動詞


 アラビア語の骨格は動詞で、3語根動詞〜たとえば、kataba「彼は書いた」のようにk,t,bの3語根〜が核である。
動詞はテンスによって完了形(動作が完了している行為)と未完了形(動作が未完了の行為)に二分される。過去、現在、未来に分けるのではなく、動作が完了しているかどうかを問題にする。

 未完了形はその直接形から接続形、短形が得られる。同様に命令形、能動・受動形、動名詞が得られ、原型(第1形)が構成される。原型で構成された語群同様に派生形おいても、第2形から第10形までが構成される。派生形は15形まであるが、実際に使われるのは第10形までである。

例)qatara
第1形で「殺した
第2形ではqattalaとなり、「虐殺した
第3形では相互性が加わりqatala殺し合った、戦った」   注:aはaの長母音とする
第6形では相互性が一層加わりtaqatala互いに殺し合った
第10形では「求める」という意味が加わり、istaqtala命を危険にさらした



〜動詞に見られるその他の特徴〜

・動詞文の冒頭にくる動詞の主語
動詞文(動詞で始まる文)で主語が3人称の場合、動詞は男性か女性かだけを主語と合わせ、常に単数形で書く。主語が3人称である場合とは、男性単数・双数・複数・女性単数・複数・双数の6つの場合があるが、動詞文の冒頭は男性単数女性単数を主語にした形に限られる。

・受動態と行為者
能動と受動の区別は、子音の読み方を示す母音符号によって簡潔になされるが、能動文の方が圧倒的に頻度が高い。それは、行為者がはっきりしている場合は、能動文で書かないといけないからだ。「この物語は大帝によって書かれた」という文章は行為者が明示されているので、受動文では書けない。「エジプトではアラビア語が話されている」という文では、エジプト人によってという降雨医者を文中にあえて示す必要が無く、現に示されてないので受動態で書かれる。

・4語根動詞
4語根動詞は擬音を表す動詞とそれ以外のものに大別される。前者は第1と第3、第2と第4がそれぞれ同語根となる。同じ語根による快い調べが・・・
 zalzala「グラグラ揺れた」
 waswasa「ヒソヒソ囁いた」
 rafrafa「ヒラヒラはためいた」
 walwala「オイオイ泣いた」
擬音以外の例は、
 tarjama「翻訳した」
 dahraja「転がした」  注:hは「咽頭摩擦音」普通のhよりもっと喉の奥の方で発音する。
 bahdala「中傷した」
 barqa'a「ベールを被った」
これらも完了形、未来形、接続形、短形を持つ。

・不規則動詞
不規則動詞には、くぼみ動詞、重複動詞、ハムザ動詞、wawで始まる動詞、弱動詞に分類できる。


もどる