b.断定保留
(2) 隣の部屋に誰かいる。
(3) 隣の部屋に誰かいるようだ。
(2)が断定の表現であるのに対して、(3)は断定を保留した表現になっています。他にも断定保留を表す表現がいくつかある。
(4) うまくいくだろう。
「だろう」は断定を避ける。(断言をしたいときは「うまくいく。」)
(5) 寒いだろう? こっちへ来いよ
「だろう」を尻上がりで発音すると、相手に確認する意味。
(6) 見たところ、皆さんおつかれのようですね/お疲れらしいですね。
(7) うわさでは、ドラクエの発売が延期になるようだ/らしい。
(6)では「ようだ」、(7)では「らしい」のほうが使われやすい。自分で知覚した直接的な手がかりの場合は「ようだ」、
他からの情報といった間接的な手がかりの場合は「らしい」のほうがふさわしい。
(8) 子供がミイラになりそうだ。
(9) 子供がミイラになるそうだ。
(8)は自分で直接観察していて、(9)は伝聞の情報を表している。つまり、「そうだ」の前に来る述語のちょっとした違いが重要である。
c.否定
(10) ルミ子はハワイに行くといつも服を買うのに、今回は買わなかった。
(11) この服はハワイで買ったのではない。
(10)では服を買うという出来事(事態)が起こらなかった。
(11)では、服を買ったという出来事が起こらなかったとは言ってない。服を買ったということは認めた上で、「ハワイで買った」
というのは事実に合わないと言っている。(10)を「事態の否定」、(11)を「判断の否定」と呼ぶ。また、
(12) 全員が来なかった。
(13) 全員が来たのではない。
(12)では一人も来なかった、(13)では来た人も来なかった人もいた、という意味になる。
(12)は、関係者全員について「来る」という出来事(事態)が起こらなかった、ということを意味する「事態の否定」、
(13)は「全員が来た」という判断は事実と合わないという「判断の否定」である。
d.説明
(14) A:忙しそうだね。
B:うん、子供を復活させているんだ。
「んだ」を取り除くと、
(15) A:忙しそうだね。
B:うん、子供を復活させている。
これだと話の流れがスムーズにいかない。つまり「のだ」は前の文に対する何らかのつながりを表現している。