5−2 化学反応式
 
化学反応式とは、物質の変化の様子を化学式(主に組成式・分子式)で表したものをいいます。
ときどき「すべての化学反応式を暗記する必要がありますか」と質問する方がおりますが、それは不可能です。化学反応式の組み立て方とその意味を良く理解しましょう。
化学の勉強の一つの山場です。頑張って!!。
 
5−2−1 化学反応式の作り方。
 a 反応物質の化学式を左に → 生成反応物質の化学式を右に
 b 変化しない物質は記入しない。
 c 両辺の同種の原子数が等しくなるように係数をつける。
   (係数が1のときは記入しない)
 
5−2−2 係数と原子数
  分子式CO2 は 構造式だとO=C=O のことですから C原子が1個とO原子が2個あることを意味しています。
  もし 3CO2 と表示されていれば、CO2 分子が3個あることを表しているのです。
  O=C=O  O=C=O  O=C=O  したがって C原子が3個とO原子が6個あることを意味しています。
つまり それぞれの原子の数=係数×それぞれの元素記号の右下の数(原子数)
 
5−2−3 化学反応式の係数の求め方(暗算法)
 少し余談ですが、単体で、気体の物質は普通2原子で1つの分子を構成しています。
  H2, O2, N2, F2, Cl2,
  水素と酸素が反応して、水が生成するときの化学反応式を考えます。わかりやすく
構造式で書くと、 H-H + O=O →H-O-H となります。
分子式で書くと、 H2 + O2 → H2O  となります。
水素H の原子数 左辺 2 右辺 2 で、水素の原子数は両辺で同じですが、
酸素O の原子数 左辺 2 右辺 1 で、酸素の原子数は両辺で異なります。
 
このようなとき片方の辺の原子数が偶数で、もう一方の辺の原子数が奇数のときは、奇数の化学式を2倍します。(重要テクニック)
ここでは右辺の水を2倍します。
H-H + O=O →H-O-H  H-O-H
H2 + O2 2H2O
すると酸素O の原子数 左辺 2 右辺 2 で同じになりますが、
水素H の原子数 左辺 2 右辺 4  で異なります。
 
そこで左辺の水素を2倍します。
H-H H-H + O=O →H-O-H  H-O-H
2H2 + O2 → 2H2O
 これで 水素H の原子数 左辺 4 = 右辺 4
     酸素O の原子数 左辺 2 = 右辺 2  となって完成です。
注意 係数はなるべく簡単な数にしなくてはいけません。
   4H2 + 2O2 → 4H2O
   はだめです。
 
5−2−4 例題 (構造式を書かずに考えます。)
  予備知識 炭素と水素の化合物が燃焼(空気中の酸素と反応)すると、二酸化炭素と水が生成する。
 ブタンC4H10が燃焼するときの河岸反応式を記しなさい。
1段階 反応物質と生成物質を書く。 C4H10 + O2 → CO2 + H2O
2段階  Cの原子数を合わす。    C4H10 + O2 → 4CO2 + H2O
3段階  Hの原子数を合わす。    C4H10 + O2 → 4CO2 + 5H2O
4段階  Oの原子数  左辺 2:偶数  右辺 4×2 + 5 = 13:奇数
5段階  奇数の原因となったところ右辺のH2Oを2倍
     C4H10 + O2 → 4CO2 + 10H2O
6段階  左辺のHの原子数を合わす。
     2C4H10 + O2 → 4CO2 + 10H2O
7段階  右辺のCの原子数を合わす。
     2C4H10 + O2 → 8CO2 + 10H2O
8段階  左辺のOの原子数を合わす。
     2C4H10 + 13O2 → 8CO2 + 10H2O  完成です。
 
疲れましたか?。ほとんどの化学反応式は 重要テクニックの方法でできるはずです。
 
練習問題(その1) 次の化学反応式の係数を求めて完成して下さい。
   1  C2H2 + O2 → CO2 + H2O
   2 CH4O + O2 → CO2 + H2O
   3 NH3 + O2 → NO + H2O
 
答はここをクリック
 
5−2−5 化学反応式の係数の求め方(未定係数法)
 次の化学反応式の係数を求めます。
 Cu + HNO3 → Cu(NO3)2 + NO + H2O (毎年大学の入試問題に出題される)
 係数を文字で表します。
  aCu + bHNO3 → xCu(NO3)2 + yNO + zH2O
  Cuより a = x     (1)
  Hより b = 2z     (2)
  Nより b = 2x + y   (3)
  O より 3b = 6x + y + z (4)
4つの連立方程式です。しかし式が4つで未知数が5つでは解くことができません。そこでどれかの数を仮に1とします。要領は最も大きい係数の未知数を1にするのです。ここでは x = 1 とします。
  (1)より a = 1 
  (2)   b = 2z
  (3)より b = 2 + y   (3)'
  (4)より 3b = 6 + y + z (4)'
  (2) (3)'  (4)' の連立方程式を解くと、
   a = 1, b = 8/3, x = 1, y = 2/3, z = 4/3
ここで分数が出てきたのは仮に x = 1 としたことが原因です。
そこで全部の数を3倍します。
   a = 3, b = 8, x = 3, y = 2, z = 4
3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3)2 + 2NO + 4H2O
と完成です。
この方法を学習すると簡単な化学反応式でも未定係数法で求める人がいますが、なるべく暗算法で求めるようにして下さい。
 
練習問題(その2) 次の化学反応式の係数を求めて完成して下さい。
4  aKMnO4 + bHCl → wMnCl2 + xKCl + yH2O + zCl2
 
答はここをクリック
 
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