2000.3 青大将とハスキー犬の格闘

 我が家には体重25キロのハスキー犬がおります。チョビという名でとても引っ張る力
の強い元気一杯の雌です。

 そして、家に住み着いている大きな青大将がおりました。この蛇は毎年夏時期になると
ツバメの巣の子供を狙って、夜中に出没します。それもツバメの子が、まもなく飛び立とう
とするほど十分大きくなった最も食べがいのある時期に出てきます。

 外の軒先にいるチョビがそれを見つけて天井に向かって夜中に吠え立てるのが毎年の恒例となっていました。しかし、ツバメの子供が食べられないように、軒先に段ボール紙の間仕切りを作ったため、青大将は、そこの巣をあきらめ、家をぐるっと一回りした反対側の巣を狙いました。

そのためにはチョビのいる地上におりて20メートルぐらいの距離をまさに決死の大移動をしなければなりません。何年かは成功し、大きな報酬を得たようです。朝、こつ然と巣の中の子供がすべて消えていたからです。

 ある年、この青大将君、ついにチョビにみつかりました。チョビは滅多なことでは吠えませんが、蛇を見つけるときまって吠えます。ひどく吠え立てるので行ってみると、庭で、黒光りのするそれは立派な青大将がとぐろを巻いております。正面から見ると、龍とはこのような姿かと思うような顔つきをしています。

                    

チョビは吠え立てながら、蛇のまわりを動きつめており、すきあらば飛びかかろうと狙っています。
一方、蛇は興奮のあまり、尻尾を激しく震わせ、頭を毒蛇のような三角にしていつでも飛びかかれる体勢です。蛇も常に犬の動く方向に体の正面を向けて、何回か口を開けて飛びかかります。

そのたびに犬の方もうまくかわして後ろに下がります。蛇は一瞬たりともすきも見せないため、さすがのチョビも噛みつくことはできません。

大きな体格の犬とすばらしい体形をした蛇の闘いが数分続きました。死なせてしまうにはあまりにも惜しい蛇なのでしばらくこの格闘を楽しんだ後、蛇を逃がすため犬をつなぐことにしました。

蛇は塀に立てかけた鉄板の間にすばやく逃げ込みました。

翌年、また同じ光景に出くわしました。今度は同じ蛇が、狭い通風口の中に逃げ込んでおりましたが、通り抜けができないため狭い穴の中に大きな体を無理矢理押し込んでいました。また、犬をつなぎました。翌朝、現場に行ってみると、蛇のきれいな抜け殻だけが残されていました。       

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