第122話『右翼』
第122話『右翼』
「今日。」
ラリサが。
俺を見る。
「防衛隊右翼から。」
「ずいぶん遠くまで。」
「音が届いていましたわね。」
「……。」
また。
俺の番が。
回ってきそうだ。
◇
「レッドさんの。」
「音ですの?」
「たぶん。」
俺は。
CALPISを一口飲んだ。
ラリサが。
少し首を傾げる。
「たぶん?」
「右翼から。」
「遠くまで撃ってたのは。」
「俺だから。」
タケハラが。
すぐに口を挟む。
「隊長。」
「もっと自信持ってくださいよー。」
「事実を言っただけだ。」
ドルチェが。
くすっと笑った。
◇
ラリサは。
俺を見ながら。
ゆっくり言った。
「連合軍左翼本陣に。」
一拍。
「吸い込まれるように。」
「着弾していましたわ。」
「そうですか。」
「ええ。」
ラリサが。
少し目を細める。
「それに。」
「普通の音響弾とは。」
「少し。」
「輝きが違いました。」
「……?」
「包み込むような。」
「温かい音でしたわ。」
「そうかな。」
俺には。
よく分からない。
◇
「レッド様の射撃は。」
リアルダが。
代わりに口を開く。
「コン・ブリオ様の誘導と。」
「私の計算があれば。」
「かなり正確です。」
「風速。」
「反響率。」
「障害物の位置。」
「その辺りを。」
「全部合わせていますので。」
「なるほど。」
ラリサが。
小さく頷く。
リアルダは。
少し考えてから。
付け加えた。
「ただ。」
「たまに。」
「音を外されます。」
「最後のはいわなくていい。」
一瞬。
静かになって。
みんなが笑った。
「事実です。」
「そこは。」
「黙っててくれ。」
タケハラが。
肩を震わせている。
「隊長。」
「そこは自信持たないんですね♪」
「持てるか。」
◇
ラリサが。
小さく微笑んだ。
「楽器も。」
「特別なのですの?」
「まあ。」
俺は。
少し考える。
「ニューヨークモデルだから。」
「……。」
コン・ブリオが。
黙って俺を見る。
「何だよ。」
「いや。」
「何でもない。」
「?」
◇
ラリサは。
それ以上。
追及しなかった。
代わりに。
ドルチェへ。
目を向ける。
「それと。」
「右翼には。」
「ずいぶん。」
「柔らかな防御の音も。」
「ありましたわね。」
ドルチェが。
目を細める。
「あら。」
「そこまで。」
「分かりましたの?」
「高台から。」
「何度か。」
「見えましたわ。」
ラリサが。
手を軽く広げる。
「激しい音を。」
「正面から。」
「受け止めるのではなく。」
「包むように。」
「流していた。」
ドルチェが。
柔らかく笑う。
「ウフフっ。」
「わたくしの。」
「得意分野ですの。」
◇
タケハラが。
頬杖をつく。
「でも。」
「右翼って。」
「本当に。」
「派手でしたよねー。」
「そうか?」
「そうですよ。」
「隊長の音響弾は。」
「山ンバ軍の本陣に届くし。」
「ドルチェさんは。」
「火点を潰そうとした。」
「あの山ンバ軍の猛攻を。」
「受け流すし。」
「リアルダさんは。」
「ずっと何か叫んでるし。」
リアルダが。
すぐに反応する。
「情報伝達です。」
「叫んでいたわけでは。」
「ありません。」
「聞こえてましたよー。」
「必要な音量です。」
「はいはい♪」
「タケハラ様。」
「はい。」
◇
ラリサが。
楽しそうに。
そのやり取りを見ている。
やがて。
視線を。
コン・ブリオへ戻した。
「一つ。」
「気になっていることが。」
「何でしょう。」
「防衛隊右翼から。」
「遠くへ届く音がある。」
「それは。」
「分かりました。」
一拍。
「でも。」
「どうして。」
ラリサが。
コン・ブリオを見る。
「その音を。」
「あの時。」
「撃たせたのです?」
「……。」
店の空気が。
少しだけ変わった。
俺も。
コン・ブリオを見る。
そういえば。
俺も。
ちゃんと聞いていない。
コン・ブリオは。
グラスへ目を落とす。
そして。
いつものように。
静かに笑った。
「ふふっ。」
第123話『理由』
https://www.c-able.ne.jp/~y-info/posts/blog504.html
ウルセンジャー小説ガイド
https://www.c-able.ne.jp/~y-info/contact1.html