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01 守護者の森を抜けたところで、その日は野宿をすることになった。 恥ずかしがりながらも、雲雀は野営テントの中でしっぽりとディーノに愛された。 種馬と罵りながら、それでも雲雀の体は気だるい幸福感に包まれていた。 本当はディーノがくれるものならば、何だって嬉しいのだ。 ただ、脇腹の傷がまだ塞がっていないことをいい様に利用されたのが癪だったが。 日中の移動と野営を繰り返しながら、漸くキャバッローネの領土に入ったのは三日目のことだった。 「見ろよ、恭弥。あれがキャバッローネ国だ」 ディーノの肩に頭を寄りかけ、昼寝をしていた雲雀を優しげな声が起こした。 馬車の小窓から顔を覗かせると、美しい麦畑の白い一本道を馬車は走っていた。 周りの景観も並盛谷とは違い、北国ならではの針葉樹が遥か彼方の森に覆い茂っていた。 「寒いか?」 領土に入った時から、もっと分厚いひざ掛けに替えたのだが、それでも物足りないと思ってしまうのは雲雀が温暖な土地で十六年間過ごしてきた所為でもある。 雲雀のために用意をしていたケープを肩からかけてやった。 「このまま、くっついていた方が温かいか?」 「平気だよ。寒さくらい」 冬になれば、もっと寒くなるんでしょうと聞き返し、ディーノはやんわりと頷くしかなかった。 「こんなの、キャバッローネでは序の口だな」 「そう」 ディーノの逞しい二の腕に抱き寄せられながら、雲雀はウトウトとする眼でぼんやりと窓の外を眺める。 ここが、ディーノの生まれ育った国。 気候も環境も並盛谷とはまるで違う。 寒さは少し苦手かも知れないと、憂鬱になりながらも決して口には出さない。 「もう少しの辛抱だ。城に着いたら、温かい料理と部屋を用意させるから」 「そう…」 ディーノの声が段々と遠のいていく。 そういえば、昼寝の途中だったことを思い出して、雲雀は目蓋を閉じた。 頭の上で「おやすみ。恭弥」と声がして、髪にキスされた後は記憶がなくなった。 四日目は野営をせずに住んだ。 土地の有力者がディーノを屋敷に招きたいと申し出てくれたからだ。 有力者の男には年頃の若い一人娘がいた。 やたらと、ディーノに近づいてくるので噛み殺してやろうかと得物を握り締めたところで、彼に制された。 ディーノは最初から娘に興味など持ってはいなかった。 だから、心配いらないと、小声で告げられた時は釈然としなくて、思い切り足を踏みつけてやった。 その晩は久々に温かい部屋と柔らかなベッドの上で眠ることができた。 勿論、この日もディーノは種付けに余念がなく、雲雀が泣き腫らすまで続けられた。 少し、腑に落ちないのは、どうもディーノが焦っているように思えたこと。 何に焦っているのか、熱い精を叩きつけられて「まさか」とその考えを打ち消した。 五日目も別の有力者の家に招待された。 やはり、年頃の娘が三人もいて、みんなディーノの精悍な顔つきにメロメロだった。 昨日の今日で慣れたはずと思っていたのに、やはり娘たちを噛み殺してやろうと思う自分がいた。 こんなことでは食事も進まない。 おちおち余所見をすることもできやしない。 でも、ディーノは「心配するな」と肩を叩いてくれた。 (何も僕は心配なんてしていない) と、強気に言い張るとディーノは穏やかに笑ってくれた。 その晩もベッドの上でディーノに愛された。 精力的に中出しされて、体中が精子でベトベトになった。 どこにこれだけの精子を蓄えておけるのか、疑問が一つ増えた。 ディーノはやはり、急いている気がしてならなかった。 六日目、七日目も同じことの繰り返しだった。 毎晩、ディーノの相手を務めるにはこの細身は少々きつい。 だからといって、別のベッドで眠るわけにはいかなかった。 仮初めにも雲雀はディーノの婚約者で恋人だ。 ディーノが望めば性欲をぶつけられて当然のこと。 他の誰にも代わりたくない。 「できたら、どうするつもり…」 馬車に揺れながら、ポツリと呟いた雲雀の言葉にディーノは俊敏に反応を示した。 「恭弥は子供、欲しくないのか?」 真剣な眼差しで問われると、雲雀は何だか居た堪れなくなりそっぽを向く。 「わからない。だって、僕も子供だし…」 ああ、彼はまだ十六だったなと、思い出したディーノは苦笑いを隠せなかった。 そうだ、自分は幼い子供を大人の事情に巻き込んでしまっているのだ。 (恭弥の気持ちも大事だっていうのに…) 罪悪感に胸が押し潰されてしまいそうだった。 黙り込んだまま沈むディーノを見て、何と言葉をかければいいのかと雲雀は戸惑った。 散々、迷った挙句に。 「いいよ。早く、つくろうよ。子供。今夜もたくさん僕に出して」 「きょ…や?」 「なんなら、今からやる?」 強気に出る子供にディーノははしばみを瞬かせ、そして最後には盛大に笑った。 |