項目 | 説 明 |
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◎分類 | ・ニシン目サケ亜目 ワカサギ、シシャモなどと近縁の魚、体長20〜30cm位までにはなるが、尺鮎に成長する河川は、九州地方の球磨川、筑後川、中国地方の江川(江の川)など限られている。 |
◎分布 | アジアの東部、すなわち太平洋岸の特産魚で、日本を中心に
朝鮮半島の南部、中国沿岸に分布しているが、石の少ない大陸の川には生息しない。 日本では、関東以西の本州、四国、九州に多く、東北、北海道には少ない。琉球列島では 沖縄本島まで分布している。 |
◎生態 (秋) |
・孵化 卵は河口から数キロの川床の砂れきの間に産み付けられ、孵化するのはほとんどが夜間、 孵化直後のアユ仔魚は遊泳力が極めて弱く、流れのまま分散しながら海に下る。 |
(冬) | ・仔魚 秋に海に下ったアユ仔魚は、そのまま冬を海で過ごし成長するが、降河中と同様に外敵も 多く、生き残るのは半数以下と言われている。 |
(春) |
・稚アユ 海で成長したアユ(稚アユ)は、春先に河口の水温が上がってくると沿岸域から河口部に 接近し、やがて元気よく川をソ上し始める。 ソ上期の初期はまだ動物プランクトンを食べているが、体長が7〜8Cm位になると石に生 えている藻類を食べるようになる。 近年多くの河川で行われているアユの放流はこの時期に行われる。 |
(夏) |
・ナワバリアユ ソ上を続けて中流域にたどり着いたアユは、ここに住み着いて成長する。俗に1カ月1寸 といわれており、1日中藻類を食べ続けるので川床についた藻類を独占しようとしてナワ バリを形成するようになり、侵入する他のアユを猛烈に攻撃する。 このナワバリアユの排他性を利用したのが友釣りである。 |
(秋) |
・落ちアユ 秋になるとアユは雌雄とも急速に成長する。その引き金は日が短くなることであり、中流域 に住み着いていたアユは、産卵準備のため川を下り始める。その時期は東北地方が早く、西 に行くほど遅くなるが、産卵期に雨で増水すると一気に降河することがある。 河口近くに下ったアユは、雌雄とも瀬に集まり(瀬付き)川床の砂れきの間に卵を産み付け る。産卵を終えたアユは黒くてやせ細りやがて一生を終える。ただ、ごく少数であるが産卵 後も死なずに生き残るアユ(雌のみ)もいるようだ。(越年アユ) |
◎放流 | 河川放流される稚鮎は琵琶湖産、海産、河川産、人口産がある。 ・琵琶湖産 古くから放流種苗として用いられており、現在でも一番たくさん放流されている。放流後 の生き残りが多いこと、ナワバリをつくる習性が強く、オトリをよく追うことが長所とされ ている。一方、早く川を下り釣りのシースンが短くなるのが欠点。 ・海産 早い時期から入手できることが短所であるが、年によって豊凶の差が大きく、琵琶湖産に 比べて生き残りが悪いのが欠点。 ・河川産 海産稚鮎が河川に入ったものを採取もので、海産よりは生き残りはよいが、やはり豊凶の 差が大きい。 ・人工産 採卵から放流まで全て人間の管理化にある種苗。既に30年以上の実績があり、当初は、 奇形魚が多く、オトリを追わないなどと言われたが、近年の品質の向上は目覚しく、琵琶湖 産に匹敵すると言われている。計画生産が可能なことが最大の強みで、放流量も確実に増加 しており、将来は琵琶湖産を上回るかもしれない。 |
◎釣り方 | ・友釣り 鮎の習性を利用した鮎独特の釣り方で鮎釣りといえば友釣りと言われるほど。漁業組合の 管理の行き届いた河川は、友釣り以外の釣りを禁止しているところも多い。元気な囮(オト リ)を確保するかどうかで釣果に大きな差がつく。 ・コロガシ釣り 素掛け、ゴロビキなどと呼ばれている釣り方。鮎釣りの邪道といわれ、7〜10号位のオ モリの下に7段位のハリを結び、一日中竿を振っては引くという繰り返しで結構疲れる釣り。 川底に仕掛けがよく掛かるので石が小さく水深の比較的浅いところが釣り場となる。 ・ドブ釣り 東京方面の方言で深い淵のことを「ドブ」と言い、その深い淵で毛バリを使って鮎を釣る からドブ釣りと言っている。関東方面以外のところでは最近あまり見ない。毛バリは、水生 昆虫や陸生昆虫に似せられ美しく、芸術品とも言える。 ・エサ釣り もともと高知県の川で、7、8月頃の鮎を釣る方法で、地元では友釣り以上に人気がある と言われている。4、5mの竿で、小さくきざんだシラスを撒き餌にシラスのサシエで狙う。 繊細な仕掛けで釣るのが魅力のようだ。 |
◎味 | 鮎は姿の美しさも味も川魚の王様。とは言っても、姿はともかくどこの川
も文句なしの絶品かというとそうではなく、河川環境の影響が大きい。流域人工が少なく水
が綺麗なところの鮎がやはり美味である。 また、鮎にも食べごろがあって、解禁直後、梅雨明け、盛夏、初秋と、時期によって脂の 乗りも味も違う。どの時期にどの食べ方が良いかは個人の好みがあってなかなか結論はだせ ない。 |
◎料理 | 鮎はシンプルな味付けがよくあい、洋風、中華風の鮎料理なんてピンと
こない。やっぱり和風が一番であろう。代表的なものをあげてみると・・・ ・塩焼き、背越し、甘露煮、アユめし、姿ずし、アユ田楽、石焼き、洗い、クンセイ・・・ なお、珍味で、水質のよい川で育った鮎の腹わたを集め、これに3〜5割の塩を加えてか き混ぜて冷蔵庫に保存、1日に1回かき混ぜて5日位すると食べられる。「うるか」と言い 独特の苦味があって酒の肴に最高であるが、これも好みの問題。塩の量を増やせば何年でも 保存できると言われている。 |