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宇部市議会(22年03月)定例会議事録
一 般 質 問 (市 政 会)
井 仁 議 員
・答弁を求める者 市長
◆16番(高井仁君) おはようございます。新風会の高井仁でございます。
先ほどの議題にも出ておりましたが、ことしはニューカッスル市との姉妹都市提携30周年ということで、特にこの秋、大々的な交流が計画されておるやに聞いております。
ところで、皆さんがニューカッスルに限らず外国に行かれたとき、ユア・ホームタウン・宇部シティーについて何か話してくれと言われた場合に、何を話されますかね。何でしょう、ありますか。宇部のことを何も知らない外国の人に、自慢するものがあるでしょうかね。私なら、きっと常盤湖とUBEビエンナーレについて、次のように説明するのではないかと自分自身で思っています。
私のふるさと宇部市には、町の中心から車で10分足らずのところに、周囲に6キロメートルの遊歩道を持った、そしていろいろな種類の野鳥とともにたくさんの白鳥やモモイロペリカンが住んでいる、自然に恵まれた湖があります。そこは常盤湖、常盤公園といいます。市民の憩いの場所であります。そして、そのほとりに間もなく50年になろうとする、世界で3番目に古い歴史を持ち、現代彫刻作家の世界的な登竜門ともなるUBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)の会場があります。そして、これまでの大会での入賞作品がたくさん展示してある一画があります。
天気のよい日に、缶ビールを片手に公園の中の芝生の斜面に腰をおろしますと、遠くの高台のしょうしゃなリゾートホテルや、湖面に遊ぶ子供たちを乗せたボート、群れ遊ぶ白鳥や黒鳥が見えます。そして、目を近くに移すと、たくさんのいろいろな形、しかもとっぴな形をした造形物が目に入ります。それは、現代彫刻の作品であります。
その一つ一つを見るとき、それぞれの作家がどのような発想でこれをつくったのか、何を考えたのか、何を言いたいのか、何を訴えたいのか等についてじっくりと思いをいたすのであります。そして、しばらくして、自分の勝手な想像に思い当たるところがありますと、そのとき私自身、一瞬にやりとしまして、至福のときを覚えるのであります。そして、その日一日が楽しい気分になるのであります。
また、宇部市には、市民がビジネスで利用したりお客様がたくさんお見えになる山口宇部空港の付近や市内のメーンロード等、市民の多くが集まり、目にする場所のあちこちに、これまでのUBEビエンナーレにおける優秀作品がたくさん展示してあり、多くの市民がこれに関心を持ち、親しんでいるのであります。
これが文化都市宇部市の現状でありますということを若干大げさに、私のつたない英語でとつとつと、かつ自慢げに話すであろうと思います。
皆さん、常盤湖はもちろん、ときわミュージアムやUBEビエンナーレは、我々の先輩がつくった当宇部市の、宇部市だけの、世界に誇れる大きな財産であります。現状に飽き足らず、もっと立派なものにして引き継がなければならないと思っています。
しかしながら、このたびの事務事業の総点検、21年度の補正予算案、新年度の予算計画、そしてちまたでのうわさを聞くとき、そうではないはずと思いながらも、これの将来に暗雲を感じるのは私だけでしょうか。
私の友達の1人には、新しい市長は、UBEビエンナーレは金がかかるので、50周年を機会に徐々に手を引いていくのではなかろうかと心配している人もおります。
そこで、UBEビエンナーレと、これを主催するときわミュージアムの現状と将来のために、次の諸点について質問すると同時に、後ほど自席から私の考えを聞いていただきたいと思っております。
まず、質問第1、このたびの施政方針において、平成23年度をUBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)50周年等などのイベントイヤーと位置づけられておりますが、第24回UBEビエンナーレをどのような形・規模、そして気概で行う所存かということ。
質問の第2、その第1点、「ときわミュージアム」について。その1つ、宇部市における彫刻の存在についてどのように考えているか。その2、学芸員等のスタッフは現状でよいのか。その3、展示用彫刻の購入実績と今後の予定。その4、将来、財団法人による運営を考えているのか。その5、以上のことを含めて、「ときわミュージアム」の将来構想はどうかということ。
