被爆二世集団訴訟


被告側が、3号被爆の意義、遺伝的影響の可能性に対して反論
− 第6回弁論準備報告 −

全国被爆二世団体連絡協議会会長         
被爆二世集団訴訟原告団長   崎山 昇 
 2021年8月10日(火)15時から、被爆二世集団訴訟の第6回弁論準備が長崎地方裁判所で行われました。そして、16時から長崎県勤労福祉会館3階大会議室で報告集会を開催し、中鋪弁護士がZOOMで弁論準備の報告を行いました。
 はじめに、被告側は、7月13日(広島・黒い雨訴訟控訴審判決前日)に提出した第5準備書面と7月21日に提出した第6準備書面を陳述しました。第5準備書面では、被爆者援護法の1条3号の「被爆者」要件充足性には科学的知見による裏付けが求められると、(1)援護法は「被爆者」たる地位につき、飽くまでも科学的根拠を伴うものであることを想定している、(2)これまでの司法判断も援護法1条3号の該当性について科学的根拠が必要であるとの理解の下、その立証について高度の蓋然性の立証を求めていたと主張し、(3)黒い雨訴訟第一審判決は、(1)(2)に照らして是認することができないとしています。また、第6準備書面では、「放射線がDNAに当たったとしても、重要な遺伝子が壊れる確率は低い上、たとえ一つの遺伝子変異が起こったとしても、その細胞が受精卵として成立する確率は途方もなく低く、次世代にその影響が発現するためには乗り越えなければならない多くの関門が存在する。また、原告らが依拠する振津意見書は、その根幹部分に明らかな科学的誤りがある上、振津意見書で指摘する調査研究等は、いずれも、親の放射線被曝により被爆二世の健康に影響が生じることの科学的根拠とはなり得ず、かえって、そのほかの研究結果によれば、親の放射線被曝による次世代への遺伝的影響は確認されていない。以上に加え、「親の放射線被曝による次世代のゲノムへの影響は見られない」「放射線がヒトの生殖細胞のDNAに継世代的な影響を生じるという考え方を支持しない」という最新の科学研究の内容も併せ考えると、放射線のヒトにおける遺伝的影響の可能性があることが明らかであるとは到底いえない。」と主張しています。その上で、「原告らの主張は理由がないから、原告らの請求は速やかに棄却されるべきである」としています。
 その後、広島の状況も踏まえて、今後のスケジュールについて協議が行われました。被告側は9月24日迄に、振津証人申請に対する意見書、第6準備書面に関連して補充の準備書面を提出予定。原告側は9月30日迄に、被告第5・第6準備書面及び上記準備書面に対する反論の準備書面を提出予定。振津証人を裁判所は採用の意向、被告の意見を聞いた上で、次回期日で確定(その時は被告側も専門家証人を立てる)。次回第7回弁論準備の期日は、10月7日(木)16時からになりました。
いよいよ被爆二世集団訴訟は、広島も長崎も年度末に向けて終盤へ向かうことになります。最後までのご支援とご協力をお願いします。

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