第123話『理由』

第123話『理由』


「どうして。」

ラリサが。

コン・ブリオを見る。

「その音を。」

「あの時。」

「撃たせたのです?」

「……。」

俺も。

コン・ブリオを見る。

そういえば。

ちゃんとは。

聞いていない。



コン・ブリオが。

静かに口を開く。

「山ンバ軍本陣の防壁に。」

「今までなかった。」

「隙を見つけました。」

「僕の音で。」

「そこへ誘導する。」

「リアルダさんが。」

「風と反響を計算する。」

そして。

俺を見る。

「レッドが撃つ。」

「それだけです。」



「でも。」

ラリサが。

静かに言った。

「防壁に隙があるだけでは。」

「本陣までは。」

「届きませんわ。」

「その先まで。」

「音が保たなければ。」

「……。」

コン・ブリオが。

少し笑う。

「彼なら。」

「届くと思ったからです。」

ラリサは。

しばらく。

コン・ブリオを見た。

「それだけ?」

「はい。」

「……ウフフっ。」

ラリサが。

グラスを傾ける。

「嘘がお上手ですのね。」

「ふふっ。」

「何のことでしょう。」



ラリサが。

今度は。

俺を見る。

「レッドさんは。」

「ご自分の音が。」

「他の方と違うと。」

「思ったことは?」

「ないです。」

即答した。

「トランペット吹いたら。」

「あんなもんだろ。」

「……。」

なぜか。

みんな黙った。

「何だよ。」

タケハラが。

困ったように笑う。

「隊長は。」

「隊長ですねー。」

「どういう意味だ。」



ドルチェが。

ラリサを見る。

「それにしても。」

「ラリサさんは。」

「ずいぶん。」

「音響戦に。」

「お詳しいですのね。」

「あら。」

ラリサが。

小さく微笑む。

「そう見えます?」

「ええ。」

ドルチェも。

笑った。

「かなり。」

「……。」

ラリサは。

しばらく。

グラスの中を見ていた。

やがて。

静かに置く。

「ウフフっ。」

「では。」

「少し。」

「昔話でも。」

「いたしましょうか。」


第124話『昔話』
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2026年08月19日