古代文学への誘い                             indexnext

 

 


1.はじめに

  文学というと何を連想しますか。小説、詩、俳句という形でしょうか。それとも恋愛、感動、悲しみという人間の喜怒哀楽が示されているものでしょうか。しかしちょっと考えてみてください。我々が連想するそれらのものは、いつごろ誰の手によって何のために作られたのでしょうか。明解に答えられる人がいれば、世界二周旅行にご招待します。おそらく誰もわからないし、また疑問にも思わない人の方が多いでしょう。

  しかし、この世のありとあらゆるものには始まりがあります。文学も例外ではありません。それはおそらく文明が起こった時に同時に始まったと考えてもいいかも知れません。しかしどのような形で、どんなものから始まったのかということは不明確であり、おそらく今の文学とはよほど違ったものだったと予想されます。しかし人間は何千年たっても人間だし、進化してスーパーマンにでもならない限りは、喜怒哀楽の感情は同じようなものでしょう。文学が喜怒哀楽を相手としているならば、何千年前の文学だってそんなに変わっていないかも知れません。

  そこで、ここでは我々の国の文学を対象として、どのような形で起こったのか、どのような姿のものだったのか、内容は??といったことを考えて行きたいと思います。もちろん我が国にはうんと昔は文字もありませんでしたので、正確なところはわかっていません。しかしこんな形だったんじゃないかといったおぼろげな輪郭はある程度想像出来ます。その想像も交えて、文学の起源から古代の文学の様子を眺めてみましょう。