◆企画展「菜香亭所蔵狩野派展」開催


 平成22年7月1日(木)から7月30日(金)まで、大広間下の間展示室に於いて、企画展「菜香亭所蔵狩野派展」を開催しました。

 料亭「菜香亭」が所蔵していた掛け軸のうち、江戸時代を代表する狩野派の絵画を一同に会した展覧会です。
 徳川将軍に直接御目見得できる「奥絵師」という、江戸時代の絵師の中で最高の地位にあった方々の作品もあります。
 また、初公開作品も2点あります。
 料亭の床の間や大広間を飾り、多くの著名な政治家の目を楽しませた作品の数々です。

 ○展示品
・作者不明 双幅「花鳥図」※初公開
・狩野探信「寿老人図」※初公開
・狩野常信「雪中富士」
・狩野惟信「舟中布袋図」
・狩野栄信「昇龍図」
・狩野養信・栄信 双幅「馬図」
・狩野武信 萬歳猿図
・狩野幸信 群鶴図屏風


◎狩野派の絵画(企画展よせて)

 狩野派は、室町時代に登場した狩野正信によって創始された流派です。その後、息子の狩野元信によって、その画家集団としての基礎が確立され、桃山期には狩野永徳という巨匠の活躍によって、大規模な共同制作体制もできあがり、多くの弟子家も誕生しました。戦国の時代にあっても、狩野派の画家たちはその軍事力を競った各勢力との関係をそれぞれ築きながら、したたかに生きのび、やがて江戸期の徳川幕府成立以後、その御用絵師集団として、狩野探幽を中心として、強固なヒエラルキーをもった流派組織を創りあげました。狩野派では、その中枢に宗家筋としての奥絵師集団があり、さらに表絵師集団がその周辺を固め、全国津々浦々、各地方までに及ぶ町絵師集団が組織の下部を広汎に支えたのでした。むろん、この防長の地もその例外ではなく、毛利藩のお抱え絵師としても本藩、支藩ともに狩野派の画家はかならず召抱えていました。
 菜香亭の所蔵作品のなかにも、この狩野派の作品はかなりの数ふくまれています。主に江戸期の狩野派画家の作品が中心ですが、江戸の宗家筋にあたる奥絵師たちの作品が多いことも特色です。ここに展示される狩野常信、狩野探信、狩野惟信、狩野養信、狩野栄信らは、江戸初期から幕末までの狩野家中枢で活躍した実力者たちです。また狩野武信なども江戸の表絵師として、さらに狩野幸信などは長府藩の御用絵師として活動した絵師で、今回の展示はこうした狩野派の裾野の広さも感じ取ることのできる内容となっています。

   解説文執筆および監修:菊屋吉生(山口大学教授)