4−1比とは
 
化学の勉強で最も理解しにくいのが、原子量・分子量と物質量(モル)の所です。
その理由は原子量・分子量と物質量(モル)の数値が同じなのに意味が異なるという点にあります。少し長くなりますが、基本から(くどく)説明していきます。化学の基本的内容ですから、最後まで頑張って読んでください。
 
1比とは
私たちはものの量を正確に表すときは、数値とそれに適した単位を使って表現します。例えば「教室にたくさん生徒がいる」といってもどのくらいの生徒がいるのか分かりません。でも「教室に100人の生徒がいる」というと窮屈で大変だろうということがすぐ分かります。
ではいつも数値を使えばずく分かるのでしょうか。南極大陸は1361万3千km といわれてもその広さはピンときません。しかし日本の約36.6倍といった方がわかりやすいです。日本は37万2千Km です。
このように私たちは身近なものを基準にして、その何倍になるか比較することにより理解を容易にするようにします。式にすると
比較したいもの/基準になるもの=比較の数値/1
となります。この比較の数値のことを「比・割合・度・率 等」といいます。そしてこの数値には単位はつかないのです。(重要)
 
次に
比較したいもの/基準になるもの=比較の数値/100・・・・A
としたときの「比較の数値のことをパーセント」といいます。パーセントとはper cent のことです。(英和辞書で確かめてください。)
例 消費税/品物の値段=5/100
この式を変形すると
比較したいもの/基準になるもの×100=比較の数値% ・・・・B
あるいは
基準になるもの×比較の数値%/100=比較したいもの ・・・・C
日常生活ではBやCの式をよく使いますが、基本のAの式をしっかり頭に入れておいて下さい。
 
2 比についての例
地球と太陽と月の話をします。私たちは地球の上で生活しています。でも球の上に乗っているという実感はありません。それは私たちの生活体験に比べて地球は非常に大きいからです。ではこの3つの天体の大きさはいくらでしょうか。それぞれの半径は地球が6371Km太陽が69万6000Km月が1738Km、また地球と太陽の距離が1億4959Km地球と月の距離が38万4400Kmです。
どうでしょう。互いの大きさの関係が分かりましたか。無理ですよね。
地球を直径1cmの球に縮めて考えます。同じ割合で(比の考え)上の数値を計算すると太陽が1m9cm、月が2.7mmになります。
少し表現を変えましょう。今直径が1m9cmの球を太陽とすると、そこから234.8m離れたところに 直径1cmの球を置くとそれが地球になります。地球から60cm離れたところに直径2.7mmの月があるのです。お互いの大きさの関係が分かりますか。もし太陽の中心に地球を置くと、月の軌道は太陽の中にすっぽりと入ります。太陽って大きいですね。
 
3 比例の表し方
少し説明が長くなります。頑張って読んでください。大事なところなのですから。
 
今10分間に600mの速さでウォーキングをしている人がいるとします。
歩いた時間(x)と歩いた距離は(y)次のようになります。
時間(x)0  10   20   30   40
距離(y)0 600 1200 1800 2400
xとyの間にはどのような関係がありますか。
一方が増えたら他方も増える。なんていいかげんな説明ではだめ!!
  「一方の数(x)が2倍、3倍、4倍と増加すると、他方の数(y)も2倍、3倍、4倍と増加するような関係と説明します。
このような関係のある二つの数を正比例関係(数学では比例関係といいます。)にあるといいます。(第一の定義
次に距離(y)を時間(x)で割るとその商はいつも60になります。
式で表すと y/x=60 の式が常に成立します。つまり二つの数の商が一定であるような関係を正比例関係といいます。(第二の定義
そして60を比例定数といいます。一般には y/y=a です。
この式は変形すると y=ax 数学でおなじみの一次式の b=0 の場合になります。
この式をグラフ化すると、原点を通る直線になります。(第三の定義
実は化学の計算のほとんどはこの正比例の計算です。
 
ついでに反比例の定義を書いておきます。
第一の定義
  「一方の数(x)が2倍、3倍、4倍と増加すると、他方の数(y)は
1/2倍、1/3倍、1/4倍と減少するような関係
第二の定義)二つの数の積が一定であるような関係
第三の定義)グラフ化すると双曲線になる。
 
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