03.09 またまた、スズメバチ

 なんと、我が家の車庫の中に、スズメバチが巣を作っていた。見つけた発端は、家族が使う自動車に
たまたま乗ろうとしたところ、運転席上部の屋根に茶色い液体が「ポタッ、ポタッ」と落ちてよごれていた
ことである。

 見上げると、高さ2mのところに窓のひさしが出っぱっており、そのひさしと天井との間に冬用タイヤを
乗せて収納場所にしている。「しまった。タイヤが腐ったか」と思ったが、その時、何くわぬ顔で、そーと
スズメバチが一匹、タイヤの後に入って行くではないか。「ハハーン」と思い、試しに長い棒でタイヤを
「パンパン」と叩いてみた。案の定、スズメバチが3匹、今度は「ブーン(何ごとぞ)」と羽音高く飛び出して
来る。「もう、間違いない。積み上げた2本のタイヤの中に巣を作っている。」それにしても、よく今まで
気がつかなかったものである。

 毎日、乗り降りする場所であり、危険極まりないので、その日のうちに退治することにし、例によって、
暗くなる夜を待った。用意するものは、前と同じく、懐中電灯と殺虫剤である。それに今回はひさしまで
登るアルミ脚立を使った。

 さー、作業開始! 脚立を登り、タイヤを恐る恐るチョコッとずらすと一目散に駆け下りた。蜂は出てこな
かったが、一斉に「ブーン、ブーン」と大合唱を始めた。再度、タイヤをチョコッとずらし、今度はその中を
めがけて、殺虫剤による一斉攻撃を行った。大合唱とともに4センチぐらいの大きな蜂が、我慢しきれずに
少しずつ飛び出してくる。殺虫効果で、一匹又一匹と車庫のコンクリートに落ちて動き回っている。あわてて、
家の中に入り、ハエ叩きを取り出すと、薄明かりと懐中電灯を頼りに、一匹ずつ叩いて回る。大きい蜂なの
で、叩くと「グシャッ」という手応えがある。

 何度も殺虫剤をかけに登るのだが、蜂の中にも元気なのがいて、殺虫剤をかける方向、つまり、自分の
顔に向かって突進してくるのがいた。とっさに、剣道の「メーン」と突き掛かってくるのをよける要領で、顔を
ずらすとあえなく地上に向かって爆沈してしまった。「あぶない、あぶない」。

 奮闘すること約1時間、コンクリートの上にはスズメバチの死骸がいたるところに転がっていた。数えて
みると驚くなかれ、63匹もいたのである。

 戦い終わって、タイヤを全部取り除くと、その中ではなく、後側の天井に巣をかけていた。今回の巣は、
まむし特有のまだら模様ではなく、うす茶色の単一色であった。どうも原料で色や模様も違うようである。
大きな蜂の子が穴の一つ一つに治まって「バリバリ、バリバリ」と盛んに動きつめている。巣の下端あたりは、
蜂の子の分泌物か何かわからないが液体が集まって、茶色くなっていた。主のいなくなった巣を取り除きな
がら、今回だけは、かわいそうと思う前にやれやれと胸をなで下ろした。

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