次に、第2点としまして、「UBEビエンナーレ」について。その1つ、これまでの「UBEビエンナーレ」の約半世紀の歴史についてどのように評価しているか。その2、50周年のイベントは現在程度のスタッフで立派に行えるのか。その3、50周年以降の(国際展としての)将来構想はどうか等であります。
なお、自席からの質問の最後に、市長さんの御自身の口から本音、決心等がありましたらお聞きしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上であります。
○議長(広重市郎君) 久保田市長。
〔市長 久保田 后子 君 登壇〕
◎市長(久保田后子君) 高井議員の御質問にお答えをいたします。
御質問の1、施政方針において、平成23年度をUBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)50周年等のイベントイヤーと位置づけているが、同ビエンナーレをどのような形・規模、気概で行う所存かというお尋ねでございますが、50周年を迎える平成23年度の第24回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)につきましては、山口国体や花壇コンクール100回などの市制施行90周年記念事業となるほかのイベントとの連携や、市民団体等が実施するイベントとも連携を図るなど、魅力あふれる彫刻展として盛り上げてまいりたいと考えております。
また、彫刻展の形や規模につきましては、これまでと同様、国内外から模型作品の応募を受け、実物大の制作作品20点をもって展覧会とする形を継続し、開催期間や賞金等、その規模は維持しつつ、これまで築いてきた権威や作品のレベルを落とすことのないように、芸術性の高い彫刻展として、その地位を高めてまいりたいと考えております。
その中で新たな取り組みといたしまして、市民の皆様が彫刻展を身近に感じることができるように、審査会を公開することや、市民審査による入選作品の選考、市民が選ぶ市民特別賞の制定など、市民参画によるイベント性の高い彫刻展を目指してまいりたいと考えております。
御質問の2、「UBEビエンナーレ」及び「ときわミュージアム」の今後について。第1点、「ときわミュージアム」。ア、宇部市における彫刻の存在についてどのように考えているかというお尋ねでありますが、本市の彫刻の歴史は、戦後の復興期の花いっぱい運動を推進していた女性団体が「ゆあみする女」という彫刻を駅前に設置したことがきっかけとなり、自然と人間の接点として芸術をという市民提言をもとに、常盤公園を舞台として開催してきたUBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)の優秀作品や、市民、団体、企業等から寄贈された作品を公園や街路、広場などに設置をして、緑と花と彫刻のまちづくりを進めてまいりました。
これらの彫刻は、日本における現代彫刻の歩みであり、本市のブランドとして、彫刻のまち宇部を国内外にアピールできる文化芸術の象徴であるとともに、市民の貴重な財産であると考えております。
イ、学芸員等の陣容はこれでよいのかについてでありますが、本市の学芸員は、UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)の企画・運営や彫刻に関する教育普及、企画展示、収蔵品の管理等が主な業務となりますが、円滑な彫刻業務の遂行につきましては、学芸員と事務職員が連携をして行うことが重要と考えております。
平成22年度からは、緑と花と彫刻の博物館管理課といたしましては、職員を2名増員いたしまして、職員8名、嘱託職員3名の計11名(うち学芸員3名)の体制にするとともに、これまでの企画係を彫刻係と植物係に分離して、それぞれの専門性を高め、公園整備局全体が連携、協力して取り組んでまいりたいと考えております。
なお、業務委託をしております彫刻アドバイザー業務は縮小し、嘱託職員の学芸員を1名減といたします。
ビエンナーレの彫刻展示や市内への彫刻の設置につきましても、これまで以上に日本を代表する彫刻の専門家であるUBEビエンナーレの運営委員や展示委員を初め、ほかの専門家の皆様からも御助言をいただきながら、彫刻の魅力を生かした設置・展示を行ってまいりたいと考えております。
ウ、展示用彫刻の購入実績と今後の予定についてでありますが、本市では、これまで我が国の近代彫刻の扉を開き、日本近代彫刻史上最高傑作と言われる荻原守衛作の「女」や「坑夫」、高村光太郎作の「手」、中原悌二郎作の「若きカフカス人」を初め、長きにわたり本市の彫刻展に携わっていただいた柳原義達氏の作品73点や、同じく向井良吉氏の作品93点のほか、UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)の入賞作品115点など、389点の彫刻作品を寄附や購入により所蔵しており、購入額は1億4,000万円以上となっています。
