宇部市議会だより

以下は代表質問の内容です。

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宇部市議会(20年9月)定例会議事録

一 般 質 問 (市 政 会)


      井 仁  議 員

    26番(高井仁君) おはようございます。新風会の高井仁であります。
 きょうは3つの点について、その1つは高齢者の生きがいづくりということ、2つ目は指定管理者制度の利点、3つ目は危機管理に関しまして宇部市総合防災訓練のあり方、この3つについて、要望を兼ねて御質問いたしたいと思います。
 まず第1の高齢者の生きがいづくりについてであります。
 企業等の定年年齢は、高年齢者雇用安定法に基づきまして、御承知のとおり65歳までの雇用延長がなされようとしておりますが、公務員を含めていまだ十分ではないのが現実であります。
 御承知のとおり、60歳以上の人は、この8月末現在、宇部市には5万6,122人おられるそうであります。人口比にすると32.2%、実に3人に1人が60歳以上の高年齢者です。
 国立社会保障・人口問題研究所の山口県将来推計人口という統計がありますが、これから推計しますと、宇部市において10年後には39%が60歳以上、20年後には全市民の42%が60歳以上の高年齢者になるということが予想されます。
 一方、市政の現状を見てみますと、こういった方々に対するアルバイトを含む就労支援──ボランティア活動、余暇の活用等に対する支援、応援の状況を見てみますと、健康福祉部が主体ではありますが、市民生活部、経済部、教育委員会等がばらばらに取り組んでいるのが現状であると思います。そして、その中で特に健康な方々を対象にした施策が少ないように思われます。
 そこで、高齢化がますます進むこれからの世の中で、特に健康な60歳から65歳までを含む高齢者の生きがいづくりについて、就労支援や余暇の活用、ボランティア活動等のため、総合的かつ一元的に支援する制度または組織をつくって、本格的かつ真剣に取り組む必要があるのではないかということが第1点であります。
 次に第2点、指定管理者制度の利点であります。
 指定管理者制度が取り入れられて3年目になります。これの趣旨、目的からして、行政、財政、市民サービス、このそれぞれの面から見て利点はどんなものがあったのか、どんなものがあるのかということについて、市民に対してわかりやすく御説明、御紹介をお願いしたいというふうに思います。
 最後に第3点ですが、危機管理に関して、宇部市総合防災訓練のあり方について質問いたします。
 先日の8月24日、宇部市総合防災訓練が西宇部校区の西宇部小学校において行われました。私は、毎年、宇部市総合防災訓練を見ておりますが、訓練に参加する各部各員は一生懸命やっている。そしてそれ相応の成果はあるように思われますが、毎年若干の変更はあるものの、ほとんど変化はなく、極端な言い方をすると、前の年の場所を変えただけではないかという感じがするわけです。とても宇部市全体の総合防災訓練とは思えないのが現実であります。
 自主防災組織の組織率につきましては、関係者の努力によって、ここ数年急激に上がってきておりますが、市民全体の災害に対する認識や防災のための物心両面における準備というのは、決して十分なものではないと思われます。その原因の1つが、この宇部市総合防災訓練の方法、やり方にあるように思われます。現実に災害が起きた場合に、その結果が大いに心配されるところであります。
 訓練のあり方について早急に、かつ大いに検討する必要があると思います。この点についてお考えを聞き、足りない点は自席から質問させていただきます。
 以上、よろしくお願いします。

