第123話『理由』
第123話『理由』
「どうして。」
ラリサが。
コン・ブリオを見る。
「その音を。」
「あの時。」
「撃たせたのです?」
「……。」
俺も。
コン・ブリオを見る。
そういえば。
ちゃんとは。
聞いていない。
◇
コン・ブリオが。
静かに口を開く。
「山ンバ軍本陣の防壁に。」
「今までなかった。」
「隙を見つけました。」
「僕の音で。」
「そこへ誘導する。」
「リアルダさんが。」
「風と反響を計算する。」
そして。
俺を見る。
「レッドが撃つ。」
「それだけです。」
◇
「でも。」
ラリサが。
静かに言った。
「防壁に隙があるだけでは。」
「本陣までは。」
「届きませんわ。」
「その先まで。」
「音が保たなければ。」
「……。」
コン・ブリオが。
少し笑う。
「彼なら。」
「届くと思ったからです。」
ラリサは。
しばらく。
コン・ブリオを見た。
「それだけ?」
「はい。」
「……ウフフっ。」
ラリサが。
グラスを傾ける。
「嘘がお上手ですのね。」
「ふふっ。」
「何のことでしょう。」
◇
ラリサが。
今度は。
俺を見る。
「レッドさんは。」
「ご自分の音が。」
「他の方と違うと。」
「思ったことは?」
「ないです。」
即答した。
「トランペット吹いたら。」
「あんなもんだろ。」
「……。」
なぜか。
みんな黙った。
「何だよ。」
タケハラが。
困ったように笑う。
「隊長は。」
「隊長ですねー。」
「どういう意味だ。」
◇
ドルチェが。
ラリサを見る。
「それにしても。」
「ラリサさんは。」
「ずいぶん。」
「音響戦に。」
「お詳しいですのね。」
「あら。」
ラリサが。
小さく微笑む。
「そう見えます?」
「ええ。」
ドルチェも。
笑った。
「かなり。」
「……。」
ラリサは。
しばらく。
グラスの中を見ていた。
やがて。
静かに置く。
「ウフフっ。」
「では。」
「少し。」
「昔話でも。」
「いたしましょうか。」
第124話『昔話』
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