今後の彫刻の購入につきましては、引き続き、UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)入賞作品を取得してまいりたいと考えております。
エ、財団法人による管理運営を考えているかについてでありますが、本市では、文化芸術の振興を図るため、その基本指針となる条例の制定や基本計画を策定することとしており、この基本計画を具現化するための施策として、財団の設立準備も進めることとしております。御質問のときわミュージアムの管理運営につきましても、基本計画を策定する中で検討してまいりたいと考えております。
オ、前記各項を含めて、「ときわミュージアム」の将来構想はについてでありますが、緑と花と彫刻の博物館(ときわミュージアム)につきましては、熱帯植物館、彫刻野外展示場、湖水ホール展示室の3つの施設をあわせて、平成19年9月に開館し、2年半が経過をしたところであり、これまで全国的にも例のない彫刻と植物の融合した博物館を目指して取り組んできたところであります。
今後は、本館となります熱帯植物館につきましては植物を、彫刻野外展示場につきましては、UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)を初めとする野外彫刻を、分館となります湖水ホール展示室につきましては、具象作品を中心とした彫刻作品を展示し、それぞれ3つの施設の特性に応じて、調和のとれた展示の充実を図るとともに、先ほど答弁をいたしました文化芸術振興の基本計画を策定する中で、ときわミュージアムの将来構想につきましても検討してまいりたいと考えております。
第2点、「UBEビエンナーレ」。ア、これまでの「UBEビエンナーレ」の約半世紀の歴史について、どのように評価をしているかというお尋ねでありますが、本市の彫刻展の歴史は、戦後の復興期の花いっぱい運動を推進していた女性団体が「ゆあみする女」という彫刻を駅前に設置したことがきっかけとなり、自然と人間の接点として芸術をという市民提言をもとに、昭和36年の第1回宇部市野外彫刻展の開催となりました。
その後、昭和38年の第1回全国彫刻コンクール応募展を経て、昭和40年に第1回現代日本彫刻展となり、平成19年の第22回現代日本彫刻展からはUBEビエンナーレを併記し、現在に至っているところであります。今では、国内最大規模の公募型の彫刻展として、またベネチア、サンパウロに次ぐ世界で3番目の歴史を有する彫刻展となっています。
その間、作品の素材や規模等、時代の流れとともに変遷を重ねてまいりましたが、若手作家の登竜門として、芸術界からは高い評価をいただき、本市の彫刻展をきっかけに多くの方が著名な彫刻家となられ、活躍されておられます。
近年では、海外からの応募もふえて、海外作家が連続して大賞を受賞するなど、国際展としての地位も築かれてきたものと考えております。
また、長年、主催者として毎日新聞社、特別協賛として宇部興産など、これまで御協力をいただいてきた企業や市民の皆様方の支えにより開催できてきたことを感謝しているところであります。
しかしながら、このような歴史を有しているにもかかわらず、市民の彫刻展に対する関心はいま一つ高まっているとは言えず、今後は市民が楽しく気軽に参画できる取り組みを進めていくことが必要ではないかと思っております。
今後も、この彫刻展の歴史を閉ざすことのないように、市民の皆様に愛され、支えられる彫刻展として、創意工夫を図りながら継続をしてまいりたいと考えております。
イ、50周年のイベントは現在程度のスタッフで行えるのかについてでありますが、先ほど答弁をいたしましたとおり、緑と花と彫刻の博物館管理課としましては、職員を2名増員いたしまして、職員8名、嘱託職員3名の計11名(うち学芸員3名)の体制にするとともに、これまでの企画係を彫刻係と植物係に分離して、それぞれの専門性を高め、公園整備局全体が連携、協力して、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
ウ、50周年以降の将来構想(国際展としての)はどうかについてでありますが、UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)は、近年、国際展として認められることを目指し、海外からの応募者の増加に力を入れてまいりました。その結果、本格的に海外への情報発信に取り組んだ第22回展では、応募総数373点中海外から138点の応募があり、続く第23回展では、応募総数392点中海外から156点の応募がありました。