◎市長(藤田忠夫君) 高井議員の御質問にお答えをいたします。
 御質問の第1、高齢化社会にかんがみ、健康な高齢者の生きがいづくりのため、就労や余暇の活用、ボランティア活動等のため、総合的かつ体系的に支援する制度(組織)が必要ではないかというお尋ねでありますが、我が国の急速な高齢化の進行は、社会構造的にもさまざまな影響を与えているところであります。
 近年の社会保障制度におきましても、介護保険制度や後期高齢者医療制度の創設など、大きな改革が次々と行われているところであり、その都度、市としても、医療、保健及び福祉のサービスにつきまして、国の制度に対応しながら、着実に推進しております。
 さて、健康な高齢者への対応につきましては、保健、福祉、就労、学習や社会参加などに関する諸施策を総合的に推進する拠点として、平成7年にシルバーふれあいセンターを設置しております。また、第3期宇部市高齢者保健福祉計画におきましては、生涯現役社会づくりの推進を図るべく、住民意識の醸成と推進体制を整備して、多様な社会参加の促進を支援するようにしております。各施策の所管は行政内部でも各般にわたり、推進母体も行政主体・主導だけでなく、社会福祉協議会、老人クラブ連合会や市民団体、シルバー人材センターなど各種法人、団体に及んでいるのが現状であります。
 この状況を踏まえつつ、今後の超高齢社会を見据えて、高齢者の生きがいづくり、就労や余暇の活用、ボランティア活動等につきまして、関係機関等と連携をとりながら推進するとともに、市民ニーズの把握に努め、庁内の組織や仕事のあり方について考えることが必要であると思っております。
 次に、御質問の第2、指定管理者制度を導入することによって、行政及び財政並びに市民サービスの面においてどのように改善したかということでありますが、本市では、平成18年度から指定管理者制度を導入し、今年度3年目を迎えたところであります。この制度の導入により、従来、市が行っておりました施設の使用許可や使用料の徴収、修繕等の維持管理や運営等の事務を指定管理者が行うことにより、地方分権の進展によって市全体として増大傾向にある事務量の軽減のほか、制度導入前と比べ、施設の管理運営に要した経費は、平成18年度で約4,360万円、平成19年度で約7,400万円、2カ年の合計で約1億1,760万円の縮減を図ることができたと考えております。
 また、継続的な業務改善を図り、利用者本位のサービスを提供していく観点から、定期的に利用者アンケート調査を実施することとしており、その中でサービス向上を評価する内容の意見が寄せられたことなど、市民サービスの面におきましても一定の成果があったものと考えております。
 次に、御質問の第3、市民の防災意識の普及及び向上のために、宇部市総合防災訓練の方法(やり方)について再検討する必要があるのではないかということでありますが、本市では、防災体制及び災害応急対策の点検と、市民の皆さんの防災意識の高揚を目的とした宇部市総合防災訓練を、昭和17年8月27日に未曾有の被害をもたらした周防灘台風を忘れないよう、毎年8月末に実施しております。
 今年度の総合防災訓練は西宇部校区で行い、災害時要援護者避難支援制度に基づいた初めての避難訓練や、消防防災ヘリコプターによる土砂災害救出訓練のほか、車いす誘導講習、着衣泳体験、初期消火や応急手当講習等、多くの地域住民の参加による地域に密着した訓練を実施し、他校区の自主防災会関係者等の参観も得る中で、広く市民の防災意識の高揚が図られたものと考えております。
 また、西宇部校区内の自主防災研修事業や福祉の輪づくり運動などの事例報告も行われ、防災訓練の実施とあわせ、今後の地域自主防災活動の活性化に結びついていくと考えております。
 本市では、現在、18校区において自主防災会が設立されておりますが、新たな結成の動きもあり、より一層の機運の醸成と既存組織の育成という課題解決に向け、御提言の趣旨も踏まえ、本年8月に設立しました宇部市自主防災連絡懇話会における意見も参考にしながら、今後の総合防災訓練のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 以上で、壇上の答弁を終わります

    26番(高井仁君) 若干質問させていただきます。
 まず第1に、高齢者の生きがいづくりということでございますが、先ほど申し上げましたが、現在、3人に1人は60歳以上なのです。それが10年後には、全体の40%になる。40%というと、5人のうち2人はこれに該当するわけです。その数の多さについて、よく考えなければいけないというふうに思っております。
 この方たちの毎日の生活を見ますと、すばらしい能力を持っている方がたくさんおられるわけですが、一部の方を除いて、失礼な言い方をすると、まことに失礼ですが、ほとんどの方が毎日することも見出せず、無為無策の生活をしておられる方が多いのではなかろうかというふうに思うのです。
 また、高齢者世代に仲間入りする前の60歳から65歳までの方、年金は一部しかもらえない。人によってはまだ子育て中である。元気であるが仕事がない。することがない。仕方なくパチンコに行こうかというような方もおられるやに聞いております。
 そこで質問いたしますが、これらの暇をもてあました人的資源、これもう本当にもったいないと思うのですが、この人たちの人的資源を活用するために、現在以上の何らかの対策が必要ではないでしょうか。市長答弁よりももう少し細かくといいますか、具体的にお答えをお願いしたいと思いますが、担当部長、どうでしょうか

