被爆二世集団訴訟

原告4人が被爆二世として置かれた状況を訴える
− 証拠調べ(原告本人尋問) −
全国被爆二世団体連絡協議会会長         
被爆二世集団訴訟原告団長   崎山 昇 
 2021年6月21日14時から、長崎地裁で被爆二世集団訴訟の証拠調べがあり、原告4人の本人尋問が行われました。そして、それぞれが被爆二世が置かれた状況を裁判官に訴えました。
 長崎県被爆二世の会会長の丸尾育朗さん(1947年10月18日生まれ、母が1号・2号被爆者)。「2018年6月にすい臓ガンの切除手術を受け、今年2月ガンの再発がわかり、3月から抗ガン剤治療を開始し、確実に治療実績が上がっている。」開設した被爆二世相談窓口に被爆者や一般の人から寄せられた相談の内容を紹介し、「長崎の医者は被爆二世の死を「影響がある」と言えない実態がある」と指摘した。また、親戚や同僚の二世が若くしてガンで亡くなった状況を踏まえ、被爆二世健診でのガン検診の重要性を訴えた。そして、最後に「私の一番の親友が放影研の臨床調査の対象者だったが、心臓病、肺ガン、その後、咽頭ガンに罹った。二人の会話の終わりは「死ぬなよ」という言葉だった。裁判官が意見を聞いてくれて有り難い。生きて判決を聞きたい。心から感謝している。」と語った。
 続いて、箕田秀美さん(1957年12月3日生まれ、父が2号被爆者、母が3号被爆者)。「私が被爆二世であることをはっきりと自覚し、不安を抱いたのは第一子(長女)を妊娠して切迫流産で入院した時。被爆者である両親も大変心配していた。長女は無事に生まれたが、5歳の時に腎臓病、原因不明の難病「ネフローゼ症候群」を発症した。私の両親は、長女の発病のことを知って心底落ち込んでいた。被爆の影響が孫娘に現れたと考えずにいられなかったのだ。父は亡くなったが、最後までガンの治療を受けていた。二世がガンにならなければよいが、孫の難病が続かなければよいがと言っていた。私も自分自身がガンになるのではないか、三世もガンになるのではないかと不安をもっている。世の中の人にそのような苦しみを知ってほしい。」と訴えた
 次に、阪口博子さん(1949年7月22日生まれ、母が1号・2号被爆者)。「母は、59歳の時、直腸がんを患い、手術をし、その後肺に転移が見つかり、64歳で亡くなった。その時、原爆の影響だと確信し、自分にも影響があるのではないかと、初めて被爆二世であることを強く意識した。40代になってからは、急に血圧が上がり、薬を服用するようになり、今も続いている。4年ほど前、二世健診で甲状腺の異常を指摘され、現在半年に1回血液検査をしながら経過観察中。治療費の負担を感じている。被爆二世で同じ年のいとこがいたが、20代前半で亡くなった。被爆二世の友人で40代はじめに亡くなった人もいる。悪性リンパ腫で2年闘病した。子二人と孫二人には、何もなければよいがと心配している。一番心配なのがガン。健診を充実しガン検診を受けられるようにし、被爆者と同様の病気になったら、被爆者と同様の援護ができるようにしてほしい。」と訴えた。
 最後に、野口伸一さん(1947年7月18日生まれ、母が1号被爆者)。「若い頃は病気をしたことはなかったが、40近くに血圧と血糖値の異常を指摘され、薬を飲むようになった。脳梗塞を発症し治療。2017年と2018年に胃ガンの摘出手術を受けた。被爆二世であることを意識し始めたのは、一番下の弟が急性白血病で26歳で亡くなった時から。2つ下の弟は前立腺ガンで抗ガン剤治療中、妹は難病で病院通い。もう一人の弟も病院通いをしていた。母方のいとこも4人、若くして病気で亡くなった。戸町中学校の同級生は400人いるが、ほとんど二世。70歳の時の同窓会時点で44〜45人が亡くなっていた。3人の子がいる。長女は結婚し、初産は死産、次に生まれた子は未熟児。原因不明。長女は子宮筋腫で病院にかかっているようで心配。2ヵ月に一度の検査の費用は1万円以上かかり大変。二世に医療費の支給がないのは全く不十分。26歳で亡くなった弟にいい報告ができるようにお願いしたい。」と訴えた。
 その後、進行協議が行われ、次回弁論準備は8月10日(火)15時から、ウェブで行われることになりました。1ヵ月程度後に提出予定の被告側の意見書と準備書面(遺伝的影響に関するもの)を受けて、その後の進行について協議されることになります。遺伝的影響に関する証人尋問が年内か年明け、その後最終弁論という流れになりそうです。
 原告本人尋問という大きな山を一つ越え、証人尋問という二つ目の山をめざし、二世訴訟もいよいよ終盤へと向かいます。
 引き続き皆さんのご支援とご協力をお願いします。

 
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   全国被爆二世団体連絡協議会 会長 崎山昇

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