第71話『浜田駐屯地』

第71話『浜田駐屯地』


山道を下るたび、潮の香りが濃くなっていく。

窓を開けると、やわらかな潮風が車内を吹き抜けた。

「海コン!」

後部座席で、カプリッチョが身を乗り出す。

「落ちるなよ。」

「大丈夫コン!」

リアルダが前を向いたまま告げる。

「レッド様。」

「まもなく浜田駐屯地です。」

「ああ。」

山並みが途切れる。

目の前いっぱいに、日本海が広がった。

陽射しを受けた海が、静かにきらめいている。



車が浜田駐屯地へ入る。

すでに隊員たちが整列していた。

「気をつけ!」

号令が響く。

一斉に敬礼が揃う。

俺も敬礼を返した。

先頭の男が一歩前へ出る。

日に焼けた肌。

潮風に鍛えられた体つき。

胸には軍曹の階級章が光っている。

「沿岸方面第一トランペット遊撃隊隊長、ハマダ軍曹です。」

「山陰西部方面第一トランペット遊撃隊隊長、レッドです。」

固い握手を交わす。

「ようこそ浜田へ。」

「今日はよろしくお願いします。」

「こちらこそ。」

ハマダ軍曹が後ろを振り返った。

「紹介します。」

「沿岸方面第一トランペット遊撃隊です。」

一人の女性が一歩前へ出る。

「情報士、ミスミです。」

リアルダも一礼した。

「山陰支部情報士、リアルダです。」

「よろしくお願いします。」

「こちらこそ。」

短く笑みを交わす。

その後ろには音響士。

さらに後方には、地元ボランティアの音響団が整列していた。

ハマダ軍曹がミスミへ目を向ける。

「海では、情報士が戦いの目になります。」

「風向き。」

「潮の流れ。」

「岩礁の反響。」

「戦況は刻一刻と変わります。」

ミスミが静かにうなずく。

「遊撃隊の一発を生かすのが、私の役目です。」

リアルダは小さく息をついた。

「勉強になります。」

ハマダ軍曹が砂浜へ向き直る。

「では、始めましょう。」

「海岸プログラムを開始します。」

潮風が、二つの遊撃隊の間を静かに吹き抜けた。


第72話『海岸プログラム』
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2026年07月14日