国際的な評価につきましては、応募者の増加を見ましても、また海外作家が連続して大賞を受賞することなど、国際展としての地位は着実に上がっているものと考えております。
今後も、引き続き、海外からの応募者がふえるように情報発信に努め、またこれまで築いてきた権威を落とすことのないように、芸術性の高い彫刻展としてその地位を高め、継続をしてまいりたいと考えております。
以上で、私の壇上での答弁を終わります。
◆16番(高井仁君) 先ほどの答弁を見まして、市民参画によるイベント性の高い彫刻展にするということ、これは市民に関心を持たせるという意味で、非常によろしいことだと思います。ただ、市民審査による入選作品の選考ということについてはどうかなと、若干本来の選考委員の方たちとの兼ね合いもあるので、よく考えていただきたいと思います。
ただし、市民参画はいいのですが、市民参画だけではなくて、やはり国際展としてどんどん発展、それを定着させる、この2つが相まってこそ、世界彫刻展の宇部だと誇れるのではなかろうかと思っていますので、計画される方はひとつよろしくお願いします。
UBEビエンナーレは、3番目、3番目と言うけれども、はっきり言うと、古さからいって3番目という意味で、規模等はもっと上というところがあろうと思います。これをいわゆるまだまだ発展途上にあるというふうに思っていいのではなかろうかと思っています。そういう意味で、先ほど壇上でどの程度の気概でやられるのかということを申し上げたのは、それらもつけ加えたのですが、前回どおりがいいということではなくて、より上を目指して頑張っていただきたいと、計画段階から頑張っていただきたいと思っています。
ただ、1つ納得できないのは、当初、21年度の予算でも入れておりました名誉館長制度ですが、博物館、美術館というのは内容ももちろんですけれども、どなたが上に座っているとか、どういう人たちが審査されているとか、どういう人たちが計画されているということで、また一つ評判が違うわけです。それによって、海外からの応募作品もどんどん、あの人がおられるならばということでできる、そういう意味で名誉館長ということで21年度の予算にものせてありました。
名誉館長といったら、実質的な館長は、当時、宇部市長は館長でございましたので、その上の名誉をつけられたのだと思うけれども、私はやはりそういう方がおられるとおられないので違うと思うのです。それは、結局21年度では実行されないまま、補正予算で経費を落とされたということ、このあたりについてちょっと。
それと、もう一つは、学芸員の数を減らされた。この辺のところを見ると、ちょっと私はさっきから後退しておるのではなかろうかと壇上で言いましたけれども、そういう辺について御説明をお願いいたしたいと思います。
◎都市開発部長(大畑猛君) 名誉館長につきましては、UBEビエンナーレ運営委員会の方々から、まずは博物館の管理運営体制の充実が必要との御助言をいただきましたので、当面は置かないこととしております。
それから、学芸員等の縮小ということでございますが、これにつきましては、円滑な彫刻業務の遂行を行いますには、学芸員と事務職員が連携して行うことが重要と考えております。運営委員の先生方も、管理運営体制の充実が必要との御指摘をいただいております。
そういうことで、平成22年度からは職員2名を増員して計11名の体制にするとともに、先ほど市長が答弁いたしましたとおり、これまでの企画係を彫刻係と植物係に分離し、それぞれの専門性を高め、取り組んでまいりたいと、そういうふうに考えておる次第でございます。
よって、業務委託をしておりました企画監の彫刻アドバイザー業務を廃止し、嘱託職員の企画監の補佐である学芸員を1名減としたものでございます。
以上でございます。
◆16番(高井仁君) 学芸員というものは、私は博物館、美術館というのは、御承知のとおり、学芸員というのは博物館法でちゃんと決まった国家資格を受けたような人ですけど、この方たちがいわゆる企画から始まって、単に管理、それから補修だけではなくて、また出展者とのいろんな交渉も含めてやられるのだろうと思います。事務の方は、むしろそれを手伝いするという形が普通だろうと思うのですが、種々中身は違うにしても、大体学芸員は、ときわミュージアムには何人おられて、よそのところには何人おられるものか。例えば、山口のYCAMでもいいですから、比較してちょっと説明してください。
