訴訟を起こすことによって、この訴訟を通して、問題の所在を社会的に明らかにし、すべての被爆二世を援護の対象とする国による立法的措置の契機とすることを目的にしています。
国はこの訴訟でも1980年の原爆被爆者対策基本問題懇談会報告の「科学的・合理的根拠」を盾に、「原爆放射線の遺伝的影響があるという証拠」がないことを理由に法的援護を拒み続けています。私たちは、この基本懇報告の「科学的・合理的根拠」の壁を乗り越え、最高裁が判示してきた「国家補償的配慮がある」被爆者援護法の立法趣旨に基づき、「原爆放射能の影響を受けるような事情のもとにあった者」であることを認めさせ、すべての被爆二世を対象とした法的援護をめざしていきたいと思います。また、「被爆者はどこにいても被爆者」であるように「被爆二世もどこにいても被爆二世」です。この訴訟は、日本の被爆二世の法的援護にとどまらず、韓国をはじめ世界の被爆二世の援護につながり、さらには世界の核被害者の次の世代の問題解決につながるという認識をもって取り組んでいきたいと思います。

 次回弁論準備は、2021年1月12日(火)16時から。いよいよ訴訟も佳境を迎え、終盤へと進むことになります。皆さんの最後までのご支援とご協力をお願いいたします。

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      全国被爆二世団体連絡協議会 会長 崎山昇


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