    健康福祉部長〔福祉事務所長〕(久保章君) お答えをいたします。
 御指摘のとおり、団塊の世代が大量退職時代を迎えて、余暇時間を多く持たれる高年齢者が増加していることは予測をしております。高年齢者の方たちについては、それぞれこれまでの人生の中で、価値観なり今後の人生設計を有しておられると思っております。リタイア後、再就職をされる方、あるいは学習活動に参加される方、趣味やスポーツ活動、あるいは社会貢献のための活動、ボランティア活動等々をされたいというふうに思っている方、さまざまであると思っております。
 市といたしましては、これらの健康なリタイアをされた方々がいろんな場面で活躍されるということは、市の活性化につながると考えておりますので、場の提供、機会の提供、情報提供等、条件づくりに努めるとともに、関係者とともに連携をしながら、そういう活動の場を広げてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます

◆26番(高井仁君) わかりました。行政を見てみますと、確かに先ほど申し上げました各部でいろんなことをやっておられます。ところが、どんどん、どんどん世の中が変わっていっているわけです。例えば、今言ったように、どんどん、どんどん対象人口がふえている。なおかつ、それほどの改善は見られないということです。この辺をよく御認識いただきたいと思っております。
 先ほどの市長の答弁で、庁内の組織や仕事のあり方について考える必要があるというふうに申されましたが、これもう少し具体的にお願いしたいと思います。

    ◎健康福祉部長〔福祉事務所長〕(久保章君) 御承知のとおり、やはり社会は変化をしてきております。人口構成一つとっても、少子高齢化という社会を迎えております。社会の変化や時代に即応した業務の遂行は、当然のことと考えております。そうしたことから、事務事業の見直しの観点から、市民ニーズの把握に努め、仕事のあり方や組織のあり方について、常に考えながら対応することが肝要であるというふうに考えておるところでございます。
 以上でございます

    26番(高井仁君) 今、2つほど答えていただきましたけど、今までと比べて少しは前進があるというふうに認識してよろしいのでしょうか──はい、今、そういうことだそうです。
 今も、時代に応じた事務事業の見直しという観点から、要するに市民ニーズの把握に努めるというふうに言われました。市民ニーズが那辺にあるかということにつきましては、それを常に把握して、そこから施策がスタートするということは、この問題に限らず、市民サービスを目的とする市政としては、当然のことであろうというふうに思うのです。日々の市民ニーズがどこにあるか、それにこたえるための受け皿づくりはどうするのか、これにどう対処するのか、どうすれば市民が納得する、満足するのかということについて、現在の高齢者の生きがいづくり対策に求められていることであります。市民のニーズを探して、その要望にこたえるように努力する。市民の要望にこたえるために、そのためには大きな財政、状況によっては大きな財政措置を要することもあろうというふうに考えられるのです。
 そこで、ちょっと話を変えますが、高齢者の就労支援について大きな成果を上げておられるものに、シルバー人材センターがあります。このシルバー人材センターの利用者、言い方を変えれば、生きがいづくりをしておられる高齢者はどのぐらいおられるのか、わかりましたらどうぞ。どなたか。

 

    経済部長(西山一夫君) シルバー人材センターの会員数でございますが、ことしの7月末現在で、男性が888人で、女性が417人、計で1,305人となっております。ちなみに、19年の3月末で1,250人ということなので、若干の増加をしているということでございます。
 以上です。

