星のうさぎのおとしもの


―子どもたちが教えてくれたこと―

1.人生とりかえしはつかない―――とりかえしがつかなくても、やりなおしはいくらでもきく。

2.人生に遅れをとらぬよう―――人生に遅れなどない。平均寿命80余年をどのように生きても良い。

3.集団生活を体験しないと社会性が身につかない―――どういう集団生活を経験したかが人生に影響を与える。

4.集団生活を体験しなしと社会へ出られない―――出ている。

5.嫌なことがあってもあってもわがままを言わず適応力を身につけないと社会へ出てからやっていけない―――人間は適応したり不適応を起こすから生きている。

6.嫌なことでも我慢しないと楽な方へ楽な方へ流れる―――人間は我慢できることとできないことがある(人間は苦労するために生きるのか?楽な生き方を求めている)。

7.嫌なことから逃げてばかりいると我慢できない人間になる―――逃げるが勝ち。人間は逃げて生き延びてきた。我慢の反対・わがまま(こちらの期待に添わない事態を一般的にそう呼ぶ)は主体性。

8.いじめにも立ち向かう逞しさを身につけないと社会でやっていけない―――一瞬でもなぜいじめられなければならないのか。逞しさを身につけないとやっていけない社会とは何か。

9.言いなりになって甘やかすから家庭内暴力になる―――子どもをギリギリのところまで追いつめるから家庭内暴力に至る。

10.父親は威厳をもって、きっちり叱って、父親の出番―――求めていなければ出ない方がよい。

11.両親、意見を一致させた教育方針を―――両親意見を一致させて子どもを責めていることがある。不一致させても守るべき。

12.何事も途中で投げ出さず最後までやり遂げることが大切―――嫌なことを無理してしていくと人間は疲弊する。関心のあることは最後までやる。

13.友人は多い方がいい―――少なくてもいい。いなくても生きていける。

14.何事も積極的に―――積極性も消極性も事態に対するあり方(態度のとり方)のひとつ。物事によっては積極的になることもあるし、消極的になることもある。評価の対象ではない。

15.将来の(幸せ)ために今を辛抱すること―――今をどう幸せに生きるかをなぜ教えないのか。教育は今よりも「将来のため」を重視する。その将来とは何か。人間は常に今を生きている。

・より良く発達した姿を描き出せない発達心理学。
・親の思いどおりになること、従順でいる子を大人になった、という。
・親の思う幸せが子どもの幸せではない。
・人間は主体的に判断して生きている。
・自己否定から自己肯定――自分の世界を拡げたい。私という個人は世界でただひとつ。今を生きている唯一の生命。

これは宇部フロンティア大学・助教授の西村秀明さんが、長く子ども達に接してきた経験の中で実感されたことをまとめられたものです。