◎都市開発部長(大畑猛君) 本市の学芸員につきましては、UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)の企画運営、それから彫刻に関する教育普及、企画展示、収蔵品の管理が主な業務となっております。それで、学芸員につきましては、従来ずっと1人でやってきておりましたが、近年、学芸員嘱託を公募と推薦によりまして3名にしております。それで、22年度からは、職員1名、それから嘱託の学芸員2名の3名体制で臨みたいと考えております。
ちなみに、山口市の情報芸術センターの例をとりますと、山口情報芸術センターの内容は、演劇等の舞台芸術、それから映画とか、光とか音を使った空間芸術をやっておられますが、職員の人数は館長を含め26名、うち学芸員は23名となっております。
以上でございます。
◆16番(高井仁君) 今、宇部ときわミュージアムは3名、それも植物と一緒にして3名という体制でございます。くどいようですが、学芸員の任務というか、使い方というか、働き方というか、そのあたりのところをよく考えていただきたいと思います。
ちなみに、私が調べた後、いただいた資料ですけど、山口県の県立美術館、これは8名、県立の萩美術館6名、これはもちろん美術だけですよね。それから、下関市立美術館5名というふうに、たくさん結構おられますので、ひとつそのあたりを考えて、将来のあり方というのを考えていただきたいと思います。
なお、前に立派な方がおられたけど、やめられたというふうに聞いておりますが、これらの待遇についても、処遇にしてもちゃんとしていただきたいというふうに思うのですよ。いろいろインターネットで調べると、ある県の美術館では普通の一般の俸給表を使うけども、手当を学芸員手当を2割つけるとかいうところもあるようですし、結構多いのです。これをしないと、やはり定着しない。やはりここで骨を埋めようという気持ちにならないと、なかなかいい仕事はできないと思いますので、それも含めて考えていただきたいと思います。
いずれにしても、やはりこういうところは専門職にウエートを置いて、専門的なことでやられないと、出たり入ったりする一般の事務員の人よりもそういう人たちの数を多くして、やりたいように仕事をしていただくというふうにするのがいいのではなかろうかと思っています。御検討をお願いいたします。
それから、次にいきますが、市長さん壇上で言われましたけれども、柳原さんとか、高村光太郎とか、中原さんとか、立派なものがたくさんあります。点数にすると、全部で389点あるやに聞いています。これ金額にして1億4,000万円、立派なものがあるようでございます。これを今どういうふうにして展示されているか、これらの現代彫刻展以外のものはどうされているかについて、ちょっと説明をお願いできますか。
◎都市開発部長(大畑猛君) ビエンナーレ関係作品以外の本市の所蔵彫刻展数は、現在274点持っております。そのうち、柳原義達氏、向井良吉氏の作品が166点であります。平成19年度までは、柳原、向井両氏の作品を中心に、湖水ホール展示室で展示しておりましたが、現在は一部を除き保管しております。
なお、4月から、同じくときわミュージアム分館(ときわ湖水ホール)展示室で、他の作品も含めまして、展示の公開を再開することというふうにしております。
以上でございます。
◆16番(高井仁君) はっきり言うと、現代彫刻展のビエンナーレが終わった作品と、従来からのあちこち寄附を受けた一般的などちらかというと具象的な作品、2種類あるということです。具象的な作品、具象だけではありませんけど、これ274点あると、今言われました。これが一部展示で、ほとんど倉庫に入っていると、もったいない話でございます。
なおかつ、聞くところによりますと、柳原先生から73点、向井先生から93点いただいたのも、将来、常設展をつくるのが前提でいただいたというふうに聞いておりますが、この際、湖水ホールの小さな部屋に何点置けるか知りませんけども、ひとつ展示場について大いに検討していただきたいと思います。
例えば、今、植物園の隣に立派なものをしゃれた建物をつくりまして、そこに270点を全部並べるというわけではありません。もちろん何分の1かずつ常時展示するとか、いろんなイベントを考えて、ことしは柳原先生のものばかり集めるとか、いろんなイベントのやり方があろうと思いますので、そういうふうにしないと、何かもったいないというような気がしてしようがないのです。
このあたりについて、御検討、御配慮、お金も伴うものですから、市長さん以下、よく真剣に考えていただけたらと思います。要するに、常設展示場をつくってはどうかということでございます。
