02.05 山の下刈り作業を楽しむ

 山の木々が新緑となる時季である。5〜6月になると、豊富な雨を糧にして緑の新芽が
猛烈に伸び、成長していく。自然に生えた木や植林をした木、草花などが繁茂するように
なり、カズラがこれらの木々に巻きついていく。

 茂るがままにしておくと、必要な木が大きく変形したり、成長が妨げられるので、下刈り
作業として雑木やカズラを切ったり、下草を刈り取っていく。その際、針葉樹である杉、ヒノ
キ、松は建築材として、広葉樹のクヌギやナラは椎茸を発生させるための原木、は炭焼
き用の原料(といっても、炭焼きをやったことはない。)、榊や花芝の木は神棚や仏壇の祭
事用として、それぞれ必要なのでこれらの木々は残していく。

 現在、クヌギを植林した場所の下刈りを数年ぶりでやりつつあるが、この下刈り作業は
厚鎌を振り回すのでかなり重労働である。一日中やるとなると苦痛であるが、午前中1〜2
時間と決めてやれば適度の運動であり、体の良き鍛練となる。また、作業をすませた区域
は、のび放題のごちゃ混ぜ状態が一転してきれいな下刈り状態になりたいへん気持ちが
いい。それはちょうどのび放題にしていた髪の毛をやっときれいに散髪したような爽快感
言ってよい。いっぺんには済まないので、仕事が休みとなる土日に少しずつ進めていくこと
になるが、やり終わった区域が徐々に広がっていき、作業の手を休めながらその区域とまだ
刈り取っていない区域をながめつつ「ここまでやったか。」と達成感にひたることになる。

 とは言っても、下刈りを含め、山作業は危険とも隣り合わせであり注意が必要である。
 まず、切り株、倒木、とげとげ(柏餅に使う葉をつけた茎、野いちご、山椒など「とげ」をつけ
た植物が案外多い)、ハデの木(うるし)などがあるので、うかつに転んだり、引っ張ったり、
触ったりしない。また、服装も下手に皮膚を出さないよう万全にしておくほうがよい。
 鎌や鋸、チェーンソーの道具類も案外アブナイ。(何年か前にチェーンソーで足を切って
しまって当分松葉杖で苦労した。)
 熊ん蜂やまむしにも出くわすことがある。(熊ん蜂が出てくれば飛んで逃げ、まむしは
「しめしめ」と捕まえてしまう。)イノシシが、猟犬に追いかけられて、「ドドドドドー」と目の
前の下を逃げていったこともある。(この時は、幸いにも、木に登って枝打ち作業中であった。)

 山作業は、下刈りにしても、木の間伐、枝打ちにしても、無理のない範囲で少しずつやって
いく分には、概して楽しいものである。おそらく、酸素やマイナスイオンの充満した空気の中で、
爽快感と達成感にひたれるためであろう。現在は、こうした山作業をやる者が、高齢化に伴い
少なくなっている。時間を限定しスポーツ感覚で取り組めば、少々のナマ傷は我慢するとして
案外面白いので、興味のある人はぜひ挑戦してみてほしい。                    
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