漆絵枝菊椀(大内椀)


この大内椀は本椀(総高9.5cm、口径12.9cm)・平椀(総高8.9cm、口径14.7cm)、汁椀(総高6.2cm、口径11.8cm)、壺椀(総高10.6cm、口径9.7cm)の四椀一組からなり、現在5組伝存している。総体は潤み朱であり、両端を金箔で縁取りし、その内側に黒漆の雲形を描き、雲形にはさまれた中央部分に黄漆で枝菊文を描く。そして枝菊の間には金箔で四菱文(大内菱文)を散らしているのが特徴的である。
李朝実録によれば室町時代には、椀や盆その他の漆器が大内氏の対朝鮮貿易品として盛んに輸出されていたようである。しかし大内氏の滅亡後、その遺品も散逸してしまったため、この大内椀は古大内塗としては貴重な作例となってしまった。
なお、現在の大内塗は明治期にこの大内椀などを参考にして再興されたものである。