それから次に、同じ作品ですが、これらの購入計画というのはあるのですか。現代彫刻展以外のものですね。これはビエンナーレのたびにある程度買うのでしょう。それ以外にも購入計画はありますか。
◎都市開発部長(大畑猛君) 現代日本彫刻展につきましては、ずっと何点か買ってきた経過があります。それ以外のものにつきましては、今後、買う予定は今のところございません。
◆16番(高井仁君) わかりました。お金がないからでしょうけど、やはりこういうものは少しずつ計画的に購入していって、それが財産になるわけですから、何十年たったら財産になるわけですから、計画的にお願いして、少しずつ買う必要があるのではなかろうかと思っています。
従来も、彫刻用ということでお金を寄附していただいたり、そういうお金が主体で購入しておったようでございますけども、この辺についても御配慮、御努力をお願いしたいと思っています。
次に、ミュージアムの管理のことですけども、聞きますと、50年はたったけど、この間にこれを管理しておるミュージアムそのもの、ミュージアムと言っていいのかどうか知りませんけど、昔もですけども、都市開発部がやったり、教育委員会がやったり、都市開発部がやったりということで右往左往しておられる。ほとんどが、今まで効率的に運営委員の方に相談したり、審査員の方、先生方に支えられて、この50年があったのだろうと思っています。
今、行政の一環としてこれをやるのではなくて、財団の設置をして、そこに専門のそれこそ骨を埋めようというような学芸員をたくさんおっていただいて1つのものにする、これをしないと、何回も言うようですけど、古さからいうと世界で3番目かもしれませんけど、規模からいったら、何だ、行ってみたらというものになると思います。このあたりもひとつよく検討していただきたいというふうに思っています。
先ほどの答弁によりますと、今度、財団を検討しているけど、これは文化財団としてであって、彫刻のためはまた次の段階ということですね、先ほどの答弁によりますと。
◎都市開発部長(大畑猛君) 文化芸術の振興に彫刻は欠かせないものでありますので、文化芸術振興計画策定における過程で、財団の設立準備を十分に検討してまいりたいと考えておりますので、今どうという結論になっているわけではございません。
◆16番(高井仁君) 答弁にもありましたけども、さっき言いましたが、ときわミュージアムには植物と彫刻がある。彫刻にも、野外彫刻と、いわゆる具象的な作品、要するに大きく分けて3つあるのだということでございます。この3つの施設の特性に応じて、調和のとれた展示の充実を図るというふうに、先ほどお答えがありました。この辺を検討して、しっかりしたミュージアムにしていただきたいというふうに思っております。
次に、UBEビエンナーレについてでございますが、先ほど市長さんが、今後も彫刻展の歴史を閉ざすことのないよう、市民の皆様に愛される、支えられる彫刻展として、創意工夫して続けたいというふうに聞いて安心しておりますが、単に3番目の歴史ということだけではなくて、これをどんどん発展させることは、ビエンナーレを発展させるということは、ほかの都市ではまねのできない、特色のあるまちづくりができる1つの方法だろうと思っています。
グローバル500と環境問題とも絡めてこういうのもやるのもいいでしょうし、いろんなこのあたりのところをどんどん大々的にして、売り込んでいただきたいというふうに思います。
なお、先ほど壇上で大げさに言いましたけど、町なかの例えば中央町でまちづくりをやっておりますけれども、町なかの景観づくりにこれを絡ませて、あちこちに彫刻を並べるというような魅力的なまちづくりにすることもひとついいのではなかろうかと思っております。
くどいようですが、今度の50周年、これを現在の11名体制でやられるということですが、この辺については、前回の23回展と同じではなくて、50周年ということで、24回展を大々的にやられて、もう少し考えていただきたいというふうに思っています。
50周年が来まして、宇部をPRできる大きなチャンスが来ました。市の活性化計画にも関連させまして、これを大々的に売り込んでいただきたいと思うのです。海外でも、聞くところによりますと、彫刻家仲間では宇部は随分有名になっているそうです。国内でも、彫刻家のみならず、まちづくりを考えている人にも、宇部の彫刻というのは大分名前が通っていると聞いております。彫刻のメッカとしても有名だということです。