    26番(高井仁君) 約1,300人の方が、いろんな仕事を通じて生きがいづくりをしておられる、喜んでおられるというふうに解釈したいと思います。
 先ほど、財政ということを申し上げましたけれども、その1つの例として考えていただきたいことがあります。シルバー人材センターの業務の1つとして、学校の警備、夜の宿直、それから祭日、休校日の日直ということがあります。今から申し上げること、教育部長、違っておったら手を挙げて言ってください。指摘してください。
 小中学校の警備において、教育委員会では、現在、行財政改革ということでしょうけれども、警備の機械化ということを進めておられます。聞くところによりますと、1億2,800万円という警備のためのお金が要る。これが、機械化をすることによって、6,900万円となる。5,900万円が節減できるというふうに聞いております。
 1億2,800万円のうち、シルバー人材センターが約9,000万円を、その他を警備会社に任せているというふうに聞いております。ちなみに、シルバー人材センターの請負総額が6億円で、それの15%ぐらいになるわけですね、9,000万円は。
 もし、ここで、市民ニーズがそのような仕事、アルバイトを必要とするならば、現在の方向、単純にお金が安くなるから機械化をするということだけでいいのだろうかということなのです、私が言いたいのは。機械化が悪いとは言いません。悪いとは言いませんけど、そのあたりの市民のニーズとのバランスを考えて、それは、財政改革ということには完全にはいかないかもしれませんけど、そちらの方も主体的に考えてやる。または、そのバランスをとってやる。こういう考え方が必要なのではなかろうかというふうに思います。
 私が問題提起した、総合的かつ体系的に支援する制度、組織をつくる必要があるというのは、ここなのです。答弁は求めませんけど、よくよく考えていただきたいというふうに思います。
 現在、政府は、御承知のとおり消費者庁をつくると。福田政権が──福田さんもかわるかもしれませんけど、消費者庁をつくるということで動いております。これからの行政、地方政府である宇部市の行政の形は、既存の仕事の組織、業務主体の縦割り組織から、受益者──国民、市民ですが──主体の組織に移行せねばならないというふうに思っています。先週の金曜日に、たくさん行っておられましたけど、北川先生のまちづくり講習会がありましたね。あそこで、先生は、前の三重県知事の経験を踏まえて、これからの地方行政は、事実前提の思考から、将来を見据えた価値前提に変えねばならないというふうに言われました。これは、宇部市政が、これまでやってきた既存の行政の形から、宇部市政は何のためにあるのか、だれのためにあるのか、将来の宇部市民のためにはどうせねばならないかという考え方、形にせねばならぬと言われたと私は解釈いたします。
 現在、御案内のとおり、宇部市の求める将来の都市像ということで、第四次宇部市総合計画の策定が進んでおります。よそから見て宇部市に住んでみたい、また、宇部市に住んでよかったというふうに、先ほど申し上げました宇部市の人口の40%にもなろうとする高齢者の方々が将来そう思われることを、また、そう思われるような宇部市になることを祈って、この問題については終わりたいと思います。
 第2点にいきます。指定管理者制度であります。
 先ほど壇上での質問で、行政、財政、市民サービス、この3つにおいてどのように改善されたかということを御質問いたしました。一部足らなかったようですので、改めてもう一度質問いたします。
 行政面でいうと、これから指定管理者制度で仕事をそっちに出すわけですから、一般的には、それまで関係していた人が当然減っていくという気がするのですが、いろんな各部に分かれて難しいと思いますけども、このあたり、成果としてはどうなのでしょうか

    総務部長(木藤昭仁君) お答えいたします。
 特に指定管理者制度については包括的に委託をするということでございますので、そういう意味では、直接に管理運営を正規の職員がやっているということになれば、当然その人件費が大きく影響してくるということになります。ただ、今回、指定管理者制度に切りかえますのは、基本的にはもともとが、館については委託をしていたというような施設で、直接的に正規の職員が管理運営をしていたということがないところでございますので、人件費効果という部分では少ないというふうに考えているところでございます。
 以上でございます

    26番(高井仁君) 公務員のやり方ではしようがないのかなというふうな気がいたしますが……。
 次に、財政面ですけれども、先ほど、2年間で1億1,760万円節減できたという説明がありました。もう少し具体的に、ただ安くなったというだけでなくて、できましたら具体的に御説明をお願いします。

