第7話『右翼と左翼』

第7話『右翼と左翼』


十人が、俺の前へ並んでいた。

「まず、右翼。」

俺は一歩前へ出た。

「俺が右翼パートリーダー。」

「ファーストを担当する。」

「ブリランテ。」

「はいっ!」

「ファースト。」

「はいっ、隊長様!」

すぐに俺の隣へ入る。

「連弾で敵を牽制しろ。」

「右翼へ攻撃させる暇を与えるな。」

「はいっ、隊長様!」

「その隙に。」

「俺が叩く。」

ブリランテが大きく頷いた。

「任せてくださいですよー!」

「アクセント。」

「はい。」

「スタッカート。」

「はい。」

二人が前へ出る。

「二人は、状況に応じてセカンドとサード。」

アクセントとスタッカートが頷いた。

「分かりました。」

「了解ッス。」

「ペザンテ。」

「……はい。」

「サード。」

少し間を置く。

「頼りにしている。」

「ウッス。」

「リアルダ。」

「はい!」

手帳を抱えたまま、一歩前へ出る。

「右翼につけ。」

「弾幕計算を頼む。」

「お任せください!」

「次。」

「左翼。」

カンタービレ軍曹が、静かに一歩前へ出た。

「軍曹。」

「はい。」

「パートリーダー。」

「ファーストをお願いします。」

「承知いたしましたわ。」

「グラヴィオーソ。」

「……はい。」

「ファースト。」

「狙撃を頼む。」

「……了解。」

「ソステヌート。」

「はい。」

「レガート。」

「はい。」

二人が前へ出る。

「二人は、状況に応じてセカンドとサード。」

「了解しました。」

「分かりました。」

「エネルジコ。」

「はい!」

「ドルチェ。」

「はい。」

「二人はサード。」

少し間を置く。

「遊撃隊の守り、頼む。」

「了解です!」

「承知しました。」

全員が、それぞれの位置へ動く。

右翼。

左翼。

俺は隊列を見渡した。

「会敵したら。」

左翼を見る。

「まず、左翼が前へ出る。」

カンタービレ軍曹が頷く。

「敵の注意を引いてください。」

「承知いたしましたわ。」

「その間に。」

右翼を見る。

「こっちで叩く。」

ブリランテが胸を張る。

「任せてくださいですよー!」

「ただし。」

「敵の注意が右翼へ向いたら。」

「グラヴィオーソ。」

「……はい。」

「お前が叩くんだ。」

「……分かったわ。」

アクセントが左右を見比べる。

「左を向いたら。」

スタッカートが続けた。

「右から来る。」

グラヴィオーソが呟く。

「右を向いたら、こちらの番ね……。」

「そういうこと。」

「それと。」

「会戦でレギオンを組んだ場合も、配置は変えない。」

「右翼は、そのまま右翼。」

「左翼は、そのまま左翼。」

カンタービレ軍曹が頷いた。

「普段の隊形のまま、展開するのですね。」

「ああ。」

「山陰流だ。」

リアルダが微笑む。

初夏の風が。

演習場を抜けていく。

カンタービレ軍曹は。

しばらく、その隊列を眺めていた。

そして。

ほんの少しだけ。

口元を緩めた。


第8話『開かれたケース』
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2026年07月04日