イグサの効能究明 北九州市立大グループ 健康食品の商品化目指す

 イグサの成分の中に糖尿病や老化などの原因になる活性酸素を消去する効能があることを、北九州市立大国際環境工学部(同市若松区)の森田洋講師(生物資源工学)のグループが発見した。同じく消去効能がある赤ブドウの十倍以上の効力という。中国からの安価な輸入品に押され、セーフガード(緊急輸入制限措置)の対象になった国産イグサだが、森田講師は「健康食品として商品化を進め、新産業になれば減産の続く国内生産の回復に結びつくはず」と期待している。

 活性酸素は呼吸で得た酸素が体内で変化するなどして生じる。少量だと外部から侵入してくる病原菌やウイルスを撃退するが、体内に多く蓄積されると正常な細胞を傷つけ、糖尿病やがん、動脈硬化などを引き起こすという。

 森田講師はイグサの特産地である熊本県八代市の八代高専に勤務していた当時、和室の減少などで減産傾向のイグサの新たな活用法を探そうと研究に着手。イグサと成分の似ている茶に活性酸素の消去効能があることから効能や食品化の実験を続けていた。

 実験は日本食品分析センターに委託。あく抜きをした八代産のイグサを高温で五―六時間乾燥させてできたイグサ粉末に水を加えて液を抽出。この抽出液に活性酸素を混入して測定した結果、代表的な活性酸素である「スーパーオキサイドラジカル」が大きく減少したという。現在、粉末を体内に吸収した場合の効果について実験を続けている。すでにイグサ粉末を使ったうどんやふりかけなどが作られているが、森田講師は「今後は企業の協力を得ながら錠剤、ドリンク剤などで商品化を目指したい」と話している。

(西日本新聞 2001年4月18日朝刊 前文記事)

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