10−5アルコール
 
鎖状炭化水素の水素原子Hをヒドロキシ基(ヒドロキシル基)-OH で置換した形の化合物です。
 
10−5−1 アルコールの分類
 A 結合しているヒドロキシ基の数によるもの
  1価アルコール ヒドロキシ基を1個含む場合
  多価アルコール ヒドロキシ基が2個以上含まれている場合
  2価アルコール ヒドロキシ基を2個含む場合
  3価アルコール ヒドロキシ基を3個含む場合
 
 B 分子中の炭素の数によるもの
  低級アルコール 炭素数が少ない場合
  高級アルコール 炭素数が多い場合(12個以上)
 
 C ヒドロキシ基が結合している炭素原子の状態によるもの
  第一級アルコール -OHが結合している炭素原子に、0または1個の炭素原子が結合しているとき(炭素鎖の端に-OHが結合しているとき)
  第二級アルコール -OHが結合している炭素原子に、2個の炭素原子が結合しているとき(炭素鎖の途中に-OHが結合しているとき)
  第三級アルコール -OHが結合している炭素原子に、3個の炭素原子が結合
しているとき(側鎖が結合している炭素原子に-OHが結合しているとき)
第一級アルコール 第二級アルコール 第三級アルコール
第一級アルコールは酸化剤で穏やかに酸化すると次の表のように変化する。
 (R は炭化水素の基。)
アルコール → アルデヒド → カルボン酸
 
第二級アルコールは酸化剤で穏やかに酸化すると次の表のように変化する。
アルコール → ケトン
 
第三級アルコールは穏やかには酸化しにくい。
 
注意 高級・低級の語は他の有機化合物にも使用する。
   高級・低級や第一級・第二級・第三級の語を品質の良いもの・悪いものと解釈しないように。日常生活で使う意味とは全く異なった意味で使用していることを理解するように。
 
10−5−2 共通性質
 ・ヒドロキシ基は極性があるので、アルカンより分子間力が強い。
  (常温常圧で気体はない。)
  炭素数 1〜3 水より粘りけの少ない液体。
  炭素数 4〜11 油状の液体。
  炭素数 12以上 固体
 ・ヒドロキシ基は親水基である。
  炭素数 1〜3 水と自由に混ざり、揮発性である。
  炭素数 4以上 水に不溶
 ・ヒドロキシ基 -OHは電離せず中性。(無機化合物の塩基とは全く異なる)
 ・ヒドロキシ基 -OHのHは金属ナトリウムと置換される。生成物質をナトリウムアルコキシドという。
 ・一価のアルコールは毒性がある。
 
10−5−3 アルコールの名称
炭素数
名 称
通称
メタノール
メチルアルコール
エタノール
エチルアルコール
プロパノール
プロピルアルコール
ブタノール
ブチルアルコール
ペンタノール
 
 
10−5−4 メタノール:メチルアルコール CH3OH
 黒:炭素、水素:白、赤:酸素
製法 ・木材の乾留
   ・合成 CO + 2H2 → CH3OH 300〜400℃ 150〜200atm 触媒 ZnO
性質 ・芳香のある液体
   ・無色の炎を上げて燃える。2CH3OH + 3O2 → 2CO2 + 4H2O
   ・重要 穏やかに酸化剤で酸化すると
メタノール → ホルムアルデヒド → ギ酸
   ・金属ナトリウムと反応し、ナトリウムメトキシドを生成する。
         2CH3OH + 2Na → 2CH3ONa + H2
   ・有毒
用途 溶媒、燃料、等
 
10−5−5 エタノール:エチルアルコールCH3CH2OH
製法 ・糖類の発酵
   ・エチレンに水を付加する。CH2 =CH2 + H2O CH3CH2OH
性質 ・芳香のある液体
   ・無色の炎を上げて燃える。CH3CH2OH + 3O2 → 2CO2 + 3H2O
   ・重要 穏やかに酸化剤で酸化すると
エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸
   ・金属ナトリウムと反応し、ナトリウムエトキシドを生成する。
         2CH3CH2OH + 2Na → 2CH3CH2ONa + H2
   ・有毒
   ・重要 ヨードホルム反応
    エタノールにヨウ素(KI溶液)とNaOH(Na2CO3)を加え加熱すると黄色のヨードホルム(CHI3)を生じる。(検出反応)
    重要 濃硫酸を加え脱水すると130℃でジエチルエーテル、170℃でエチレンを生じる。
     130℃ 2CH3CH2OH → CH3CH-O-CH2CH3 + H2O
     170℃ CH3CH2OH → CH2 = CH2 + H2O
 
縮合反応 2つの分子から簡単な分子(H2O,CO2等)結合する反応
 
用途 溶媒、燃料、飲料等
 
お酒の害について
 
10−2−6 その他のアルコール
 その1 通称 エチレングリコール(正式名称1,2エタンジオール)
  CH2OH-CH2OH 2価のアルコール
  性質 ・沸点 198℃ ・甘味 ・水によく溶ける
  用途 自動車の不凍液、合成繊維・合成樹脂の原料
 
 その2 通称 グリセリン(正式名称1,2,3プロパントリオール)
  CH2OH-CHOH-CH2OH 3価のアルコール
  製法 油脂の分解(油脂の項参照)
  性質 ・沸点 154℃ ・無色透明の液体 ・強い甘味 ・吸湿性
  用途 医薬品、スタンプ台、ダイナマイトの原料
グリセリンと硝酸を反応させニトログリセリンを生成する。
ニトログリセリンを珪藻土に吸収させたものが、ダイナマイトである。ダイナマイトは土木工事によく使用されている。
 
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