04.08 ウナギかご

 今年も、天然ウナギを手に入れるべく、夜釣りに出かけた。しかし、釣れるのは、ギギタやナマズ
ばかりで、釣れるのはよいがあごが堅くなかなか針はとれないわ、針が川底にすぐ引っかかるわ、
時間はかかるわ、蚊に刺されるわ、餌のドジョウは輪切りにしてかわいそうだし、針につけるのは
ぬるぬるしてなかなかつけられないわで四苦八苦であった。「もう、やめた。」ということにした。

 代わりに、ウナギかごをつけることにした。これだと時間はかからないし、虫にさされることもなく、
いちいち仕掛けを買うこともないし、しかも目当てのウナギだけが捕れるだろうと良いことだらけに
思えた。

 そこで、先ず竹で編んだウナギかごを買う。最近は中国製である。我々が子供の頃はウナギかご
など竹で編んだ製品を売っているおじさんが近所にいたものであるが、もう全く見当たらなくなった。
このかごを近くの溝に一週間以上漬けて泥をかけておく。泥の匂いをしみこませるためである。
餌はミミズ。梅雨時だと大きいのがいっぱいいる。これをシュロのひげひげに包み込んでかごの中に
入れて、川に夕方、つけにいき、朝回収する。かごのつけ方には一工夫がいる。大きな石を持ってきて、
流れないようにかごの周りにまんべんなく置いていく。繊細な技術を要するのは、かごの入口である。
ここは、ある程度小さな石でしかもいろんな虫とか、タニシとかがついているのでそれが崩れないように
そーと取り上げて、上手に積み重ねていく。こうしておけば、ギギタやカニが来ても中に入ることは
できない。ウナギは石をかき分けて入っていくので大丈夫である。

 このウナギかごの快感は、朝の回収時にある。川にジャブジャブと入っていき、やおらかごを水の中から
引き上げる。かごを手に持って傾けてみる。入っていればばたばたと中で動く感触が手に伝わってくる。
「やったー。入っている。」この時こそ、誠に至福の時間となるのである。

 しかし、現実は厳しい。2カ所で3回つけたが、スカである。ウナギがいなければ入ってくれないので
つける場所も大事だ。こんどこそと場所を変えて4回目に挑戦をした。なんとこれが大当たりとなり、
至福の時間が訪れることとなった。写真のような長さ60センチで胴回りの太い大物が一匹と小さいのが
一匹入ってくれたのである。その朝は喜び勇んで帰ることとなった。

                 

 後日談であるが、ウナギもギギタと同じく鳴き声を出すのを初めて聞いた。ウナギを台所のシンクに
入れたときのことである。ギギーギギーとあごの周りから絞り出すような声を出すのである。わがウナギかごに
入ってくれたウナギ君に深く感謝しつつ、また次の挑戦を考えている。

                                                 
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