2005.1 寒の椎茸

 我が家では、クヌギの木をホダ木にして椎茸菌を打ち込んでいる。普通、このホダ木に
椎茸が出てくるのは、春か秋である。冬は小さいのが出てくるが、寒さと乾燥のために
枯れて干からびてしまうものと思いこんでいた。うれしいことに、これを大きく育てる方法が
あることをテレビ情報で知ることができた。さっそく、1月の寒い時期に我が山に入り、この
方法を試してみたら、一週間後には直径8〜10センチぐらいの大きなドンコ椎茸に成長
していた。
 その方法とは、ホダ木から出てきたちっちゃな椎茸に透明なビニール袋をかぶせることで
ある。そうするとそこだけ温室状態となり、寒さと乾燥から守ってくれるのである。寒くて
手が凍える中で一つ一つ袋をかぶせていくのはたいへんであるが、おいしいものを食べたい
一心で我慢しながら作業をやることとなる。

     

 ドンコ椎茸とは、キノコの傘が薄ぺらなものでなく、まだ傘が開くか開かないかのりっぱな
肉厚のものをこう呼んでいる。取ってきて、1〜2日くらい天日干しをして、牡蠣や猪肉と
一緒に鍋物などの材料となる。傘が肉厚なので縦切りにすると、冬の収穫のため虫食いの
心配もなく、非常に実がつまっていて真っ白である。鍋物に入れて、フーフーと吹きながら
白い椎茸ステーキをほおばると、椎茸特有の味とプリンプリンとした食覚がありまた格別で
ある。
 余談であるが、我が家には、松茸犬に育て上げる?こととしていた、迷犬モカがいる。
我が輩が、椎茸の袋かけ作業を黙々とやっている最中、例によって、この迷犬は、温室効果で
大きく育ったドンコ椎茸を、おいしそうにムシャムシャと食べていたのである。鉄槌も食らった
のは言うまでもない。                        
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