被爆二世集団訴訟

遺伝的影響に関する専門家証人の尋問日程が予定
− 長崎における被爆二世集団訴訟 第7回弁論準備報告 −
全国被爆二世団体連絡協議会会長         
被爆二世集団訴訟原告団長   崎山 昇 
 2021年10月7日(木)16時から長崎地裁で、被爆二世集団訴訟の第7回弁論準備が行われました。
弁論準備では、被告側が9月24日に提出した第7準備書面(被告側第6準備書面に関連した補充の書面)を陳述し、原告側は9月30日に提出した原告ら準備書面11(被告側第4、第5準備書面に対する反論)、原告ら準備書面12(被告側第6、第7準備書面に対する反論)を陳述しました。被告側は第7準備書面で「原告らの指摘する調査研究結果等は、いずれも、親の放射線被曝により被爆二世の健康に影響が生ずることの科学的根拠とはなり得ず、したがって、これらを根拠とする原告らの主張にはいずれも理由がない。」と主張しました。一方、原告側は、準備書面11で、「被爆者援護法1条3号の『身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者』の意義は、『原爆の放射能により健康被害が生ずる可能性がある事情の下に置かれていた者』と解するのが相当であり、ここでいう『可能性がある』という趣旨をより明確にして換言すれば、『原爆の放射能により健康被害が生ずることを否定することができない事情の下に置かれていた者』と解され、これに該当すると認められるには、その者が特定の放射線の曝露態様の下にあったこと、そして当該曝露態様が『原爆の放射能により健康被害が生ずることを否定することができないものであったこと』を立証することが必要になると解される。」という「黒い雨訴訟」における広島高裁判決を引用し、「被告は本件において、放射線被害の遺伝的影響について、その可能性を指摘する科学的知見が存在すること自体は当初から否定していない。そうであれば、援護法の趣旨、同法1条3号の意義からすれば、被爆二世は、援護法による対象とされるべきことは当然ということになるはずである。」と主張し、準備書面12では、「(被告側)第6準備書面について、被告も、放射線の被爆二世を含むヒトにおける遺伝的(継世代)影響の可能性があることを否定することができないことを認めているのであって、原告らの主張や振津意見書の有効な反論とはなっていない。(被告側)第7準備書面について、被告の主張は、遺伝的影響の可能性があることを否定するような主張とは到底言えない。」と主張しています。
 その後、今後の進行について協議が行われ、被告側が原告ら準備書面11、12に対する反論の準備書面を2022年1月11日(火)までに提出すること、2月28日(月)10時45分から遺伝的影響に関する専門家証人(原告側振津証人、被告側中島証人)の尋問を予定すること、それに向けて1月31日(月)16時から第8回弁論準備を行うことになり、いよいよ結審に向けて、二つ目の山場、専門家の証人尋問が行われることになります。引き続き、皆さんのご支援とご協力をお願いします。

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