柴田三代治先生のドイツ「介護保険」報告

<申し訳有りません、勝手にまとめたのは毒とるMIHIです>

 ドイツの社会介護保険制度は、1995年1月1日から施行された。
保険金の払い込みは1995年1月1日からで、資産蓄積期間を置いて在宅介護は1995年4月1日から、また施設介護は1996年の7月1日から行われた。

<要介護状態の定義>
 身体的、知能的、精神的疾患または障害により、日常反復される生活動作が「相当な範囲」または「ほとんどの範囲」または「まったく不可能」で、この状態が最低6ヶ月以上継続すると予想される場合を指す。

<介護段階>
第1段階:日常生活動作が相当範囲で不能
第2段階:日常生活動作が大部分の範囲で不能
第3段階:日常生活動作がほとんどの範囲で不能

 上記段階を査定する場合、生活動作と介護に要する時間が根本となる。
生活動作の評価は下の表に従って行う。

1;身じまい、清潔
・洗う、・シャワーを浴びる、・風呂に入る、・歯をみがく、・髪をとかす、・髭をそる、・排便、排尿
2;食事
・食物を食べられる大きさに切る、・かむ、飲む、食べる
3;動作
・ベッドから起き上がる、ベッドに入る、・衣服の着脱、・歩く、・立つ、・階段を上る、・自宅を出てまた帰ってくる
4;家事
・買い物に行く、・料理する、・部屋の掃除、・皿洗い、・下着と洋服の着替えと洗濯、・暖房を入れる

 第1段階とは、上記各項目のうち少なくとも1つまたはそれ以上の動作が不能で、そのため少なくとも1日1回平均1時間半以上の介護が必要である場合。

 第2段階とは、日に最低3回以上、1日平均3時間以上の介護を必要とする場合。

 第3段階とは、一日中介護が必要であり、1日平均5時間以上、また、それ以外に週数回、家事援助を必要とする場合。

 1998,9月7日現在の1ヶ月あたりの経済的援助
   (単位マルク。1マルク=77,86円)

       ケアサービス員・保健所員の介護       家族介護
第1段階          750                400

第2段階        1,800                800

第3段階        2,800              1,300

特別ケース       3,750                (−)

 <介護人の休暇>
 1年に4週間、介護人は休暇を取る事が出来る。
その間、介護保険から代替介護人に、通常支払われていると同じ額が支払われる。
施設介護の場合は、年2800マルクまで支払う。

<査定>
 介護の必要段階を査定するのは、MDK(Der Meditinische Dienst der Kranken Kassen)である。即ち、疾病金庫連盟から委任されて、開業医・疾病金庫と患者間の医学的問題を審議するグループ。
 ホームドクターの位置;査定が曖昧で、主観的判断になるからホームドクターの査定はあてにならないとして特別報告書や病状報告書に必要が有れば質問を受けるだけ。

介護保険は申告制であり、申告によって疾病金庫から専門の医師を派遣・査定する。

申告したケースのうち、必要なしで却下が 33,2%、第1段階が 29,8%、第2段階が 25,1%、第3段階が 11,9% であった。
(全ドイツ平均1995年10月31日現在)
各州の疾病金庫で差が出た。

<まとめ>
・査定基準に問題有り、不公平
・収支は査定にかかっているが結果は出ていない
・介護担当要員の養成は不急不要;病院閉鎖による失業看護従事者をまわせば十分
・介護の90%は家族の出来る事
・出費は労使半々;年金受領者は年金保険から、医療介護は疾病金庫から、生活介護は介護保険から

出典;柴田三代治、ドイツ「介護保険」報告、日医雑誌120(6):905−912,1998

柴田三代治先生は、早稲田大学法学部を卒業され、1962年ケルン大学医学部を卒業。
1967年、ドイツのオーバーラート市にて健保医として開業され、難民救済医としても活躍されています。

Copyright(C)DocMihi.1997


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