第22話『君が放った、あの一音』

第22話『君が放った、あの一音』


「士官学校の同期だ。」

「ええっ!?」

ブリランテとリアルダの声が。
綺麗に重なった。

コン・ブリオが。
二人へ向き直る。

「初めまして。」
「コン・ブリオです。」

静かに一礼。

「ボ、ボクはブリランテです!」
「よろしくお願いします!」

「私はリアルダです。」
「山陰支部で情報士をしています。」

「よろしく。」

コン・ブリオが微笑む。

ブリランテの顔が。
また赤くなった。

「……。」

「……。」

そして。

コン・ブリオは。
二人を見て。

もう一度。
俺を見る。

まだ。
手を握っている。

その表情が。
少しだけ。
柔らかくなった。

「……コン・ブリオ。」

「ん?」

「そろそろ。」
「手を離してくれないか。」

一拍。

「ああ。」
「失礼。」

ようやく。
手が離れた。

後ろで。
ブリランテが。
リアルダの袖を引く。

「リアルダさん。」

「はい?」

小声。

「今の。」
「見ました?」

「見ました。」

「……。」

「もしかして。」

「はい?」

「そういう関係ですか?」

「ええっ!?」

リアルダが。
素っ頓狂な声を上げた。

「違う。」

即答。

「断じて違う。」

「そうなんですか?」

「違う。」

コン・ブリオだけが。
小さく笑った。

「ふふっ。」

◇

「山陰へ配属されたことは。」
「聞いていたよ。」

「ああ。」

「元気そうで。」
「安心した。」

「……まあな。」

ほんの数か月前まで。
俺たちは。
同じ士官学校にいた。

そして。

コン・ブリオは。
防衛隊の英雄である。
母――スカーレットを。
誰よりも尊敬していた。

だから。

母のことを。
何か言うと思っていた。

けれど。

コン・ブリオは何も言わない。

俺も。
何も言わなかった。

それでよかった。

◇

しばらくして。

コン・ブリオが。
静かに口を開いた。

「僕はね。」
「レッド。」

「卒業試験で。」

一拍。

「君が放った。」
「あの一音を。」
「今でも忘れられない。」

少しの沈黙。

「買いかぶりすぎだ。」

俺は。
少しだけ視線を逸らした。

コン・ブリオも。
それ以上は言わなかった。

その時だった。

――ビィィィィィィィッ!!

甲高い警報音が。
店内へ響き渡る。

「!」

リアルダの表情が変わった。

耳元の通信機へ手を当てる。

「敵性反応!」

端末を見る。

「レッド様!」
「この建物です!」

「一階!」
「急速接近!」

コン・ブリオの笑みが。
消えた。

俺は。
ニューヨークモデルへ手を伸ばす。

次の瞬間。

――ドォン!!

轟音。

入口のガラスが。
一斉に砕け散った。


第23話『Cランク三体』
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2026年07月04日