今日、彼は行ってしまう。



ベルンに帰って汚名を晴らすのだと、

遠く故郷の空を見つめてそう言った。





「必ず、迎えに行く」




そんな、悲壮な覚悟をした目でわたしを見ないで。



うそつき。


あなたは今から死にに行くのでしょう。

どうして希望を持たせるようなことを言うのですか。




「さようならプリシラ。体に、気をつけて」




ああ、やさしいことばをかけないで。

おまえなんか嫌いだと言って。

ひどく傷つけて。

そうしたら、わたしはあなたを忘れます。




「愛しているよ」









砂埃が舞った。

ハイペリオンが啼いた。






「わたしも愛しています・・・ヒース・・・」





身体が、玩具のようにぐしゃりと崩れ落ちた。





彼は行ってしまった。



 

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うわっ、短っ!
別れのときまでには”さん”なしで呼び合う二人希望。
何で私の書くヒースは「愛してるよ」とか平気で言えるのか。
実際のヒースは絶対言えないと思います。シャイボーイ。
04/09/06