9−4−1 沈殿反応
Aの水溶液にBの水溶液を加えると沈殿を生じ、さらにBを加えると生じていた沈殿が溶ける反応です。
 
1 ・石灰水に二酸化炭素を吹き込む。
   Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3↓ + H2O 白色沈殿
  ・さらに二酸化炭素を吹き込む。
   CaCO3 + CO2 → Ca2+ + 2HCO3-
 
2 ・Al3+を含む溶液にアルカリ溶液(NaOHまたはNH3)を加える。
   Al3+ + 3OH- → Al(OH)3↓ 白色沈殿 
  ・次にNaOHを加える。(NH3では反応は起きない。)
   Al(OH)3 + NaOH → Na+ + [Al(OH)4]- テトラヒドロキソアルミン酸ナトリウム
 
3 ・Cu2+を含む溶液にアルカリ溶液(NaOHまたはNH3)を加える。
   Cu2+ + 2OH- → Cu(OH)2 ↓ 青白色沈殿
  ・次にNH3を加える。(NaOHでは反応は起きない。)
   Cu(OH)2 + 4NH3 → [Cu(NH3)4]2+ + 2OH- テトラアンミン銅(U)イオン 濃青色溶液
 
4 ・Ag+を含む溶液にアルカリ溶液(NaOHまたはNH3)を加える。
   2Ag+ + OH- → Ag2O ↓ 褐色沈殿
  ・次にNH3を加える。(NaOHでは反応は起きない。)
   Ag2O + 4NH3 → 2[Ag(NH3)2]+ + 2OH- ジアンミン銀(T)イオン 無色溶液
 
5 ・Zn2+を含む溶液にアルカリ溶液(NaOHまたはNH3)を加える。
   Zn2+ + 2OH- → Zn(OH)2 ↓ 白色沈殿
  ・次にNaOHを加えた場合。
   Zn(OH)2 + 2OH- → [Zn(OH)4]2-  テトラヒドロキソ亜鉛(U)酸イオン 無色溶液
  ・次にNH3を加えた場合。
   Zn(OH)2 + 4NH3 → [Zn(NH3)4]2+ + 2OH- テトラアンミン銅(U)イオン 無色溶液
 
 
9−4−2 金属イオンの分離(重要)
 金属イオンの分離の問題は大学入試によく出題される。イオンの組み合わせにさまざまなものがあるので、ここには大体すべてのタイプに対応できるようなものを示した。水溶液中の金属イオンは「黒文字」で、生じた沈殿は「赤文字」で示してある。色々な問題に当たって、覚えるようにして下さい。
 
Na+ と K+ は炎色反応により判断する。
Na+ は黄色 K+は赤紫色である。
 
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