    総務部長(木藤昭仁君) これは全体で申し上げましたけれども、全般的には、特に多くの施設を持ちますところ、あるいは大きな経費がかかっているようなところというものにつきましては、包括的に、あるいはかなりの裁量でできるようになってきたという意味から、あるいは指定管理者制度そのものがやはり競争を意識している、公募でございますとか、あるいは民間のノウハウというものを期待をするという意味から、当然、単独指定をしたところにつきましても、基本的にはそこがコスト削減について非常に真剣に考えられるというような、そういう指定管理者制度そのものに基づきます経営努力をしなければいけないというような観点が非常に働いているというふうに思っております。そういう意味では、特に、常盤公園あるいは体育施設、あるいは勤労者総合福祉センターというようなところについては大きな効果を得ておりますけれども、基本的には、それは、経営努力によるコスト削減という部分と、あとは使用料等は利用料金制度にしましたので、やはりその辺の利用者の増大につながるような自主事業でございますとか、あるいはサービスの向上というものに努力をされているというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。

    26番(高井仁君) 最後の一番肝心な市民サービスの面ですが、これは先ほどの答弁で、アンケートをやってみたら、いいという返事だったからいいと、こういうふうに言われました。
 しかしながら、施設によっては、指定管理者制度になって何か不便になったということもたくさん聞きます。例えば、借りるのにお金を取るようになった、何か手続が大変だという、そのあたりを、今後、個々の施設ごとに、定期的に市民の御意見を聞いて、一番肝心の市民サービスもよくなったとみんなに思われるような指定管理者制度をお願いしたいと思います。
 今、来年4月からの、次の期の指定管理者を募集されていますね。これにひとつ、そういう市民サービスをもう少しというふうな条件を出すなりして、先ほど申し上げたようになることを希望しております。
 第3点、最後の防災訓練のあり方についていきます。
 私がこの防災訓練のあり方を取り上げたのは、危機管理という面の一部として取り上げて、実はこれ3回目なのです。ただ、その中でちょろちょろと言っているのですけど、なかなか、こんなのでええのかなというような気がしますので、あえて3回目を取り上げました。そしたら、先ほど検討すると市長が言われましたので、3度目の正直で、少しはよくなるのかなと、半分安心しておるところでございますが、これをもっともっと本当にいいものにするために、私の考えを2つ、具体的に申し上げますので、参考にしていただきたいと思います。
 