私ごとになりますけれども、15年前に、私は前の前の仕事をやめて、こちらに帰ってきました。最後の仕事が神奈川県の横須賀であります。横須賀市というのは、御承知のとおり、40万都市です、横浜の近くのですね。そこに私は定年退官するということでごあいさつに行きましたら、市長がどこへ帰られるのかというので、山口県の田舎の宇部というところですと言ったら、即その場で市長さんが「彫刻のまち宇部ですね」と、こう言われたのです。そのとき、私自身が宇部に帰るのに、宇部に彫刻がどんなにあるかも知りませんでした。
要するに、よその人でもちゃんと関心のある人は知っているのです。それを案外地元の人が知らない、これはなぜかということ。ひとつ教育も含めて、もう少し市民の人たちにPRなり、知っていただく。そういう意味で、先ほどの冒頭言われた市民参加の彫刻展にするというのは非常にいいことだと思うのです。これも、ひとつまちおこしの1つとして使えるような宇部になるようにしていただけたらと思っています。
以上で大体質問は終わりますが、最後に町の何人かが心配しておりますが、50周年をきっかけに手を引くのではなかろうかというのを打ち消すような市長さんの御決心なり御決断をいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
◎市長(久保田后子君) 高井議員の御質問にお答えいたします。
大変宇部の彫刻に対して、野外彫刻展に対してたくさんの御提言、ありがとうございます。私も宇部の彫刻が大好きです。今、横須賀市の御紹介もありましたが、私も本当に宇部の町に最初に訪れたときに驚きました。すばらしい彫刻を持った町ということで、本当にこれを宇部の財産として、もっと磨き上げていきたいと、そのように思っております。
したがって、壇上でもいろいろ御答弁をさせていただいたような取り組みに、積極的にやってまいりたいと思っております。
昨年の23回展のときも、私も予算が十分ない中ですが、市民参加できるように、わくわくビエンナーレ事業という形、あるいは子供たちがバスで来てもらえるような幾つかの取り組みもやりました。たくさんの予算をかけなくても、できることもあると思っております。マスコミにも随分お願いに参りましたら、多分初めてではないかと思いますが、NHKの「日曜美術館」でも取り上げていただくことができました。私自身も、彫刻の現場で随分説明にも回ったところでございます。そういった私たちでできる、予算を伴わなくてもできることがたくさんあると思っております。
もう一つ、これは残念なことではあったのですけれども、私、いろいろ動く中で、きょう、御紹介いたしました荻原守衛、日本の近代彫刻の夜明けをもたらしたと、このような荻原守衛のしかも最後の作「女」、それから我が市でゆかりの「坑夫」、こういったものを宇部市が持っているということが、私は十分知られていなかったということ。
実は、荻原守衛が没後、ことし100年に当たります。そこで、ゆかりの碌山美術館と長野県、そして守衛が最期活躍をされた東京新宿中村屋にも訪問いたしました。そこで、ぜひ没後100年を三者でやりたいと提案をしたところ、時既に遅しで、宇部市がそういう作品を持っているのはどこも御存じなかった。ですから、碌山美術館と新宿中村屋でその企画がことし夏に行われるということで、十分発信がされていなかったということを非常に残念に思ったところでございます。
しかも、そういう準備、没後100年というのはわかっていたわけですから、もっと早い準備ができたらよかったのだというふうにも思ったところですので、野外彫刻展のみならず、今申しました、それぞれ大変な財産を持っている、これを宇部のまちづくりとしてもっと市民の皆様に愛され、そして町の財産、磨き上げていきたいと、これは私の使命だと思っておりますし、前市長さんのほうからも託されたもの、しかしながら予算の制約があるので、いろいろ工夫はさせていただきますが、本当これからの発展を私は市長としてやっていかなければいけないと強い使命感を持っておりますので、どうぞいろいろとまた御提言を賜りたいと思っております。
どうもいろいろありがとうございます。
○議長(広重市郎君) 高井仁君、残り30秒です。
◆16番(高井仁君) ありがとうございました。お金のことを言うのはなんですけど、高村光太郎さんの大作で1,500万円で買ったという作品もあるようでございますので、これは蔵に入れておくのではなくて、倉庫に入れておくのではなくて、大いに市民の方に見せてあげていただく、そういうミュージアムにしていただきたいというふうに思います。
きょうはありがとうございました、いろいろと。
○議長(広重市郎君) 以上で、高井仁君の質問が終わりました。。
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