第139話『レッド君♪』

第139話『レッド君♪』


高津川。

ヒュン!

ドン!

「くっ……!」

ドルチェの防壁が揺れる。

♪が砕けた。

「まだ……ですわ!」

すぐに張り直す。

その横。

「チャッピー!」

「右カラ二体!」

ヒュン!

ヒュン!

「防壁――!」

ドゴォォォーン!!

「きゃっ!」

カンタービレが吹き飛んだ。

「カンタービレ!」

ペザンテが前へ出る。

ドン!

「ぐっ……!」

「……通しません」

「右です!」

リアルダの声。

「レッド様!」

「分かった!」

ヒュン!

かわす。

もう一発。

肩をかすめた。

熱い。

◇

「……ソコ」

ヒュン!

外れる。

「……ソコ」

また。

グラヴィオーソが舌打ちする。

「完全に読まれています」

ソステヌートが呟いた。

「ピピ!」

チャッピーが叫ぶ。

「正面!」

ヒュン!

「右!」

ヒュン!

「後ロ!」

ドン!

ドン!

ドルチェの防壁が軋む。

ブリランテが。

口元を拭った。

赤い。

「まだ……」

トランペットを構える。

「やれるですよー!」

タカタカタカ――!

ヒュン!

「きゃっ!」

河川敷を転がった。

「ブリランテ!」

「だ、大丈夫ですよー……」

その声にも。

いつもの元気はなかった。

◇

影踏みが。

俺達を見る。

「使い様」

「この者達」

「いずれ、厄介になります」

杖を上げる。

「ここで始末しておくのも――」

「なりません」

「……」

使いは。

静かに首を振った。

「広島の会戦で」

「我々は、見逃されました」

俺達を見る。

「受けた情けを」

「仇で返すことはできません」

影踏みが笑う。

「フフフっ」

「甘いですね」

「構いません」

使いは。

後ろの五体を見る。

「ですが――」

一拍。

「ウチの子達には――」

「この度は」

「勝ってもらいます」

◇

六体が構えた。

「来るぞ!」

ヒュン!

ヒュン!

ドン!

ドン!

「ドルチェ!」

「はい!」

ドゴォォォーン!!

防壁が砕けた。

「きゃあっ!」

「ドルチェ!」

膝をつく。

「まだ……」

「無理するな!」

俺はトランペットを上げた。

ヒュン!

「っ!」

もう一発。

ドン!

「ぐっ!」

息が抜けた。

膝が落ちる。

「レッド様!」

「隊長様!」

「……大丈夫だ」

立とうとする。

足に。

力が入らない。

顔を上げる。

ヒノエウマの使いが。

手を向けていた。

歪んだ♪。

「……」

ヒュン――!

その瞬間。

トゴォォォォォン!!

「!?」

ヒノエウマの衆が。

まとめて吹き飛んだ。

川面が揺れる。

草が伏せる。

「なっ……!」

土煙の向こう。

土手の上。

白い士官制服。

トランペットを持った女が。

立っていた。

「……え?」

女は。

俺を見つけると。

笑った。

そのまま。

土手を駆け下りてくる。

「レッド君♪」

目の前で止まり。

手を差し出す。

「君らしくないゾ」

「……」

この顔。

「……広島の……」

「うん?」

「音の……」

女の眉が。

ぴくっと動く。

「太い子?」

「誰が太いのよ!」


第140話『ツヨイ』
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2026年08月29日