被爆二世集団訴訟

証人申請を却下し弁論終結 来年2月29日判決へ
− 長崎における被爆二世集団訴訟控訴審第2回口頭弁論 −
  2023年10月17日、長崎における被爆二世集団訴訟控訴審の第2回口頭弁論が福岡高裁で開かれました。今回の焦点は、放射線の遺伝的影響に関する専門家として控訴人側が証拠申請していた振津かつみ証人を裁判所が採用するかどうかでした。
 書面提出手続きの後、原告団長である崎山昇全国被爆二世団体連絡協議会会長が以下のとおり意見陳述を行いました。
 「・・・私たちはすべての被爆二世を代表し、国による立法的措置の契機にしようと、三権分立の一つである司法の判断に期待して提訴した。多くの被爆二世が司法の判断に注目している。/にもかかわらず、長崎地裁は、原爆放射線の遺伝的影響の問題に正面から向き合うことを避け、国側を勝訴に導くための判断をくだした。判決文に何度目を通しても納得できない。まさに不当判決であり、容認できない。/長崎地裁判決は、「被爆者援護法は、原爆の放射能により健康被害を生ずる可能性がある者についても、これを援護の対象とする趣旨である」としながら、私たち被爆二世は原爆放射線により健康被害を生ずる  「可能性がある」ことを否定できないにもかかわらず、被爆者援護法の対象者と認めなかった。到底納得できない。/そして、「被爆二世については、その身体に直接原爆放射能を被曝したという事情は認められず」としている。しかし、被爆二世が生を授かったのは原爆が投下された後のことだが、原爆投下によって親の生殖細胞が直接被曝し、そして私たち被爆二世はその生殖細胞から生まれているのである。生物学、遺伝学への理解があればわかることである。/したがって、私たち被爆二世は、その身体に直接原爆放射能を被曝したという事情が認められ、広島高裁の「黒い雨」判決を踏まえれば、被爆者援護法1条3号でいう「身体に原爆放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」の意義にあたる者であることは当然のことであり、5号被爆者と新たに位置づけるなど被爆者援護法の対象とすべきである。/ぜひ、福岡高裁の裁判官におかれては、私たちが申請している放射線の遺伝的影響に関する証人を採用していただき、原爆放射線の遺伝的影響の問題と真剣に正面から向き合っていただいた上で、特殊の戦争被害について戦争遂行主体であった国が自らの責任によりその救済を図るという被爆者援護法の立法趣旨を踏まえて、被害者を広く救済する公正な判断を心からお願いする。」
 その後、弁護士から証人尋問の必要性について意見を述べる予定でしたが、裁判長はそれを遮って、証人申請については却下するとの判断を示しました。
 そして、被控訴人側指定代理人が発言をしましたが、記録に残さないという扱いになり、最終的には裁判長が「弁論終結」を告げ、2024年2月29日午後2時30分判決の言い渡しとなりました。

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