態(ボイス)(1)、受け身の周辺


2−1 まともな受け身と迷惑の受け身

・動詞(未然形)+「(ら)れる」=動詞のとる格の関係が変化→受け身文
 a.森は野中に褒められた。野中が森を褒めた。
 b.田中は立花にすぐに記事を書かれた。南無阿弥陀仏立花がすぐに記事を書いた。(→それが田中に起きた)
 c.西川峰子は台風に家を流された。台風が西川峰子の家を流した。

aのように、主語と目的語が交替するだけの関係を表すものをまともな受け身
bでは、主語と目的語が交替するだけでなく、それだけで格関係が充足している内容に対して、主語が関連することになっている。そして、関連する名詞の数は受け身になることによって増える。意味的には、迷惑であるというニュアンス。迷惑の受け身。
cは、迷惑の受け身に近い構造で、受け身分の主語は、能動文の目的語の持ち主になっている。持ち主の受け身


2−2 まともな受け身の用法

能動文の主語である動作主に焦点をあてず、受け身文ではあえて対象を主語に取り立てた表現をする。
受け身になった場合、もとの主語はニ格で表されるが、カラ格やニヨッテが使われることもある。
 中尾は多くの人から疑われている。
 出雲ドームは竹下によって建てられた。

2−3 迷惑の受け身の意味・用法の特徴

迷惑の受け身では、二格は人でなければならない。例外として「静香は黄砂に吹かれた
一方、自分の持ち物について言うときは、二格は人でなくてもよい。→持ち主の受け身。「所有物を〜される」