介護認定審査会委員の独り言

 たいていの介護認定審査会は、同じシステムだと思うのですが。
あらかじめ郵送されたおよそ30名の方々の資料に目を通し、介護度を判定し。
それを持ち寄って、4,5人で二次判定を行うわけです。

 あらかじめ十分な検討をしているはずだから、そう沢山質問があるわけではなく。
全員一致なのにやたらディスカッションがあったり、いちいち各項目を確認するはずがなく。
半数以上は、5人(時に4人)全員一致が多いし。
要介護度が全員一致したケースはディスカッションする方がおかしいと言うか、
不必要と言うか、時間の無駄。

 不一致の時には、「ではご意見をいただきます」。
全員に何故その介護度にしたかを手短に説明をしてもらい、質問の有無をチェックして。
「他に質問や追加はございませんね?」と聞いて、あとは挙手しかないと思うんです。

 まさか不一致の場合、いい大人がケンカしても仕方がないし。
ましてや、ジャンケンや、あみだくじでもあるまいし。
議事進行は部会長の私の一存で、「では、挙手で宜しいでしょうか?」になる次第。

 いつもこの場面になると、時代劇の賭場が頭をよぎります。
「では、質問は宜しいですね?挙手をお願いします」が、
「では、どちらさんも。よござんすね?入りますッ」に思えてならず。
あたしゃ胴元?ツボフリ?なんて思ったりして。

 でもちょっと違うのが、4人の挙手で2対2になると部会長に決定権が移り。
「えー、では。要介護度を1次判定より軽くする理由がないから、1次通り3で」
に落ち着きます。賭場じゃ、そう言うわけには行かないけど。

 金のない政府(これが胴元?)も、一次判定ソフトを更新したらしい。
出来は、大きなブラックボックスか手法を違えたアンケートのようで。
裏付けがあるようで、ないようなソフトと思うのは勘違い?
「今度のソフトは、なんか軽く出るようになってんノー」なんて委員が言い。

 その上、今までは二次判定での変更理由は比較的アバウトだったのが。
2次判定で変えるならそれなりの理由を付けろ!とばかり、みょーな指標を出して。
またその要介護度変更の指標のウイークポイントが、やってる内に明らかになってきて。
しかも、介護時間や状態像レーダーチャートとの整合性が怪しくなってきた。

 議事進行が録音されているので、意識して言うんですね。
「どうもこの指標は、要支援や1,2なんかの軽い介護度のボーダーラインケースに
やたら弱いですねー。状態像のレーダーチャートと合わないのが、結構ありますねー」
お役所の方も気づいているようで、小さな声で「ハアー、そうですねー」。

 介護認定期間も以前は6ヶ月が多かったのに、研修会の進行は「もっと延ばしてね」に。
そう来られると、天の邪鬼でなくてもつい要らないことを口走り。
「やっぱ6ヶ月かなー。12ヶ月じゃないッスよねー。延ばせばいいってモンじゃ・・・」

 新しいバージョンから、重度の場合のみ認定期間を24ヶ月にするのまで出てきて。
それはそれで良いのだけれど、状態を見たら98歳・10年以上寝たきり・肺炎を繰り返す。
「落ち着いた状態で、24ヶ月持てばいいけどねー。心配だねー」ブツブツ言って。
ちょっと不安になりつつ、「じゃあ、24ヶ月でオネガイシマス」で落ち着く。
要介護度が5以上はないから、仕方がないことだけど。
こんな事をして何になるんだろ?と、自問自答の日々でございます。

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