第143話『お見舞い』

第143話『お見舞い』


益田駐屯地。

執務室。

「隊長」

カンタービレが。

暗い顔をしている。

「二人とも」

「命はとりとめました」

一拍。

「……命は」

「精神攻撃か」

「はい」

「我々の力では」

「どうしようもないと」

「お医者様が……」

その時。

職員が駆け込んできた。

「たっ、大変です!」

「益田病院が」

「何者かに襲撃されています!」

「!?」

◇

益田病院。

病室。

二つの影。

「使い様」

影踏みが。

エネルジコを見る。

「本当にやるんです?」

「貴方がやりますか?」

「いや……」

「私では」

「!?」

エネルジコが。

二人を見る。

「あら」

「気づいたの?」

「とどめを刺しに」

「来たのか……?」

使いが。

顔を寄せる。

「今」

「楽にしてあげる」

「戦場では勇敢な者から命を落とす」

「ふごっ!?」

◇

廊下。

「始末されましたか」

「あと一人ね」

「こちらへ」

二人が歩く。

「貴方」

「本当に有能ね」

「邪魔者の動きを封じる術」

「理不尽な婆さんには」

「効きませんでしたが」

「……あれは別よ」

◇

病室。

「ナースコールは」

「してないよ」

レガートが。

二人を見る。

「あら」

使いが笑う。

「貴方」

「やっぱり男前ね」

「……え?」

顔が近づく。

「戦場では仲間想いの者から命を落とす」

「うわっ!?」

◇

益田病院前。

警察車両が。

周囲を取り囲んでいる。

「出てきた!」

「正面から堂々と……」

使いが。

玄関から歩いてくる。

「あら」

「皆さん」

「お早いお着きで」

「何しに来たんです!」

リアルダが。

前へ出る。

「え!?」

タケハラが。

足を止めた。

「身体が動かない!」

使いが。

横を見る。

「そこのスナイパーさん」

「殺気がダダ漏れよ」

「くっ……」

グラヴィオーソも。

動けない。

「また」

影踏みが。

一礼する。

「戦場で」

「相見えましょう」

黒い風が吹く。

次の瞬間。

二人は消えていた。

◇

「隊長!」

病院の職員が。

駆けてくる。

「二人の精神状態が――」

「正常に戻っています!」

「……は?」

◇

山道。

ヒノエウマの衆。

「本当に」

影踏みが。

使いを見る。

「よかったんですか?」

「よくないわよ」

使いが。

顔を背ける。

「私……」

「初めてだったのよ」

「純潔の乙女の――」

火馬。

「……」

送り提灯。

使いが。

ゆっくり振り返る。

「それ以上言うと」

「ただじゃおかないわよ」

「わーっ!」

怨霊童。

「耳が赤い!」

「ホントだー!」

呪詛童。

「耳が赤い!」

使いは。

黙って前を向いた。

影踏みは。

小さく笑った。

――ヒノエウマ編・終


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2026年09月16日