1つは、現在、校区ごとに訓練をやっている。この前は西宇部でありました。その前は黒石でありました。これをやると、ずっとこのままいくと、単純には──頭が単純ですから言いますと、24年に1回しか訓練しない。いや、西宇部校区でやるからみんな行って見りゃええじゃないかと言ったって、西宇部校区でやるといったら、恐らく去年の、隣の黒石校区は来ておられないはずです。そんなものなのです、人の感じというのは。逆にいうと、校区でやるということは、ほかのところは来るなというような気さえする。
 先ほど、防災関係者が来ておられたということを言っておられましたが、本当、何人来ておられましたでしょうかね、聞きませんけれども……。今度の訓練には200数十名来ておられたと思うのですが、ほとんどが西宇部の方でいらっしゃる。事実、ほかの校区では全く別のことをやっておりました。この訓練のやり方、これは先ほど防災の──どうですか、防災に対する意識を持ってもらうと。ところが、ほかの校区は、この日にほかの行事をやっておるのです。そりゃそうでしょう。当然そうなるわけです。こういうところを考えて──9月1日が防災の日です。あれは、全国的に防災について考えろということです。同じように、8月24日にやるなら8月24日に、全校区ともちゃんとこれに目を向けて、直接来る来ないは別として、考えてくださいよというようなやり方をせにゃいかぬと思います。これが校区制のやり方。
 2つ目は、総合防災訓練は、本当いうと総合ですから──訓練というのは、私は、常識的に考えると3段階あると思うのです。各校区、地域、現場でやる訓練、これが私はこの前の西宇部の訓練だと思うのです。避難訓練。特に要援護者等を含めて新しく訓練をする。これはそれぞれ。
 そしてもう一つは、この前、市がやっておられました指揮所演習ですよね。実動を伴わない訓練。これは全般の指揮、起きたらどうするかと。
 そして、その上に、全体として総合防災訓練があるのが普通であろうと思うのです。だから、指揮所訓練でやった、各校区でやった訓練を踏まえて、全般的にやるのが、何回も言うのですけれども、総合防災訓練ですから、それであろうと思うのです。
 この総合防災訓練というのは、要するに事態対処といいますか、災害対策訓練という大きな面があろうと思います。台風が来て高潮になれば、何も厚東川に面した原校区、海に面した原校区だけではないわけです。3年ぐらい前ですか、そういうことで訓練やりましたけど。同じ台風が来て高潮になれば、岬にも来るだろう。西岐波の床波にも高潮が来ます。東岐波の丸尾や岐波浦にも来るはずなのです。事実、過去そういうことで一遍に、いっぱい被害が出ているわけです。これに対する対処をどうするのかということに、全く目が向けられていないということです。
 事実、平成7年の台風もそうです。平成11年の台風でもそうです。同じように被害が出ているわけです。このあたりをやっていただきたい。総合防災訓練というのはそういう事態をとらまえて、宇部市長の防災本部長としての指揮能力があるのか、もちろん幕僚の組織も含めてですが。そして、現場では、その後、手足となって動かれる消防署員とか消防団員とか、それらの訓練をやるというのが、総合防災訓練だと私は思います。
 この前の西宇部で、着衣泳──いわゆる服を着てプールで泳ぐ練習といいますか、これは実際にそういうことはあると思うのです──これをやっておられました。この前、西宇部は、がけ崩れという前提でやられましたけれども、まあこれも、それはそれでいいでしょう。陸上自衛隊が来て、炊き出しをやっておりました。炊き出しを。去年まではカレーライスだったけど、ことしは肉どんぶりでした。昼に食べて帰る。ああ、よかったなで済む。
 ところが、着衣泳法はこれ毎年やっております。これをやるぞと言えば、消防署員がちゃんと指導をしてやってくれるわけです。炊き出しにしても、陸上自衛隊に材料費を出せば、ちゃんとやってくれるのです。これいいのです。訓練の計画をして、それでやりやすいから、うがった見方をすれば、やりやすいからやっているのではないかという気がするのです。炊き出しも、現地の人が被災者に対して、女性とかほかの人が炊き出しをやるのなら、これも訓練の一環でいいのです。陸上自衛隊がやるのは、地元の訓練でもなんでもないのです。このあたりのところで、訓練をやりやすいからやっているというようにしかとれない面がありますので、これを考えていただきたいというふうに思うのです。
 先ほど、北川先生の価値前提ということを、将来を見据えた価値前提ということが行政のやり方として必要だというふうに申し上げましたけれども、このような1つの例が、有名な例があるのです。ホンダ自動車が──事実前提と価値前提ということの考え方ですよ。ホンダ自動車が、かつて海外進出するとき、どこに出るかとやったのだそうです。どこへ進出しようかと。ならば、役員の人が、それなら、東南アジアは今どこもないから、そこへ工場をつくろうじゃないかと、こう言ったと。そのとき本田宗一郎さんが──大昔の話ですから──「何言ってるんだ、ホンダというのは世界一の車を目指しているんじゃないか。そしたら、車のメッカであるアメリカに進出すべきじゃないか」と、こう言われたと。物事の考え方なのですね、事実前提と価値前提の。私は、行政でそういう考え方をしていただきたいというふうに思うのです。やりやすいからやるのじゃなくて、こういう組織になっているからこうするのではなくて、すべてそういうふうに前向きのやり方をやっていただきたいと思うのです。
 訓練について口うるさく言いましたけど、よく検討されて、次回から見直してください。次の宇部市総合防災訓練を楽しみにしております。
 私の質問は、以上で終わります。

 

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