「アラビア」という言葉・・・百科事典で調べてみました。

 アラビア【亜剌比亜】
 アラビア(Arabia)〈アラビヤ〉アジア南西部、世界最大の半島。ペルシア湾、インド洋、アデン湾、紅海にかこまれ、大部分が砂漠。七世紀初頭、マホメットにより統一され、以後、イスラム帝国として繁栄。一六世紀にはトルコの支配下におかれた。一八世紀以降、民族運動が盛んとなり、サウジアラビア、クウェート、イエメンなどが独立した。埋蔵量の豊富な油田地帯がある。

━‐かい【アラビア海】 インド洋北西部、インドとアラビア半島に囲まれた海域。

━‐ご【アラビア語】 セム語族に属する言語で、アラブ諸国の共通語。イラク、シリア、アラビア半島、北アフリカなどに分布する。イスラム教の聖典「コーラン」は古典アラビア語で書かれている。単語は一般に三個の子音から成る。

━‐ゴム (英arabic gum)アラビアゴムの樹の樹皮から得られる粘液状分泌物、およびそれを乾燥したもの。錠剤の結合剤、織物仕上げ、インク、菓子の粘着剤などに用いる。

━ゴム‐の‐き【アラビアの樹】 マメ科アカシア属の常緑高木。北アフリカの原産でアラビア、インドなどにも栽培される。アカシア属の一種。高さ約六メートル。幹からしみ出るゴム質の樹脂が固まったものがアラビアゴムで、薬用、工業用などとする。アカシアゴム。

━‐じん【アラビア人】 アラビア半島の住民という意味と、言語風俗が同じアラブ族をさす場合がある。人種的には単一でなく、その起源も明らかでないが、ほとんどが、イスラム教を信じている。サラセン文化を築いた。

━‐すうじ【アラビア数字】 0・1・2・3・4・5・6・7・8・9の一〇個の数字。インドで考え出され、アラビアを通じてヨーロッパに伝えられた。ただし、古いものと新しいものとでは形がかなり異なる。インド数字。算用数字。

━‐のり【アラビア糊】 アラビアゴムを材料として作った粘りけの強い糊。

━‐もじ【アラビア文字】 アラビア語などの文字。アラム文字が発展したもので、四〜五世紀ごろ成立。表音文字で、子音文字(二八個)しかない。母音は、必要に応じて、文字の上下に補助符号をつけて示す。右横書き。アラビア語のほか、ペルシア語、マレー語、ヒンドスターニー語などの文字でもあり、分布地域はローマ字に次ぐ。

Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) Shogakukan 1988.
国語大辞典(新装版)小学館 1988.

英語とアラビア語
 英語には、アラビア語が語源である単語が結構たくさんある。科学をはじめとして、アラビア人たちは、西洋の文化に大きく影響を与えている。
アラビア語    英語

amiral bahr →  admiral
(海の君主)   海軍提督

  al kohl   →  alcohol
(アンチモン) アルコール

 hasheesh   →  hashish
(乾いた草)  大麻の呼び名

   qahwa    →   coffee
(コーヒー)    コーヒー

   sukkar   →   sugar
 (砂糖)        砂糖

   jamal    →   camel
(ラクダ)      ラクダ


冷たくする
 「胸を冷たくする」は、「悲しませる」という意味のように見えるが、熱帯乾燥地帯のアラブ世界では、その逆で「喜ばせる」の意味。
コーラン
 イスラム世界では、コーラン(全114章)を全部暗誦することをとても大切なこととしている。人々は子供をコーラン塾に通わせて、コーランを暗誦することを努める。めでたくコーランを全部暗誦し終えた者は、「ハーフィズ」という敬称が与えられ、尊敬される。なかには10歳でハーフィズになる者もいるらしい。
ロバ
 アラブ人社会、特に地方では「ロバ」は乗り物用、荷物運搬用動物として広く役立っているが、「ロバ」そのものは「愚かな、馬鹿」の代名詞としてあまりよく見られていない。もし人に向かって「ロバ」というと、それは相手を愚弄する言葉となる。
「開け、ごま」
 アラビアンナイトの『アリババと40人の盗賊』に出てくる文句。貧しい薪拾いのアリババは盗賊のアジトを見つけ、金銀財宝を手に入れる。この話のキーワードはこの「開け、ごま」である。なぜ、「ごま」と唱えなければ、扉が開かなかったのかは不明だが、アラブ人は、ペーストとしてパンにつけたりするなどのいろいろな形で、ごまを食生活のなかに多く取り入れている。
太陽と月
 太陽というと男性的、月というと女性的なイメージがあるが、アラビア語ではその逆で、太陽は女性名詞、月は男性名詞である。アラブ世界では、太陽は熱い光線を地上に送り、人間を苦しめるものとして、月は夜の闇をランプのように照らす快いものとしてとらえられているようだ。
写真撮影
 中東諸国、特にイスラム教国では、日本のようにどこで何を撮ってもいいというわけにはいかない。軍事施設や飛行場をはじめとして「撮影禁止」になってる場所がいろいろあるからだ。しかし一番気をつけなくてはならない点は、女性にカメラを向けることである。イスラム教では、戸外で知らない女性にカメラを向けることは御法度である。
離婚
 イスラム社会における離婚は、日本の現状とだいぶ異なる。イスラム法によると、夫は口頭か文章で「離婚する」と宣言することで、特別な理由がなくても一方的に妻と離婚することができる(もちろん経済的負担は負わなくてはならない)。一方、女性から申し立てる場合は複雑な制約があり、圧倒的に男性の方が優位な権利を与えられている。しかし、近年、女性の権利に目を向けた2,3の国で法律の改正が行われている。
もどる

つづく